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三姉妹物語  作者: Madoka Mine
昭和31年
7/18

昭和31年春⑥

とある日曜日の阿部家。

三姉妹共に休日の暇を持て余し、幼馴染みと共に勉強をしていた。


まず、客間に入ってすぐで苗子と小林サヨ。

共学の県立第三高校より優秀な第二女子高に通うサヨは、苗子のあまりの飲み込みの悪さに毎度毎度呆れている。


奥では桜子と、お向かいのはやし家の三姉弟きょうだいが勉強している。

上から順番に、長女・鏡子きょうこ、次女・街子まちこ、長男・たけし

全員年子で、鏡子が高校1年生、街子が中学3年生、毅が中学2年生。

鏡子がサヨと同じ県立第二女子高に通っているということで、桜子はしょっちゅう彼女に高校の話を聞いている。


蓉子は早起きして宿題を終わらせてしまったため、母を手伝ってお茶菓子の用意をしていた。


「苗子姉さん、おサヨちゃん、お茶菓子ですよぉ」


お茶はハイカラで、紅茶。

飲み慣れている阿部家の三姉妹は皆、ミルクとざらめを何倍も入れないと飲めないのに、サヨはストレートで飲んでしまう。


お菓子もハイカラなビスケット。蓉子が以前、作りたいと言っていたアレだ。

母に焼き方を教わっていたとはいえ、まずまずの出来栄えにサヨは感心した。


ただし、口が裂けても兄に蓉子のお菓子作りの腕前は話さない。

普通に甘党な兄のことだ、蓉子にお菓子をせびる姿が目に浮かんできて怖い。


「桜子姉さんとおきょうちゃん、街子まっちゃん、毅さんもどうぞぉ」


「おおー、旨そうだ! 桜子サクちゃんとは大違い」


毅の褒め言葉に含まれている余計な一言に反応したのは、桜子。

菓子作りと言わず、料理裁縫が出来ないのは事実だが、他人に言われると頭に来る。


タケちゃん?」


「ご、ごめんねサクちゃん!?」


毅と桜子が一触即発、という場面だが、毅の姉の鏡子と街子はレースの入ったエプロンを着た蓉子を見て、「こんな義妹いもうとが出来たら良いなあ」と考えていたが、弟の女性の好みが桜子であることではそれも期待できない。


料理裁縫が出来るようになっても、レースエプロンは着ないだろう。


「じゃあ、私オルガン弾いてきます! 煩かったら襖を閉めてくださいね」

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