俺、新たな出会い
すいません!投稿かなり遅れてしまいました!
よろしくお願いいたします^_^
ノエルと別れてから俺は家に荷物をまとめに帰った。あぁ、この事を母さんにも報告しないといけない。
「ただいま」
俺は家に帰りつくと真っ先に母さんの所にむかった。
「母さん」
「あら、ディオ。お帰り。シエルちゃんとお父さんのお墓参り行ったの?」
母さんは俺に気付くと家事をしながら俺に話しかけてきた。
「うん。それと...」
俺はゆっくりと口を開いた。母さんは不思議そうに俺の方へむきなおった。
「俺、冒険者になろうと思うんだ。その為に明日から中央都市の魔法学校を目指そうと思う」
俺の突然の告白に母さんは一瞬驚いたような顔をしたが、すぐにいつもの優しい顔に戻ると、
「そっか。やっぱりあの人の子どもなんだねぇ」
「え?」
母さんは手を拭きながら話を続けた。
「昔の話なんだけどね。まだお母さんとお父さんが付き合ってなかった時お父さんが急に冒険者になるって言って、私のこと連れて魔法学校に行ったの。家族は猛反対でね。それでも俺には見たいものがたくさんあるはずだ!って。ふふっ」
懐かしそうに話しながら母さんはそう言った。そして、
「それで。ノエルちゃんはどうするの?」
「ノエルなら俺と一緒に中央都市の学校に行ってくれるって」
「ふぅん...」
母さんはアゴに手をあてて少し考えるような仕草を見せた。
「ノエルちゃんが良いって言うなら反対はしないけど、もしノエルちゃんを襲ったりしたら許さないよ」
「し、しねぇよ!」
俺を指差しながら母さんがきつく言う。
「それじゃもう特に言うこともないわ。出発はいつ?」
「明日の夜明け頃に出る予定」
「それなら、次の日のお昼には到着するわね」
そういうと母さんはゴソゴソと引き出しをあさった。
「あった、あった。ほら。これがお父さんの言ってた知り合いの人の住所。ロイスって人でね、お父さんとお母さんの幼なじみなの。確か魔法学校の先生やってた気がするわ」
そう言って母さんが俺に渡してきたのは、メモ帳サイズの紙と一枚の写真だった。もっともこれは写真ではなく、魔法を使って描かれためちゃくちゃ細かい絵なんだけどね。俺はそれを受けとると自分の部屋に荷物をまとめにいった。俺の部屋はそれほど広くはないけど、俺が十数年をかけて機能的な夢のマイルームに仕上げた。この部屋と別れるのは寂しいけど、しょうがない。将来の為の犠牲だ。
「よっし...これくらいかな....ん?」
俺は手頃な鞄に着替えや地図、その他もろもろを詰め込んだ。それで、散らかった部屋を片付けてる時に、一通の封筒を見つけた。
「なんだこれ?」
俺はその手紙を手に取ると封を切った。そのなかにはいくつかの書類と長ったらしい文が書かれた手紙が入っていた。
『拝啓 マティアス様
ご子息のお誕生、心よりお祝い申し上げます。つきましてはご子息の我が校への入学について....』
と、大事そうな事が書かれていた。
「ふむふむ.....」
まぁ内容をまとめるとだ。
『どうもマティアスさん。子供が産まれたらしいからそこそこ大きくなったらウチの学校に入れてあげるよ。それと最近変な魔物がいるから気をつけてね。チャオ!! 都市立クロムフロウ魔法学校より☆』
みたいな内容だった。いやまぁ、チャオと☆は入ってなかったかもしれない。それは置いといてだ。これっていわゆる魔法学校の推薦状だよな。なんでこんなに大事な物が俺の部屋で埋もれてるんだよ。ウチの親の事だ。どうせ置きっぱにして数十年って感じなんだろうな。でもこれで学校に入学する事が出来る。やったね!
「うっし。これくらいにして寝るか」
俺は期待に胸を踊らせながら明日にそなえていつもよりだいぶ早めに就寝した。
次の日の夜明け頃。俺はノエルとの待ち合わせ場所にいた。
「この場所も懐かしいな...」
俺は隣にたつ大きな樹をなでた。この樹は俺とノエルが小さな時からずっと待ち合わせ場所に使っていた樹だ。村の端に立っているのでなんとか今回の襲撃は免れた。そんなことを考えていると、ノエルがやって来た。少し大きめのリュックサックみたいなのに荷物を入れていた。
「お待たせ!待った?」
ノエルはお決まり(俺の世界でだが)のセリフを言うと俺の隣の樹を見上げた。
「この樹もおっきくなったね―!」
「あぁ。それじゃあそろそろ行こうか」
俺とノエルは思い出の村をあとにした。
中央都市は人口が数千を越えている大都市だ。この世界は魔法が発達しているがほとんどの土地が俺の村の様に田舎のような建物が多い。しかし、中央都市を含むいくつかの地方だけはそれぞれ独自に発達をしている。中央都市はそのなかでも近代的で俺のせかいでいう中世に近いらしい。学校にいたっては俺の世界とあまり変わらない設備が整っているらしい。まだ発見されていない材質が水魔法と土魔法を組み合わせて極めて近く再現されているものもある。そして、なんと制服があるのだ。ノエルはもちろん、たくさんの女子の制服姿を拝む事ができる。この世界に来る前は学生だっただけにかなりワクワクしている。ちなみに俺は今、村と都市を行き来している馬車の様なものに乗っている。なぜ馬車と言い切らないかと言うと、人の乗る部分が異常に長いのだ。俺の世界でいうバスくらい長い。その部分にたくさんの人が向かい合う形で乗車している。これは馬車でもなくバスでもない.....言うなれば、馬スなのだ。ノエルは俺の隣に座ってうとうとしている。そりゃあこんなに朝早くに起きたら眠くもなるわな。
「ん....ディオ...」
ノエルが寝言を言った。おいおい、夢のなかまで俺の事を考えているのか。可愛いなぁまったく。ん?待てよ。今は乗客が極めて少ない。それにノエルはぐっすり眠っている。これは胸のひとつやふたつ触ってしまっても、良いんじゃないだろうか。俺はキョロキョロと周りを確認した。同じ列の端に茶髪の女の子が座っているだけでこの車内に人はいない。
「......いざ!」
俺がノエルの体に触れようとしたその時。
〈ガタン!!〉
馬スが派手に揺れた。何やら前の方で騒ぎも聞こえる。
「おいおい、一体何なんだよ!」
俺はノエルをそっと寝かせて運転席(?)を見に行った。そこには慌てているようすの運転手がいた。
「どうしたんですか?」
「すいません!少し先から小型の魔物が群れで迫ってきているようで!」
「まじか!?」
どうする!?俺はそれなりに戦えはするけど、自分1人を守れる程度だ。この馬スを守っている余裕はない。
「ねぇ、ディオ。どうしたの?」
眠っていたノエルも目をさまして運転席にやって来た。そうだ!あの時みたいに“記憶の奇跡”を使えばこの状況もどうにか出来るんじゃないか?なぁんだ。なら余裕じゃん。
「俺に任せなさい」
俺はそう言うと、馬スの運転席から外へとゆっくり降りていった。すると前方に何匹かの魔物の姿を確認することが出来た。俺はスゥーッと息を吸うとこう唱えた。
「“記憶の奇跡”発動!!」
しかし。
「....あれ?」
なにも起こらなかった。前に発動したときはもっとこう...全身に力がみなぎるような、その、グワッて感じがしたんだけどな。まぁいい。
「我ここに命ずる。森羅万象の知恵をもって我が剣に輝く五つの力を宿せ!!」
俺は仕込み刃に手をかざして叫んだ。やっぱり何も起こらなかった。もうすぐそこまで魔物の群れは近づいている。やべぇ!どうしよ!!終わる!!!
そう思った時だった。背後から指パッチンの音が聞こえる。そして
〈 ゴオォォ!!〉
目の前に迫っていた魔物達を圧倒的質量の業火が焼き払った。
「あれは...上級魔法?」
俺は数メートル先で発生した爆発に驚いていた。あの火力は上級魔法によるものだ。しかし誰が?あの運転手が放ったとは思えないし、ノエルは中級までしか使えない。それ以外で馬スに乗っていたのは....まさかと思い俺はゆっくりと後ろを振り返った。するとそこには左手を前に突きだし燃え尽きる魔物達を睨むあのショートカットの少女の姿があった。
「マジかよ...!」
ショートカットの少女は魔物が完全に消滅したのを見届けると、また車内に戻っていった。俺は急いで馬スの中に戻ると、少女の姿を探した。するとさっきと同じように列の端に1人で座っていた。俺はその少女に近づくと声をかけた。
「や、やぁ。さっきはありがとう。あれって上級魔法だよな」
俺は前世ではしたことのないくらいの笑顔で話した。しかし、その少女は黙って俺を見ているだけだ。少女を観察してみると茶髪のショートカットに紫の瞳、赤縁のメガネをかけている。顔はとてもかわいい...いやいやどちらかというと綺麗になるのか?ノエルがキュートならこの子はクールビューティーと言ったところか。なんと俺達の目当てのクロムフロウ魔法学校の制服を着ているではないか!こんなに綺麗な女子がいるのか!
「俺達、これから中央都市に行くんだ。その制服クロムフロウのだよね?」
「.....」
俺の質問に彼女はチラッと俺の事を見るだけだ。
「俺はディオ。ディオ·カーティル。君は?」
彼女は俺の事をしばらく見つめるとこう答えた。
「....アイナ...です」
「よろしく、アイナ!」
俺はそう言うと彼女の隣に座った。そんな俺をアイナが不思議そうな目で見ていた。
「どうしたの?」
「あ、いえ。なんでもありません」
アイナはブンッと音が出そうな勢いで目をそらした。
「魔法、得意なの?」
「.......」
その後も俺は質問を続けたが、アイナが答えてくれる事はなかった。
チリン、チリン
馬スの車内に軽い鈴の音が響く。
「ディオ。着いたみたいだよ」
「ん....あぁ寝ちゃってたのか....あ!!」
俺はガバッと起き上がって車内を見回すが、アイナの姿はもうなかった。
「ハァ...」
俺が落ち込んでいると、ノエルがポケットから一枚の紙を取り出した。
「はい、ディオ。」
「何コレ?」
「ディオが寝てる時にね、赤いメガネかけた女の子がディオに渡してって」
「へぇ~なになに?」
『ディオさんへ、車内でのお話、とても楽しかったです』
以上だ。それだけ!?ていうかあれは会話として成立するのか!?俺が一方的に質問して無視されてただけなんじゃ....。
「ほら、ディオ!降りるよー」
ノエルの声でハッとする。とりあえず今はロイスさんのところに行かなければ。俺は馬スを降りた。そこに広がっていたのは、さっきまでの無開発の土地からは想像もつかない近代的な町が広がっていた。
「うお....すげ.....」
思わず声に出てしまった。綺麗なレンガ造りの建物に、村では見たことのないくらいの人、なぜか車みたいなものまで走っている。前世を知っている俺でも相当驚いたが、ノエルはもうスゴい。
「うわー!ディオ見て!人がいっぱいいる!はぁ!見て見て!なんか走ってる!」
もう初めての都会に大興奮だ。気持ちは分からなくもないけど。
「ほら、観光は後だ。ロイスさんとこ行くぞ」
俺はノエルを引っ張りながらメモを頼りにロイスさんの家に向かった。
「ここ...かな?」
メモによるとここで正解みたいだ。でも俺達の前にあるのは少し広い空き地とその真ん中にちょっと豪華な仮設トイレみたいなのがあるだけだ。
「おいおい...まさかここに?」
俺がスゴく残念そうな顔をしていると、後ろから声がかけられた。
「何もそんな顔する事ないじゃないか。ディオ君」
呼ばれて振り返ると背の高いスーツを来た男が立っていた。
「えと、あなたがロイスさん...ですか?」
「あぁ。お母さんから連絡は来ている。とりあえず家に入りたまえ」
そう言うとロイスさんは仮設トイレの中に入っていった。
「ディオ、先に行ってるね!」
ノエルまで仮設トイレに入りやがった。正気か!?
「ええい!!」
俺は覚悟を決めて仮設トイレに入った。すると。
「うそ...だろ...」
仮設トイレのドアを開けるとなんと地下へと続く階段があった。
「そう言う事なら、はやく言ってくれよ...」
俺はゆっくりと階段を降りていった。階段の下には無駄に広い地下空間が広がっていた。そしてロイスさんが言った。
「ようこそ。ここが自慢の我が家だ」
俺とノエルは映画のような状況にただただ驚いていた。
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