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メイドはかく語りき(前編)

 王子と魔女のその後のお話を、メイドさん視点から。

 一人称の練習のつもりで書いていますので、読みづらいかと思います。ひとえに練習段階に敬語キャラを持ってきてしまったせいですごめんなさい。

 シンデレラストーリーとは、往々にして成功譚のひとつとして語られます。

 それはそうでしょう。

 血のつながらない家族から虐げられていた灰かぶりの小娘が、魔法の力で美しくなり王子の愛を得る。玉の輿とはそういうものです。


 ですが、結婚とは始まりにすぎません。人生はむしろ、その後の方が長いものです。

 灰をかぶるような生活をしていた小娘が、突如としてきらびやかな王宮へ王子妃として迎えられる。天と地ほどに差のある生活は、本当にその愛だけで全てを乗り越えられるものなのでしょうか。


 さて――本当にシンデレラは幸せになったのでしょうか?


 * * * * * * * * *


 季節が冬に差し掛かったある日のこと。突然、王子殿下がお妃さまをお連れになりました。


 ここは王都にある第五王子の私邸。わたくしはここでメイドをしておりますダニエラと申します。

 王子殿下はお城が窮屈だとおっしゃって、もっぱら城下にあるこのお屋敷でお過ごしになられます。王妃陛下のもとに腹違いの兄君さまが四人、姉君さまがおふたり、妹君さまがおひとり――この国を離れた方もおいでになりますが――という複雑な家庭環境でいらっしゃいますので、何かとお気を使われることが多いのでしょう。そのあたりは、わたくしども下々の者には計り知れない世界でございます。

 何しろ王子殿下がお住まいなのですから警備こそ厳重になっておりますが、使用人は最小限に抑えられ、アットホームな雰囲気は大変働きやすい理想的な職場でございました。


 そこへこの驚くべき第一報。

 屋敷内がひっくりかえるような騒ぎになったことは言うまでもありません。

 今まで数々の浮名を流してきた王子殿下が、王妃陛下からのプレッシャーもどこ吹く風と受け流して、根なし草のようにフラフラとしていらっしゃったあの王子殿下が、とうとうお覚悟をお決めになられたのです。

 わたくしどもは手を取り合って喜びました。使用人達は興奮に沸き立ち、王子殿下がご幼少のみぎりよりお側にお仕えしていた執事長のヘルベルトさんなどは、目頭を押さえてこみあげる熱い思いを噛みしめていらっしゃいました。


 ああでも、喜びに浸っている場合ではありませんでした。お妃さまをお迎えする用意を急がなければなりません。

 メイド達はただちに屋敷中をピカピカに磨き上げるべく――もちろん、普段からちりひとつ残さないようにはしておりますが――一斉に掃除に取り掛かり、厨房では料理人達がお祝いのためにメニューの検討からやり直すようで、喧々諤々の論争がすでに始まっています。庭では庭師が張り切って庭木の剪定を始めましたが、前衛的なアート作品が仕上がりそうで一抹の不安が心をよぎりました。


 とにもかくにも、屋敷中が喜びに包まれていたのです。

 ですが、誰ひとりとして疑問に思わなかったのは不思議でなりません。


 なぜ、王子殿下はこのお屋敷に婚約も発表していない方をお妃さまとしてお連れになるのか。

 身分のある方の御結婚ともなれば、まずは婚約期間があった後に盛大な挙式を行い、そこで晴れてご夫婦となられるのが一般的でございます。それまでは婚約者としてそれぞれの実家に住まい、節度ある生活をおくるのが常識というものでしょう。

 それを、なぜそのようにお急ぎになるのか。


 その答えは、王子殿下方がお着きになってから明らかとなりました。

 お妃さまとなられるお方は、どこからどう見ても、庶民の小娘の風体――いえ、それ以上に怪しさが満載でいらしたからでございます。


 * * * * * * * * *


「お城の様子はいかがでございましたか」


 国王陛下夫妻とのごく内輪の顔合わせを終えられて、お屋敷に戻られたレティツィア様は大層お疲れのご様子でした。

 お出ししたお茶に一口だけ口をおつけになり、またすぐにカップをソーサーに戻されます。

 ……今日のお茶もお気に召していただけなかったようです。


 レティツィア様のお世話係となって以来、わたくしの密かな挑戦は続いています。毎回手を変え品を変え、工夫を凝らしたお茶をお出しするものの、どれもお愛想程度に口をおつけになるのみで、飲み干されることはありません。今日の茶葉はお取り寄せした人気の最高級茶葉だったのですが、これでもだめとなると、いささか心が折れそうになります。

 ですがわたくしは諦めません。いつかレティツィア様のお好みを把握するその日まで。

 心の中で気合を入れなおし、決意を新たにいたします。


「えっと……、皆さまお優しい方ばかりでした。王妃さまは……その、少しお厳しい方のようでしたが」


 わたくしの心中の心意気をよそに、レティツィア様は言葉を慎重に選びながらお話になり、ほろ苦い笑みを浮かべられました。


「何か王妃さまにお言葉をいただいたのですか?」


 王妃さまは厳格なことで有名でいらっしゃいます。誇り高く、王族の矜持に溢れた王妃さまであるからこそ、為さぬ仲の子どもを引き取って実子と分け隔てなくお育てになることがお出来になるのだと、もっぱらの評判でございます。

 ですが、庶民にとっては雲の上の存在、さらに厳しい目でご覧になられては、委縮もするというもの。レティツィア様はさぞかし肩身の狭い想いをなさったのに違いありません。


「行儀作法からはじめなさい、と」


 ぽつりと小さな声でおっしゃって、形の良い薔薇色の唇から物憂げな吐息が零れ落ちます。

 かつて背格好が似ているからという理由でわたくしのサイズで作られたピンクのドレス――大方の部分でサイズの補正は必要なかったものの、胸囲のみ修正がされました。どちらがどうなのかは言わぬが花と存じます――をお召しになり、艶のある黒髪を上品に結いあげたレティツィア様は、中身はともかく、外見は十二分に整っていらして、淑女としては申し分のない出来でございます。

 『はじめなさい』ということは、少なくとも第一段階はクリア、ということでしょう。

 わたくしはほっと胸をなでおろしました。


「どうにかなったようでございますね。王城へ向かわれる前に、最低限の所作、行儀作法を教えてくれと泣き付かれた時はどうなる事かとひやひやいたしましたが」


「王子殿下が悪いんです。そのままの君で十分だとかなんとかはぐらかして、まともに取り合ってくれなかったんですよ。自分が完璧だからって、私があたふたしてるのを見て楽しんでいたんだわ」


 ぷくっと頬を膨らませたレティツィア様は年相応の少女に戻られたようで、わたくしは少し安心いたしました。


 全身を覆う黒のローブという不気味――いえ、個性的なお召し物でこのお屋敷に初めてお越しになった時から、レティツィア様は大人びた雰囲気を帯びたお方でした。

 わたくしより一回りも年下ということであれば、王子殿下に見初められるという夢のような出来事にもう少し浮足立つものかと思うのですが、レティツィア様に限っては、どこか一歩ひいているような、そんな風にお見受けします。


 ……王子殿下、大丈夫でしょうか?

 老婆心ながら、心配になってしまいます。


「明日から、礼儀作法やらダンスやら、家庭教師の方が来てくださるそうです」


 レティツィア様は眉尻を下げて憂鬱そうにそうおっしゃいました。

 もしかしたら、窮屈な想いをなさっているのかもしれません。

 今までは、とある森の中で自然とともに暮らしていらっしゃったとお聞きしました。そんなお方が、お屋敷に閉じ込められた暮らしに閉塞感を感じるのはごく当たり前のことでございます。


 ですが、これは必要なこと。

 王族のお妃さまとなられるお方には、それ相応の素養が必要なのです。いくら気が進まなくても、お二人の幸福な未来のためには乗り越えなければならない試練なのです。


 急激な環境の変化もあり、お気の毒とは思いましたが、一介のメイドにすぎないわたくしにできることは、励ましの言葉をおかけすることくらいしかありませんでした。


「精一杯お支えいたしますから、頑張りましょう」


 そう申し上げましたが、わたくしの言葉に返ってきたのは曖昧な微笑みだけでした。


 * * * * * * * * *


 それからは怒涛のように忙しい日々でした。

 レティツィア様は礼儀作法やダンスなどの授業をこなし、合間に婚約式や結婚式の準備に奔走されました。養女となる公爵家の方との顔合わせがあったり、王城からもちょくちょくお呼び出しがあるようで(年周りの近くていらっしゃる末っ子の第三王女殿下に大層気に入られたそうで)、毎日落ち付かない日々を送っていらっしゃいました。

 わたくしども使用人も通常業務に加えて、各種準備に追われておりました。その晩、夜遅くにそんなところを通りかかったのはそのためでございました。思いのほか仕事がはかどらず、終わった頃には随分と夜も更け、屋敷内は眠りについていたのです。


 自室まで続く廊下を足音を殺して急ぎ足で歩いていたところ、レティツィア様のお部屋から灯りが漏れているのが見えました。

 もしやお疲れのあまり灯りをそのままにしてお眠りになってしまわれたのかと思い、そっと扉の隙間から中をうかがうと、レティツィア様は窓際に寄せた椅子に腰かけて物憂げに外をご覧になっておられました。

 そのお姿はあまりにも儚げで、今にも消えてしまいそうに見え、わたくしは声をかけることもできず、そのままそっと扉から体を離しました。


 何事か思い悩まれているご様子。

 レティツィア様はもとより大人びた落ち着きをお持ちのお方ですが、ここ最近はとみに何か考え込まれることが多くなったように思います。

 毎日あのように過密なスケジュールに追われているにもかかわらず、眠ることができないとはよほどのこと。何より、お体を壊しかねません。


 わたくしはそっと踵を返すと、気配を殺して厨房へ向かいました。

 厨房は屋敷の端にあり、この付近には使用人の部屋もありませんが、なるべく音をたてないように手早く準備を済ませ、再びレティツィア様のお部屋に向かいました。

 灯りがまだついていることを確認して、小さめにノックをします。


「……っ、はい」


 中からは少し戸惑ったような返事が聞こえました。


「ダニエラでございます。失礼いたします」


 ひそめた声で一声かけてから扉を開けると、夜着の上にストールを羽織ったレティツィア様が所在なさげに窓際で立ちつくしておられました。


「夜分遅くに申し訳ありません。灯りがついているのが見えましたので」


「ごめんなさい。なんだか……その、寝付けなくて。早く寝ないとろうそくがもったいないってわかってはいるんですけど」


 レティツィア様はしゅんと肩を落として申し訳なさそうな表情を浮かべられました。


「まあ、王子妃になろうかというお方がろうそく代を気になさるなんて」


 わたくしが思わずそう言うと、レティツィア様は首をお振りになりました。


「でも、国民の血税ですもの。無駄遣いはいけませんよね」


 レティツィア様の正論に、わたくしは少し驚いて口を閉じました。


「……そうですわね。軽はずみなことを申し上げました。申し訳ございません」


 王子妃になるということへの実感がまだないのかと思っていましたが、とんでもありません。庶民的な感覚をお持ちだからこそ、わかることもあるということでしょう。この方はよくわかっていらっしゃいます。

 主の事が誇らしく思えて、胸の内があたたかくなるのを感じました。


 わたくしは手に持った盆からテーブルの上に用意したホットミルクのカップをそっと置きました。カップからは湯気がたち、優しい香りがふわりと漂います。


「よろしければお飲みくださいませ」


 レティツィア様は椅子に腰を下ろすと、カップを両手で包み口をつけられました。


「……蜂蜜」


 嬉しそうにひとことそうおっしゃって、ほっこりとした笑顔を浮かべられました。

 細められた目の下に、愛らしい笑顔にそぐわない隈が目につきました。眠れない日々が続いていたのは火を見るよりも明らかです。

 ああ、どうしてわたくしは今まで気がつかなかったのでしょう。主人の体調管理もできないなど、メイドとして失格でございます。


「わたくしでよろしければお話をおうかがいいたしますが」


 僭越ながらそう申し上げますと、レティツィア様はカップを両手で握りしめて迷うように視線を彷徨わせました。少しの沈黙の後、レティツィア様は意を決したかのように口を開かれました。


「先日、ゼラフィーネ様のお茶会にお招きいただいた時のことなんですけど」


 ゼラフィーネ様とは王子殿下の妹君、第三王女殿下でございます。レティツィア様のひとつ年下であらせられ、年周りの近いこともあって親しくなさっておられ、最近は何かとお声がかかることが多くなっております。


「その帰りにすれ違った貴族のお嬢様方が、私をちらりと見ておっしゃったんです。『第五王子殿下のお相手はどこの馬の骨とも知れない庶民の小娘だそうですわ』って」


 心ない言葉に、わたくしは思わずむっと眉根を寄せました。


「まあ、仮にも王子殿下のご婚約者に向かってなんて失礼なことを。レティツィア様は既に正式に公爵家の養女とおなりあそばされましたのに」


「あ、いえ、それは別にいいんです。本当のことですから」


 怒りを露わにしたわたくしの言葉を、レティツィア様はあっさりと否定なさいました。

 いいのでしょうか? そういう問題ではないように思うのですが。

 わたくしは釈然としないものを抱えつつ、おとなしく口をつぐみました。


「そういう言葉は甘んじて受けとめようと思っていたので、私は黙っていたんです。そしたら、その方たちはなんだか勢いづいたようで、『やはり母君のご身分が低い王子殿下には、そういった方がお似合いになるのかもしれませんわね』ってお笑いになったんです」


 レティツィア様の表情が沈んだものになります。

 自分のことよりも、王子殿下のことでお心を痛めていらっしゃるのですね。ああ、まさに愛! わたくし、感動いたしました。


「私、腹が立ってしまって……。思わず言ってしまったんです。『わたくしのことはどのようにおっしゃっていただこうと痛くもかゆくもございませんが、おそれおおくも王子殿下のことを馬鹿になさるのはおやめになった方がよろしいかと存じます。お化粧がお得意でいらっしゃるようですが、どんなに厚塗りでも取り繕ったボロがこぼれ落ちてしまいましてよ』って」


 思いもよらない言葉にぶっと吹きだしそうになって、わたくしは思わず口元を両手で押さえました。

 まさかです。この可憐ないで立ちで、そのような痛烈な嫌味が発されるとは、想像もしておりませんでした。売られた喧嘩を買うとは、レティツィア様は意外に好戦的な一面をお持ちのようです。


「ぶくくっ………、あ、厚塗りだったんですか?」


「とっても。もう少しでひび割れてくるんじゃないかしら」


 憮然とした様子でいらっしゃるレティツィア様の言葉に、笑いをかみ殺しますが肩の震えが収まりません。

 この方は随分と肝が据わっておられます。市井で育った者にとって貴族など雲の上の存在。そのご令嬢に臆せず言い返すとは、なんと豪胆なことでしょう。これほど王子殿下にふさわしいお方はいないと、わたくしは改めて強く思いました。


「王子殿下は奔放な生活をなさっておいででしたから、勘違いなさっておられるご令嬢方がたくさんいらっしゃるのですよ。悪態の大部分がやっかみです。かわいさ余って憎さ百倍ってこういうことでございますわね」


 目尻にたまった涙を拭いながらそう申し上げると、厄介なこと、とレティツィア様は物憂げにこぼされました。


「レティツィア様に非はございませんわ。全ては王子殿下の身から出た錆でございますので、レティツィア様は堂々としていらしてください」


 励ますつもりでそう申し上げたのですが、レティツィア様は何故かまたしょんぼりと肩を落とされました。

 その理由がわからず首をひねっていると、レティツィア様は吐息のようなため息をひとつおつきになりました。


「いいえ、私のせいなんです。私みたいな庶民の小娘じゃなくて、身分のある貴族のご令嬢がお相手だったなら、王子殿下はあんなこと言われなくて済んだんですから」


 まあ、と抗議の声をあげかけたわたくしを視線で制して、レティツィア様は続けました。


「王族の方々がお許しくださっても、第五王子殿下はどこの馬の骨ともわからない小娘にたぶらかされたと世間が見るのは当然です。私は……それを否定できない。こんな状態で婚約式なんて……引き返すなら今しかないんじゃないかって、そう思うんです」


 わたくしは驚きのあまりぱかんと口を開けたまま固まってしまいました。

 それではレティツィア様は、おそれおおくも王子殿下のお側を離れることをお考えになっておられると、そういうことでございましょうか。

 なんということでしょう。

 わたくしの心配は遠からず、当たってしまったようでございます。


「たぶらかすなんて……そんな風にはとても」


 おふたりの様子を拝見していますと、とてもそんな風には見えません。むしろ執着していらっしゃるのは王子殿下のようにお見受けします。


「私には帰るところがないんです。王子殿下のお言葉に甘えてここまで来てしまいましたが、これでは王子殿下の優しさに付け込んでいるようなもの。たぶらかしたと言われても、私には反論する材料がないんです」


 レティツィア様は顔をおあげになって、窓の外の漆黒に目を向けられました。新月である今夜は空に月はなく、窓の外は闇に覆われています。

 そこに何をご覧になっているのか、わたくしにはわかりませんでした。ですが、レティツィア様の悲しげな横顔から察するに、愉快なことでないのは確かでございます。


 おかけする言葉に困って考え込んでいると、レティツィア様は手に持ったカップをそっとテーブルの上にお戻しになって振りかえられました。そこにはわたくしごときを気遣うような笑みが浮かんでいて、何もできないわたくしは一層申し訳ないような気分になりました。


「遅くまでお疲れだったでしょうに、変な話をしてごめんなさい。でも、聞いてくださってありがとうございます。今なら少し眠れそうです」


 話はもう終わりと暗に告げられて、わたくしは仕方なく盆の上にカップを乗せると、一礼して部屋を出ました。

 厨房まで戻って、空になっていたカップをさっと洗って片付けながら考えます。


 わたくしごとき一介のメイドが口をはさむような問題ではないことは重々承知しております。しかし、わたくしはレティツィア様にはお幸せになっていただきたいのです。

 王子殿下の名誉が傷つくことを悲しまれたレティツィア様。お側を離れようとするのは愛する王子殿下のために他なりません。ですが、レティツィア様ご自身のお幸せが王子殿下のお側以外のどこにあるのか――わたくしには皆目思い当たらないのです。


 なにより、レティツィア様に執着しておられるあの王子殿下のこと。王子殿下のためをお考えになられるのであれば、お側を離れることなどあってはならないとわたくしは考えます。そのためにできることがあるのならば、お節介だとわかっていようとも、行動に移さずにはいられませんでした。


「……よし」


 心を決めると、わたくしは自室とは反対方向に歩きだしました。

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