4/理不尽は頑張ればなんとかなる…?
『行くぞ……“疾速“』
「ッ、速過ぎでしょ……」
良く分からないスキルでスピードアップしたデザクが突っ込んで来たのを咄嗟に構えた影の爪で防ぐ。
『はぁっ!』
「どわぁぁぁ!?……ぐえっ」
爪で受けた大剣を荒々しく振り回され、吹き飛ばされる。背中から地面にぶつかり、体力が少しだけ減る。残り体力が腕を切られたのも合わせ3分の1をきった。痛覚はないため痛みはないが、思わず変な声が出る。
急いで体制を立て直して、デザクのいた方向へと向けば目の前に大剣で俺に斬りかかろうとしている骸の王。
『……終いだ』
「……まだ終わってないだろ!」
ほぼ無意識に腕から影を巨大な掌にしデザクを押し返し、剣筋をずらす。直撃はせず、影の掌を両断した。
あっっぶねぇ……。流石に今のは肝が冷えたぞ……。
『チッ……仕留め損なったか』
「……!これって……成る程……!」
肝が冷えた代わりに得られたものもあった。スタミナがほぼない状態で影の掌を出せたということはつまり、技名と認識される言葉を言わなければスタミナを消費しないってことなのか?
それならとりあえず実験あるのみ。一気に広範囲を……、そしてある程度の妨害を……。
「いくぞ、『龍』!」
イメージして地面に手を当てると、影が地中を通り、東洋の龍を形取って影の龍となりデザクへと向かう。
『グウウッ!?』
そのままデザクに喰らいつき、地面に突っ込む。影龍自体は影なのでダメージは受けないため、無茶をしても全然大丈夫。
「お次は『杭』『穿つ』!」
そう言えば鋭く尖った影の杭が回転し影龍の一部を貫き恐らくデザクの肩あたりを穿った。……はず。影龍で見えないからわからん。
『やった……とでも思ったか?』
その声が後ろから聞こえた瞬間、俺の胸から剣が生え、赤いポリゴンを散らしながら倒れ込む。
まずい、まだ時間残ってるのに…!
「……ッ『リザレクション』!」
「ナイスユメ!」
「危ない、助かった……」
ユメの放った『リザレクション』…恐らく蘇生魔法で俺が生き返る。
『“蘇生魔法“……厄介だな』
……ここからは集中しないと駄目だな。デザクの注意が俺からユメに向きかけてるからこのまま行くとユメが狙われる。
「後11分……やりますか。『太刀』『纏う』」
剣に影を纏わせて刀の形にする。中身の剣は耐久的に不安だけど、影でガードすればいけるだろう。
「よし……」
静かに、強く地面を蹴りデザクの懐へ入り込み、横に一文字に斬り裂く。
『グッ……!?』
ユメに注意を向けていたからか綺麗にデザクに入った。ただ、思ったより硬く、傷が浅くなってしまった。
『成る程、何か掴んだのか?なら、真剣に相手をしよう』
そう言い、デザクが大剣を構え直す。こっちも距離を取り、構える。
『“疾速“』
「『幻花流・鏡花三連』……!」
すれ違いざまに斬ろうとするデザクの剣を受けようと技を出すが、発動せずただの三連撃がかろうじて剣を弾く。
『それで“幻花流“か……笑わせるなよ』
「……ッ!『鏡花三連』!」
放った俺の太刀から申し訳程度に散る淡いエフェクト。また失敗で、またデザクの大剣をギリギリで弾く。
それでも、僅かだが幻花流を使えていることを確信する。
今度こそ疾速を鏡花三連で受けてやる……。
『“疾速“!』
「頼む、『鏡花三連』!」
絶対に失敗できないという思いと絶対に受けきるという思いを乗せ、放つ三連撃。
そして、頭に響く鍵の開くような音とともに白い三連撃を繰り出し、疾速を受けきった。
『ほぅ……面白い』
「ここからだな……行くぞ」
鏡花三連を成功させて高揚する気持ちに任せ、草原を駆け太刀を振るう。
「『包梅』、『柳水斬』!」
『“破断斬“!』
「だぁっ……畜生!」
しかし気持ちに任せて倒せる相手でもなく、技の繋ぎ目を無理矢理に破断斬で強引に断たれ顔をしかめる。
先程の高揚は冷や水をかけられたように消えたが、その分冷静さを取り戻した。
「ま、そう上手くはいかないか……」
「なんか格好つけた割に押し負けてるなぁ」
「別に死んでないからいいでしょ」
「「「「『いや1回死んでるでしょ(だろ)』」」」」
「ごもっとも…」
というかデザクは突っ込まなくていいだろ。




