表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
デイズ -名も無き魂の復讐者-  作者: 竜
Season1
6/37

5話 怪物が導いた行く末

えええーーーーー!!!!


『そこの君、早く逃げて!!!!体を乗っ取られるから!!!』


突然襲いかかる優花、その彼女にパンチをお見舞いする坂口紘、そして厨二病を感じさせる彼の発言。あまりの情報量に襲われた萌絵は、そのまま廊下の向こう側へと逃げていく。


逃げたことを確認した紘は本題の相手であるアレに視線を向ける。拳の勢いで倒れこんだ優花の後ろには、筋肉質の黒い怪物が立っていた。頭が天井につくほどの高身長。象形文字のような暗号が刻まれた厚い皮膚。そして体からを放出し続けている火山灰のような粉末。これらの特徴を踏まれると、見た目が完全に怪物であるのは言うまでもないだろう。


鋭く尖った大きな爪が、坂口紘に襲いかかる。瞬発力ある動きで交わすも、インパクトある蹴りが腹部に向けて放たれる。その威力は、女子生徒が逃げていった方向に秒でつくほどの速さ。気づけば、校舎の壁を突き抜け、宙へと身を投げ出されていた。黒い怪物も、あっという間な速さで紘の前に現れ、追い討ちの拳を打ち込む。そう簡単にやれるか!!そういう意気で反撃に挑んだ紘が目に見えない速さの瞬間移動で姿を消してしまう。どこに消えたのかと思えば、怪物の頭部から勢いよく拳を振りかざす彼の姿が。そのまま怪物は拳から放たれるすざましい衝撃波と共に、倉庫の天井を突き破っていった。


まだ終わらない!!地面に倒れこむ怪物の腹部、脇腹、膝、に向けて何度も拳を打ち込む。その過程で倉庫という倉庫が破壊されていく。なんとか体を押さえて、何かを取り除こうとする紘。しかし、人間を超えた怪力を抑え込むには限度がある。それでも・・・

取り除くことに気を取られている間に、手の平から白い光を灯し始めるエネルギー源が紘の視界に入る。それに感づいた瞬間、倉庫あたりは爆風に包まれた。


*  *  *

ある一軒家にて。玄関ドアに貼り付けていた鈴の音が家全体に鳴り響く。


『お帰り、優花。手洗ったら、期末テストの進捗度合い見せてくれる?』

暗い表情で帰ってくる私にいつも通りの対応を示す。家の壁には勉強をモットーとする名言。そして暗記に必要なワードや表が壁一面にびっしり貼られている。よっぽど勉強を重視した家庭のようだ。


母親が作ったであろう手書きのやるべきリストと今日やったノートの問題を見比べる。突如、前髪が乱れた私の頬に目掛けて平手打ちをお見舞いする。その勢いで座っていた椅子から床へと大きく尻を突く。

『このごろ、計画の予定より遅れてるじゃない!!!何考えてるの!!!!こんなんでいい点数取れるわけないだろう!!』

ついに男の口調で責め立てた優花の母親。勉強に一つでも支障が出たら容赦がない。

『恋愛とかで浮かれてるんだろ? 携帯出して』

顔の前に突き出された手の平。意地でも携帯を出さない私に対し、無理やり荷物の中を探り始める。ようやく見つけた母親は一つ一つの連絡先を確認し始めるが、私に止める気力なんてもうなかった。結果、彼氏である遼くんのことを伝えていなかった私は母親によって強制的に彼のアカウントを削除される。それから言われた言葉は数知れない。思い出したくない。


私の暮らしはいつもこう。家庭からの圧力。母親の望みは、姉が東大に入ったように、私もハイレベルな大学に合格し、少しでも将来有望な人材に育て上げること。その目標が立って以来、私に自由はなかった。携帯があるものも、連絡用のガラケーのみ。娯楽はほぼないに等しい。そんな環境で育ったなら当然、私に夢なんてない。たとえ幼い頃から本気で叶えようとしていた夢があっても、親なんかが認めてくれるはずがない。だって、歌手になることが私の本当の夢だったんだから・・・だいたいの大人がそう。小さい頃に持ってた夢なんて、本当に応援してくれるはずがない。だって、親は現実的に子供たちの将来を考えしまう生き物なのだから・・・それが子供の夢を奪うことになっても。


そういう風にしか考えられない私は少しずつ成績を落とすようになっていた。1年の頃は順調に1位をキープしていたためか、みんなからは賢いと言う印象が根付いていた。だから成績を100位まで下がった事実があっても、賢いと言うイメージが剥がれなかった。


それから1週間後の期末テストを終え、結果が返ってきた頃。まじまじとその結果を見ていた母親は、私の耳たぶを思い切り引っ張りながら、玄関の外側へと放り投げる。


『こんなこともできないなんて・・・もうあなたは私の子じゃない』


強く閉めた時に響く扉の音と生きる気力を失わせるほどの言葉。その衝撃がようやく脳内に伝わったのか本当に捨てられたんだと、身に沁みて感じる。そして私は一つの答えにたどり着いた。


そうだ・・・もう楽になろう。


5話、読んで下さりありがとうございます!!もし更新が遅れてるように感じる方がいましたら、すいません。明日から更新する時間帯が多少変更する予定ですが、毎日、1話でも投稿していくので、引き続き応援していただけると嬉しいです!!

もし、1日でも投稿が止まる場合はまたお伝えします!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ