悔しがるところを見ろ
新手のドッキリ。ちょっとした露出プレイ。
『あっ』
『え?』
そーやって女子は上の方に視線と指差し。対面する彼はそちらに意識が行ってしまう。そんな時、パラリとスカートをまくり上げて、実は今日ヤバめな下着を履いてましたのアピール。
でも、まだ教えませんよって。こっちを向き直したら、元通り隠しちゃう。
「か、完璧ですわ!」
裏切京子はろくでもない。考え方がろくでもない。
「ついついソッポを向いてしまい、広嶋様はこの私の秘蔵の下着姿を逃してしまう様!これを教えてあげたら、もう悔しがる事でしょう!」
『今、スカート上げてたのかよ!ちくしょー、下着見えなかったー!』
裏切の心の中では、そんな言葉を発せられることとなっている広嶋。めっちゃキャラが違う。
頭のシミュレートは完璧に悔しがるの一本。
そんで後日、広嶋と出会って。
「ひ、広嶋様~」
「なんだ?」
もう楽しみで楽しみで、悶え苦しんでいただけるイメージが現実となるって夢見て、笑顔という楽しみが隠せない裏切は大胆に空を向いて指を差し、顔も空に昇って
「あ、あれはなんでしょう?」
「…………」
左手で大胆にスカートをまくる。決まったぜ。今日も黒の際どい下着。さぁ、これを見逃したとあってはどのようなお顔とお声を出してくれるのでしょうか。教える時が楽しみである。
「裏切、下着見えてんぞ」
「ええ、この黒は今日のためにですね……って」
広嶋は裏切の指差し、声掛けなどまったく気にせず。裏切の事だけを見ていた。故に裏切の露出がモロバレであった。
ゆっくりと、それはもう自然にスカートはその機能を果たすため降りていき、震えた手、熱こもって来る声で確認する。
「ちょ、ひ、ひ、広嶋様。どどど、どーして、上を見なかったんです?」
ふつふつと赤くなる顔。混乱を曝け出す呂律と表情。
100%の成功しか考えていなかっただけに、唐突な言い訳もゴモゴモしてしまう裏切。
「こ、こ、これはですね!私、露出狂ではなくててですね!そのぉっ」
「……………」
広嶋の表情が良く見えないほど、混乱する。
頬が熱くて、眼がウロチョロして視界定まらず。言い訳もブレブレ。
「広嶋様をドキドキさせようとしたのです!いやっ!下心ありますけれども!!」
「……………」
やばい、めっちゃ嫌われる。貶しているのか。笑って済ませて頂けるだろうか。
裏切は恥ずかしさのあまりにしゃがみ込んで俯いて、真っ赤な顔を見せないつもり。
そして、広嶋は
「まー、なんだ。良いのを見たもんだ」
「そ、その。無理しないでいいです……」
その言葉に心はあんまり篭っていないが。嬉しくもあり、珍しいモノを見れたのは事実。
「裏切が恥ずかしがって、赤面してるのなんて、たぶん。この先ねぇーかもって思えたぞ」
「……!……」
シンプルにきっと事実を伝える広嶋。それに裏切はその低い姿勢から、並の男子ならドキッとさせるような恥ずかし涙が、わずかに零れた表情で
「ほ、本当ですか?」
広嶋に確認をとるのであった。
その答えは
「……俺以外からすれば、今のお前の方がドッキリだと思ったぞ」
「え?どーいう意味です……」