マッチングアプリの“標準化”と変化する恋愛
――2025年。
今の時代、「恋愛」はどんな意味を持っているのでしょうか。
まずはデータを見てみましょう。
(以下に記す数字は僕がこのエッセイを書くに当たってフワッと検索したものでしかないので、なんとなくそうなんだ程度に見ておいてください)
20代の約52%が、一度はマッチングアプリを利用した経験があるといいます。利用者の多くは「普段出会えない人とつながれる」ことに魅力を感じています。
もちろん、一方で利用経験のない人の中には「少し怖い」という印象も根強いそうです。それでも、アプリ利用者の8割以上が実際に誰かと出会い、そのうち男性の25%、女性の46%が交際や結婚に至ったという調査結果もあります。
中でも某大手マッチングアプリでは累計会員数2,000万人、月間90万人という、もはや日本で最大の“出会いの場”になっています。
出会いの入り口はスマホであるという常識。そういう時代に私たちは生きています。アラサーの僕にはちょっと信じがたい馴染み方ですが……。
一方で、日本社会全体を見渡すと、結婚の数字は年々、減少しています。これはほとんどの方が体感やニュースでもご存じですね。
2023年時点の婚姻件数は約47.5万組。離婚の件数も2023年で約17.9万件。かつてのピークからは減っているらしいですが、婚姻数に対しては依然として高い割合を占めています。実際、2024年の統計では「3組に1組が離婚」という水準に戻ってきています。
さらに出生数に目を向けると、2024年の出生数はわずか68万人余り。記録が始まって以来の最低水準です。合計特殊出生率は1.15。人口維持に必要な2.1を大きく下回っています。
――つまり、「恋愛=結婚=出産」というかつて当たり前だった道筋は、今や当たり前ではなくなっているのです。
では、恋愛はもう意味を失ったのでしょうか。
僕はそうは思いません。
むしろ恋愛は、「結婚へと至る通過儀礼」から解放されて、新しい姿を獲得しつつあるのではないでしょうか。
例えばそうですね、スポーツみたいなエンタメにシフトしてきたのかなと。
スポーツには勝ち負けがあり、挑戦があり、失敗もあります。けれど人はそれを楽しむために繰り返す。
恋愛もまた、うまくいったり、うまくいかなかったりしながら、人の心を動かす「体験」そのものになっている気がします。
そして現代においては、その体験はSNSでシェアされ、コンテンツとして消費される。恋愛はもはや「誰かと一緒に歩むための準備段階」ではなく、スポーツやエンタメと同じく「それ自体が目的」になりつつある。僕はそう感じています。
とはいえ恋愛にはスポーツよりも大きなリスクがあるとも思います。
では、なぜ、そんなリスクのあることに人は惹かれるのでしょうか。
それは、人間が本能的に「感情のアップダウン」を刺激として求めているからだと僕は考えます。
漫画や小説を読んで泣いたり笑ったりするのもそう。
ホラー映画やジェットコースターでわざわざ恐怖を味わうのもそう。
損するとわかっていても宝くじを買ったり、パチンコに通ってしまうのも結局は感情を揺さぶられたいからです。
毎年お盆になると必ず水難事故が起こってしまうのも、人が「危ない」と知りながら、海や川へ引き寄せられてしまうからでしょう。
人間は、感情が大きく動く瞬間を求めずにはいられない生き物なのです。
だからこそ、恋愛は「結婚への通過儀礼」であるより前に、「感情を最も大きく揺さぶる遊び」に変革する過渡期なのかもしれません。
便利すぎる現代にあって、不安定で不確実な恋愛こそ、最も贅沢なエンタメでありスポーツなのです。と言い切る気は毛頭ありませんが、なんだかそんな空気を僕は感じてしまうのです。
●まとめ
これはあくまで僕の考えにすぎません。
ただ、恋愛はこれからも、人間が本能的に求める「心を揺らす体験」であり続けるだろうとは思います。
皆さんにとって、恋愛は「結婚への道」ですか?
それとも「心を揺らすエンタメ」ですか?
このエッセイは、この僕がすでにこのアカウントで執筆、投稿した【30分読破シリーズ】の1作品を書いていて思ったことを書き綴ったものです。
作品名は
『【30分読破シリーズ④】代打でマッチングした俺は、キミの代打彼氏』
です。ぜひ、合わせてこちらもお読みください!