2022年3月1日放送 フラワーラジオ ポストメリディアン火曜日 八巻和行の七転び八巻 妄想【愛の劇場】#25 ショッピング
サクソフォン奏者八巻和行さんのラジオ番組
こうのすFM フラワーラジオ
フラワーラジオ ポストメリディアン火曜日(午後4時~午後6時)
八巻和行の七転び八巻
というラジオ番組の投稿コーナー
妄想【愛の劇場】
毎週パーソナリティ八巻さんから出題される【作品のテーマ】を小説風に書いた作品を投稿するコーナー。
小説の書き方を知らないシロウトが投稿コーナーに参加。
そのコーナーに投稿した作品をこちらに投稿しています。
妄想【愛の劇場】のコーナーで、絶賛!妄想仲間を募集中!!
こんな感じで大丈夫なので、コーナー投稿に興味がある人がいてくれると嬉しいです!
《番組への参加方法》
①フラワーラジオが聴けるように、ListenRadioのアプリをダウンロード
フラワーラジオを選局して、お気に入り登録
②パーソナリティ八巻さんのX(旧Twitter)をフォロー
③毎週日曜日の夜に、八巻さんのX(旧Twitter)から【作品のテーマ】が発表
④八巻さんのX(旧Twitter)のダイレクトメールから投稿
※番組放送当日の火曜日午後6時頃までに投稿できれば、コーナーの時間に間に合います。
※何故か八巻さんが初見で読むルールのようなので、漢字には「ふりがな」をふって下さい。
小説の書き方を意識しながら文字おこしをしています。
文章はできるだけ、投稿当時のままにしています。
言葉が二重になるのが気になるところは、手直しをしています。
サイト投稿回数 第23回目の今回は………
2022年3月1日放送。
妄想【愛の劇場】#25 ショッピング
八巻と杏シリーズ第二回目。
こころなしか暖かさを感じる、3月の昼下り。
散歩がてら買い物を済ませようと、八巻は自宅から歩いて30分ほどの距離にある駅前のショッピングモールに来ていた。
食品スーパーに飲食店が少しと雑貨屋、本屋にCDショップといった店舗が集まった、規模としてはそんなに大きくはない二階建てのショッピングモールだ。
しかし日曜日という事もあってか、家族連れや友人同士で買い物に訪れている人達で溢れていた。
一階にある食品スーパーに立ち寄る前に、二階のCDショップへと八巻は足を向ける。
今ではサブスクで音楽を一曲から購入する事ができるし、インターネット通販では簡単にCDを購入したり、ダウンロードしたりすることができる。しかし、八巻はそれよりもCDショップでCDを購入することにしている。店で見かけて手にした一枚のCDから始まる自分の知らない音楽の世界との出会いに、ワクワクするからかもしれない。
先日も自分よりも随分と若いアーティストの素晴らしい世界に魅了されたばかりだ。
「ラップがあんなに面白いものだと思わなかったな」
八巻はCDショップ内のラップの音楽コーナーで足を止めた。
ここ数年、ラップは若者に人気のあるジャンルだ。
ラップバトルをするイケメン男性の2次元キャラクターを人気声優陣が演じたこともあり、女性の人気も高まったらしい。
「今日はこの2枚にしよう」
ジャケットの気になる2枚のCDを八巻はジャケ買いした。
次に一階の食品スーパーへと足を進める。
エスカレーターに乗り下へと下る。
一階の催し広場では、子供から大人まで幅広く人気のある有名なカードゲームの、こじんまりとしてはいるが大盛況のゲームイベントや、ひな祭りにホワイトデーといった季節の催しが開催されていた。
ふと、黄色いバレッタが目についた。
心臓がドキリと跳ね上がる感覚を覚える。
先日、八巻が小学生の頃にバレンタインチョコをくれた山吹杏と久し振りの再会をしたからだろうか。その時の甘酸っぱい思い出が再び思い出される。
しかし、黄色いバレッタをしている見ず知らずの女性の後ろ姿を見ただけで、何故そんな感覚を覚えるのか不思議だった。
黄色いバレッタの女性はホワイトデーの催し広場にいた。
色々な商品を見比べては、悩んでいるようだ。
別の商品棚に移ろうとした時に表情が伺えた。
黄色いバレッタの女性は、山吹杏本人だった。
八巻は躊躇った。声をかけるべきかどうか悩んだ。もし結婚していれば、ご主人も近くにいるかもしれない。いくら幼馴染みとはいえ、最近再会しただけの間柄なので変に勘繰られても困る。
しかし、偶然とはいえ久し振りに出会えた短い時間の充実感に感謝して、あいさつくらいはしておきたい。
軽いあいさつくらいならば、ひとりでいる時の今しかないだろう。
意を決した八巻は杏に声をかけた。
「山吹さん。この前はありがとう」
「八巻くん!」
八巻の声に気が付いて振り向いた山吹杏の表情は、笑顔だったが少し恥じらいを帯びている。
「そんな!こちらこそ。突然声をかけたのにたくさん話してくれてありがとう」山吹杏は思いのほか早口だった。
「八巻くんはお買い物?」
「そう、買い物。山吹さんは、バレンタインのお返しを買いに来たの?」
「そうよ。姪っ子にバレンタインを貰ったから、お返しを買いに来たの。色々あって迷っちゃっうわ」
困った笑顔も少し恥ずかしそうにしている。
八巻はホワイトデーの催し広場の棚を見渡す。確かに種類があり過ぎる。
「分かるよ。これだけあると迷うよね」
会話の流れがなんだか軽いあいさつで終わらなそうな気がしてきた……。山吹さんは声をかけられて、少し困ってるかもしれないな。
「じゃあ、また」
八巻は山吹杏の前から離れようとした。
「ねぇ、八巻くん。連絡先教えてくれない?」
突然の言葉に八巻は山吹杏の顔を見つめた。
どういう意味だろうか。
八巻は思案した。
「八巻くん、お仕事でサックス吹いてるでしょ?もし、よかったら、幼稚園の子供たちに演奏会をして欲しいの」
杏の表情は少し高揚はしているが、先ほどまでの恥じらいはない。
「今のところ私だけの考えだから、まだ何も決まってはいないけれど。もちろん、ちゃんとお仕事として依頼するわ」
ああ。なんだ。そのための連絡先か。
杏の言葉に、少しガッカリしている自分に八巻は気が付いた。
「子供たちに向けての演奏会なら、ボランティアするよ。気軽に声かけてよ」
ちゃんと笑えているだろうか。
ガッカリした顔をしていないだろうか。
八巻は自信がなかった。
連絡先を交換し山吹杏と別れた八巻は、ひとり食品スーパーに向かった。
八巻の心はほのかに温かかった。
ああ。この感じはこの前と同じ感覚だ。
彼女と話をすると嬉しい気持ちになるのは何故だろうか。
食品スーパーの店内で買い物をしながら、八巻はふとスマートフォンが振るえるのを感じた。
手に取り確認すると、山吹杏からだった。
「さっきは声をかけてくれて、ありがとう。演奏会の話。本当に考えてるから、決まったら連絡するね」
「別に、それ以外の事でもいつ連絡をくれても構わないのにな……」
杏からのメールを眺めながら八巻は独り言ちた。
心の芯から少し甘酸っぱいうずきを感じた八巻は、自分で自分に苦笑いをした。
ありがとうございました。
次回もラジオ番組の投稿コーナー
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妄想【愛の劇場】#26「占い」




