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ベースメント  作者: なさぎ しょう
14/15

噂以上の真実


「え…これ…」


リザ…?

リザからPEPEの首席である名影零だと言われ渡された写真には、リザそっくりの人物がPEPEの制服を着て、隣の誰かと会話をしているのであろう写真だった。


「私はSOUPの研究施設に入れられていたことがある。その時に作られた私の、写し(クローン)の1人が恐らくは名影零だと思う。」


「ん?クローンってなに?」


話が色々とぶっとびすぎていてユキは困惑する。怒るとか怒らないとかいう以前の問題だ。

理解が追いつかない。


「あの…うーんと…SOUPでは前に、人体実験を行ってたの。いまでもその実験は継続されているんだけど、ディモンドっていう人が人間の完璧なクローンを作り出すことに偶然成功しちゃって…そしたら何人かの0〜30歳位までの人が集められて、実験されたの。」


SOUPがなんらかの人体実験をしているというのは本当のようだ。しかし問題はそこではない。"人間のクローン"なんてものがありうるのか…


「私もそのひとりでね…それで、私の知る限りでは五体、私のクローンがいるはずなの。」


「もしかして…だからSクラスの生徒が驚いた…?いや、でも恩氏の息子さんは別に驚いてなかった…」


「それは…その……恩って人も実験に参加しているからだと思うよ…たぶん誰か生き返らせたい人でもいるんじゃないかな?…いま、死人を蘇生したり、死人から生きたクローンを作り出す実験もやっているらしいから。」


そんな…

だとしたら娘さんだ。四年前に亡くなった娘さんを蘇らせたいんだ…


「えっと…ちなみにリザはクローンではない…?」


「うん。あとね…いまSOUPに潜入するのは危ないと思うの。」


「どうして?」


「SOUPで大きな動きがいまあるのだとして、それが本部だけでなく東側で活発になるってことは…実験棟で、本当にまずいことが起こったのかもしれないから…」


「実験棟っていうのは東地区(イーストヤード)にあるのかい?」


「ううん、一応名称上は東地区(イーストヤード)外になる………




旧日本列島なんだけど…」


旧日本列島はいまどんな風になっているのかよく知らなかったが、実験島になっている…ということか?

なんだか話がややこしくなってきた。


「まぁじゃあとどのつまり…いまSOUPに潜入するのはまずいってこと?構成員としてではなくて、単純に潜り込むのもまずいかな?」


「見つからなければ…大丈夫…と、思う。」


見つからなければ…これが実は構成員として潜入するよりも難しいところだった。

SOUPには正確な地図が存在しない。さらに監視カメラやら赤外線センサーやらがそこかしこにある。

どのルートが良い悪い以前に、どんなルートがあるのかさえ分からないのだ。


「これは潜入目前にして大幅な作戦変更を余儀なくされそうだね。」


「ごめんなさい…」


それは何に対する謝罪だろうか。ギリギリまで言わなかったことか…いや、そもそもいまのいままで言わずに来たことか。

どちらにしても、ユキは気にしていなかった。


「謝らなくていいよ。いま教えてくれただけでありがたいさ。だから、謝らないで。」


ユキはリザの頭をポンポンと2回ほど撫ぜると、頭を捻って考えうる限りの作戦を考える。立て直しはあと1日で済ませなければ。




これは確かに難局であるはずなのに、ユキはいま最高にワクワクしている。


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