これはまだ君が生まれてなかった頃からの名曲のせいだ
「「「♪~~~~~♪」」」
文面では、言葉の意味しか伝わらないものだ。
歌詞だと説明した上で言葉を書けば、即座にこの運営が動いてしまいそうなくらいにだ。
女子小学生達はハモりながら歌って下校する。その発声、テンポ、リズム。なによりも、笑顔。
これらが心をトキメかせ、懐かしさに感動する。フラッシュバックするほどのリズムだった。
今度、”学校内の音楽コンクール”で子供達が披露する一曲なのだ。
それにしても、今の子供達が生まれてから知る曲ではない。聴こえた時、今の自分でも幼く、乏しかった日に流れた、誰でも聴いたことがある名曲。親世代にはド直球な名曲を、子供達にチョイスさせるとは、きっと先生も大好きなんだろう。
そして、”粋”だ。
「「「おーーーっ」」」
下校途中で熱唱し終えた女子小学生達、自分達でも驚きの好感触。この下校途中、アカペラだけで歌う様。子供のレベルとはいえ、周りの大人達を一気に懐かしさに浸らせる、この歌声と名曲は素晴らしいものだ。
「良い感じ良い感じ!」
「この曲って良いよね!お母さん、ずーっと好きって言ってるし!」
「のんちゃんも気に入りました!!」
「あたし達が生まれてくる前どころか、お母さん達が子供の頃に聴いた曲なのにね!」
名曲にも色んな形があるだろうが。
揺るがない絶対回答には、”多くの世代から愛される・支持される”という、パーフェクトな回答がある。この名曲は、それを満たしている。
レストラン、ガソリンスタンド、学校、テーマパーク、コンビニ、テレビ、ネット……多くの場所で流れたことのあるモノだ。
耳が一度聴けば、”聴いた事ある”&”知ってる”。3歳時ぐらいに見せる、自分の感情を出して口にしてしまう。大人だってそうなるような曲。ありふれる言葉だらけなのに、わずかな歌詞だけで、その曲を捉えちゃうことだってできそうだ。
「きっと音楽コンクールは上手く行くよ!」
「お母さん達、喜んでくれるかな!?」
女子小学生達は笑顔だった。
家に帰ったら、この名曲を捜してみようかな。
◇ ◇
「え~~~~っ」
そんな出来事から数日後。人によっては……否、子供達にとっては何気ない帰り道だったろう。
友と仲良く下校するなんて、青春として正しいのだ。
そこに
「あなたですか。最近、学校の周りでうろつく不審者は……」
「…………」
どーして、学校の関係者でもない者が、子供達の”音楽コンクール”なんて知ってると思う?
帰宅途中の女子小学生達が熱唱している間、聴いていられたと思う。
「下校時間にうろつくせいで、子供達が怖がっております!」
どうやら俺は、
どっちにしろ、
通報される運命だったのか。




