俺、新たな力 ―1
更新遅れてすいませんでした*_*
よろしくお願いいたします^_^
『さぁいよいよ終盤戦となりましたぁ~!技巧派のアイナ選手か!それとも魔導機とのコンビネーションを得意とするケイト選手か!どちらからも目がはなせません!!』
熱血な感じのアナウンスとともに魔導の部の優勝決定戦が行われようとしていた。
「アイナ、結局二人で戦うことになったね」
「はい。でも手加減はしませんよ?」
「もちろんだよ!お互い頑張ろうね!」
「ええ」
二人は握手をかわすとそれぞれの控え室に入っていった。かぁ~良いなぁ~俺も邪魔さえはいらなければカレルとこんな風にできたのにな―って、あぁ!?魔導の部に夢中になっててすっかり忘れてた!俺に魔法をかけた犯人を探さないと行けないんだった!うわ~完璧に忘れてたな。さて・・・どうやって探すとするか。
『さぁ、いよいよ魔導の部優勝決定戦が開始いたします』
「おっと、もうそんな時間か。ま、犯人探しはあとででいっか」
俺は会場に向かった。会場は決定戦ということもあってか今までとは違う盛り上がり方をしていた。その男女比率は圧倒的に女子の方が多いわけで....
「いずらい!」
カレルが来たがらなかった理由がわかった気がする。まぁ今まで通りにいくと多分誰かが席を確保しておいてくれているはずだ。
「誰も...いない....」
なんと誰も待機していなかった。と言うことは、このたくさんの女子生徒の中俺は一人で観戦しないといけないのかよ!!
「マジか....」
『さぁ!いよいよ決定戦スタートです!!』
アナウンスが響く。
「始め!!」
審判が大きく手を振り上げる。その瞬間に一斉に観客が沸く。
「わあああああぁあぁぁぁぁ!!!」
その歓声におされることなくアイナとケイトは動き出す。
「我ここに命ずる。森羅万象の知恵をもって意思なき錻に力を宿せ!」
ケイトが距離をとって魔導機を起動させる。意思を宿した数機のカブトムシ型の魔導機はアイナに向かって一斉に突っ込んでいった。しかし―
「させません」
アイナは右手を前に突きだすと、
「我ここに命ずる。森羅万象の知恵をもって炎雷の刃で彼の者達を薙ぎ払え」
魔法の詠唱をし、中指と親指を使い、パチンと音を鳴らす。するとアイナの掌から剣の形をした炎が放たれた。
「アイナ、魔導機は確かに熱に弱いけど、それだけじゃ壊せないわよ!」
ケイトが言う。しかしアイナは表情を変えることなく魔導機に炎刃をぶつけた。
「だから魔導機は―!」
ケイトがいいかけたその時、
バチィィィ!!!
閃光とともに魔導機が吹き飛ばされた。
「魔導機は熱に弱い。更にもうひとつの弱点。それは回路で操作するにあたって電気系統の攻撃にはまるで歯がたたない。たしかそんなことをケイトは言っていましたね」
アイナがニッコリと微笑む。そうか、アイナは複合属性魔法を発動出来るんだった!弱点の二段構えじゃ流石のケイトのカブトムシ?でも無理があるか。
「これであなたの魔導機は無意味になりました」
「アイナ、言葉にトゲありすぎよ...ふふっでも、これで終わりなわけないでしょ?」
そう言ったケイトは魔法の詠唱を始めた。
「我ここに命ずる。森羅万象の知恵をもって我に神速を加せ!」
身体強化魔法―こう言う異世界モノでレギュラーをはる有名な魔法だな。まぁ今まで魔法とは縁がなかった俺はここで見るのが初めてな訳だが。ケイトの体に電流が走る。ケイトが着ている衣装が電流のせいで靡いている。
「行くよ!」
その言葉とともにケイトの姿がかき消えた。会場に静寂が訪れる。
「―!!略式、魔導壁!!」
アイナが突然防御魔法を発動させた。観客も俺も何が起こっているのか全く分かっていなかった。するとアイナが発動させた魔導壁の前の空間にバチバチとスパークが発生して歪んだ。
「いやぁやっぱスゴいわ~」
そう言いながら歪みの中からケイトが表れた。
「....雷属性の身体強化による異次元加速、ですか」
「ま、そゆこと」
俺は未だに何が起こっているか分かっていなかった。ケイトが身体強化魔法を使ってめっちゃ速く動いて、見えなくなった。そこまではなんとなく分かった。そのあとの空間が歪んだ辺りからもうちんぷんかんぷんだ。
「あれはきっと雷属性の特性だろうね」
「ロイスさん!...と、リオネ先生」
「なんだ!その私のおまけ的扱いは!」
リオネ先生がなんか言ってたけどスルーする。
「それで、雷属性の特性って?」
ロイスさんに尋ねる。
「ん~、それに関してはリオネ先生の方が詳しいんじゃないかなぁ」
「え!?」
「えってなんだ、えって!私は雷属性だからな、それは詳しいに決まってるだろう!」
「いや、それ事態初耳ですし。で?どゆこと?」
「うむ、態度が気に入らんが...雷属性の特性は分解。これはお前も知っとるだろ?」
「まぁ」
「それを最大限に活用したのがあの身体強化魔法だ。魔法の詠唱終了と共に体に分解の特性をもった電流が流れる。そしたら体の細胞が電気に変化するんだ。そうすれば電気の速さで移動することができる。それで姿が見えなくなったようにみえたんだ」
「それって戻れるんすか?」
「まぁ、そこそこ実力のあるやつだったらな。前に戻れないまま消えたアホもおったが」
「まじか!お気の毒に!」
「まぁ、要するにケイトがかなりの使い手だってことだ」
はぁ、なるほどよくわからん
「ほら、試合に動きがあったようだよ」
ロイスさんに言われてフィールドに目をやる。フィールドでは身体強化魔法で加速したケイトがとらえきれない速度でアイナに攻撃を仕掛けていた。
「...そこ!」
これまで防戦一方だったアイナが背後に魔法を放つ。
「きゃあ!」
軌道を予測されたケイトが魔法にあたり姿を現す。
「いててて...」
「もう、小細工は通じませんよ?」
アイナがケイトを見ながら言う。
「みたいね。じゃ、そろそろ決めに―」
ケイトがそういいかけた瞬間だった。
〈ドゴオオォォォンン!!〉
会場の真ん中、モニター(仮)があるあたりが轟音をたてて爆発した。
「なんだ!?」
突然のことに俺も、ロイスさんも、リオネ先生も混乱した。観客はこの状況に慌てて逃げ出したり、叫び声を上げたりの大パニックだ。
「ロイスさん!これは!?」
「わからない!ただこの魔力の感じは...魔族だ!」
「魔族!?」
何で魔族がこんなところに!?そんなことよりー
「アイナ!ケイト!」
俺はフィールドに向かって叫ぶ...返事がない。
「くそっ」
俺はフィールドに飛び降りた。さっきの爆発で会場は所々崩れてしまっていたが、何とかたどり着くことができた。
「アイナ!ケイト!」
もう一度叫ぶ。
「―――!」
崩れた瓦礫の奥からこえが聞こえた。俺はそのこえのする方へ駆け寄った。
「ケイト!」
そこには魔導機を使い、辛うじて瓦礫を避けたケイトがいた。
「怪我は!?」
「だいじょぶ。ちょっと擦りむいちゃっただけだから。それよりもアイナが!」
「アイナがどうした!」
「ここが崩れたとき、急に血相変えて走っていっちゃった!」
「分かった!俺がいく!歩けるか?」
回りの瓦礫をどけケイトをたたせる。
「ちょっとふらつくけど...大丈夫みたい。行って!」
「あぁ!ケイトも気をつけろよ!」
ケイトが歩きだしたのを確認すると、俺はさらに奥へと進んだ。
すると、アイナが右手を前にだし、魔法を唱えているのが見えた。
「アイナ!!」
「ディオ!どうしてここに...危ない!」
「なぁ!?」
アイナが指差す方向を見ると、黒い炎が俺を焼きつくさんとすぐそこまで迫っていた。
「あっぶねぇ!だれだ!」
黒い炎の発生源を見る。ん?黒い炎って...
「ふん、邪魔が入ったか」
低めの声が聞こえる。
「ディオ!」
アイナが駆け寄ってくる。アイナは今までずっと戦っていたのか来ていた服がボロボロになってしまっている。
「アイナ、あいつは?」
「あの人は、いえあの魔族は私の敵、一族全員の敵です!」
もう一度その魔族を見る。そいつは普通の人より一回り大きい背丈で頭には牛のような大きな角がついている。着用している服は真っ黒で青白い肌と時折見える口と瞳が血のように赤く不気味さを際立たせている。
「敵ってどういうこと?」
俺はアイナに問いかける。
「“高貴の衰退”...あれはいまだに謎が多く正確な原因は解明されていない...これが世の中の見方です。でも、私は忘れもしません。あの夜、血のように真っ赤な目をした魔族が愉しそうに笑いながら家族や友人を殺していったことを...」
アイナの手に力が入るのがわかる。
「だから、あたしは絶対にあの魔族を許さない。一族の敵を絶対に...!」
俺は驚いていた。普段物静かなアイナがこんなにも怒りを露にしているなんて。すると待ちくたびれたかのように魔族が口を開いた。
「おいおい、まだしゃべってんのかよ!お前あのエルフどもの生き残りなんだろ?せっかく生かしておいたんだからよぉ、もちぃと愉しませろよ。ほら、敵が目の前にいるぜぇ。ほれ、殺してみろや」
魔族はワクワクしてたまらないといった感じで言った。
「ディオ、下がっていてください。あなたを巻き込みたくありません」
「でもー」
「早く!」
そういうアイナはいつものアイナではなかった。復讐することしか考えていないような、怒りという感情しかない、そんな感じだった。
「....気を付けろよ」
「はい」
俺はアイナから離れると、急いで控え室に置いたままの仕込み杖をとりに戻った。何ができるか分かんないけどあんないかにも凶悪そうなやつとアイナを一人で戦わせるよりはマシだっての!
「ディオ!」
「カレル!」
控え室に続く通路で避難誘導を行っていたカレルに会った。
「無事だったか!いったい何が起きてんだ!?」
「俺もよくはわからんけど魔族の仕業だ!今も向こうでアイナが戦ってる!」
「魔族!?この学校の周りには校長がはってる結界があるはずなのに!」
「結界?そんなのあったのか!知らんかったぞ!それより、俺の仕込み杖は!?」
「あぁ、これか?」
カレルが俺に仕込み杖を投げ渡す。
「さっきので控え室崩れちまったから、一応持ってきといたぜ」
「サンキュな!」
「さんきゅ?って言うかどうするつもりなんだよ」
「なんか胸騒ぎがするんだ。アイナのところに戻る」
「そうか。気ぃ付けてな」
「おう!」
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