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ウチ鍵

朝起きて、、、顔洗って、飯食って、、、

会社に行って、上司に怒られ、帰宅。動画投稿サイトで以前

観たような動画漁って眠りにつく、、、

そんな退屈な毎日をもう3年も続けている。


今日も相変わらず電車で通勤。

品川で乗り換えのためにホームで電車を待っていた。

今日は電車を待つ列の、前から2番目。

もしや座れるかも、、、!


「ふぁああ」


昨晩、久しぶりに面白い動画を見つけてしまったせいでほとんど寝れていない。

眠すぎる。もし座れたら、少し寝よう。

いい加減社会人として正しい習慣を身につけないと、、、


途端、目の前の女の子が線路側によろけた。


『まもなく2番線に電車が参ります』

アナウンスが流れ、女の子は線路めがけて倒れかけている。


「バカあぶねぇ!」


女の子の手を引くと同時に、自分の体が線路へ一直線に投げ出される。


ドサッ


そのまま線路に落ちた、、、のか?

頭から落ちたのか、頭が痛く、目が霞み、視界が悪い。


ファアアアアアアアアアアン


電車の悲鳴が聞こえる。

線路脇にくぼみのようなものがかすかに見える。

あそこに入ればワンチャン、、、、、


しかし、体が思うように動かず、地べたをのそりと這うのが精一杯


ファアアアアアアアアアアアン!


電車ももうだいぶ近い。 


「死ぬ、、、ッ」


と、突然ガチャガチャとポケットから音がした。


鍵だ。

次の瞬間、俺の家(おれんち)の鍵が一直線に「くぼみ」めがけて飛び出した。


キィン!


アクションゲームのノーダメージ音のような音が聞こえた。


〝承認〟


少しこもったような女性の声が聞こえた。

次の瞬間、「くぼみ」の中から虹色の光が飛び出した。


「吸い込まれる、、、っ!」


俺はいとも簡単に「くぼみ」に吸い込まれ、そして意識が遠のいていった、、、。


___________________________________________________


「、、、い」


何か聞こえる、、、


「、、、、い」


まだ意識がぼんやりするが、、、体の痛みがなくなっている。

俺、轢かれても生きてたりする超生命体だったりして?


「おーいっ!」


「どぅあああっ!」


ぼんやりとした意識から一気に現実に引き戻された。


「おぉ、気づいた!大丈夫ですか?」


まだ若干霞む目を擦り、ゆっくりと目を開けるとそこにはアニメの世界から来たかのような娘がいた。

黒髪、ショートウルフのような髪型をした美少女。と、長い耳。


「大丈夫そうで何よりです。お礼も言いたかったですし」


お礼?何のことを言ってるかはわからないが、、、

視線を空から横にずらすと、、、ここは森、、、?


「えと、、、すみません。ここは、、、?」

「ああ、そか。ここはマムルの森です!場所を知らずにここへ、、、?」


マムル?マムシの親戚かなにかか?


「ところで、、あなたは、、、?」

「私はマルエナといいます!エルフ族の守紋族の一派です。」


マルエナ、マムル、、、しゅもん、、、?聞き慣れない名前ばかりだ。

にしても。やはりこの長い耳はエルフのモノだったか。

以前から動画サイトでこう言った異世界チックな人種や魔物などの動画を漁るのが好きだったからな、、、


ん?


「異世界、、、?」


気づいたらそう呟いていた。


「いや、、、いやいやまさか、、、ね!」


マルエナの方を振り向くと、不思議そうな顔をしている。

いや、、、こんな綺麗なエルフが現実にいるわけがないか。

認めざるを得ないのか、、、?


「異世界てんせ、、、いや、、異世界転移、、、」


そう呟くと、


「やはりですか!転移系の魔法を使って我々を助けてくださったんですね!」


魔法?一体何の、、、

あたりを見回すと、オーク、、、?のようなものたちが少し先で倒れている。その数、百はいそうだな。千匹くらいいてもおかしくなさそうだ。


「我々エルフとオークの間では戦闘が頻繁にあり、エルフ側の犠牲もかなり出ています。特に守紋族はこういう時盾にされがちで、、、」


どうやらあの散らばっているオーク達とエルフらは俺が目を覚ますまで戦闘状態にあったらしい。

確かに、オーク達と反対側には倒れているエルフらも数名見える。


「ですが現在、その、あなたのおかげで敵のオークは全滅。我々は勝利したのです!」


初めてマルエナが笑顔を見せた。優しい、ほんの少し口角が上がっただけの不器用な笑顔。

事情はよくわからないが俺はこの笑顔を見れたことに感謝し、遠くを見つめ微笑んだ。


綺麗な森、青い空、小鳥の囀り、オーク達の亡骸、つぶれた電車。いい世界に転移できたもんだ!

いい世界に、、、


電車?


目を凝らしてもう一度よく見る。

だいぶボロボロになっているが、8両の電車だ。


「な、なぁマルエナ。あれって、、、」


電車を指差しマルエナに尋ねる。


「はい!あなたが転移してきたと同時に現れた、鋼鉄の戦車!ですよね!我々エルフの中でもう戦えるものがいなくなるピンチに、あなたが助けてくれたんです!」


さっぱり意味がわからなかった。

俺が電車を呼び出して、オークをやっつけた?

文面にしても一生理解ができなさそうだ。


「な、なぁ。俺、魔法とか使えるわけではないと思うんだけど、、、ただの人間だし、、、」

「そんなことないですよ。私はしっかりと見ました!あなたが鋼鉄の戦車達と一緒に私たちの前に突如現れたところを!」

「は、、、はぁ、、、」


一旦はこの状況を飲み込むとしよう、、、


「このあと、あなたはどこへ行かれるのですか?」


あぁ、そっか。俺もう帰る家ないんだよな。


「もしよろしければ、我々の村でお祝いをさせて頂けませんか?ぜひ、お礼をさせて頂きたいのです!」

「今のところ行くあてもないし、願ったり叶ったりだけど、、、マルエナの村、、、?で『どのようにして勝ったんだ?』 『もう一度やって!』とか言われても何もできないけどいいのか?」

「もちろんです!そんな失礼、絶対にさせませんので、どうか安心して下さい!」


ま、こんなかわいい女の子にここまで言ってもらって、断る理由はないな。


「よし、そうと決まれば案内をお願いするよ」

「勿論です!ところで、、、」


「ところで、、、あなたのお名前は?」


名前、、、現世現世(あっち)じゃ ササキ エイト だったから、、、

よし。


「俺はエイト。よろしくな。」 


「エイト、、、はい!よろしくお願いします、エイトさん!」


こうして、俺の人生の第二章になりそうな物語が始まるのである!



、、、カチャ



続く










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