あの男が帰ってくる
1年前・・・
『優花。怪物にならない代わりに、人間としてこの先もずっと生きていく。そう約束したよね?悪いけど、その約束は嘘なんだ・・・』
『え?なんで?』
『この鍵を閉めれば、この世にいる怪物は全て消え去る。たとえ別の場所にいても。だから、ここで鍵が閉まるのを外で見ていたとしても、俺の肉体と心は自動的に向こうの世界へと飛ばされる』
しばらく溢れ出す涙を止めることはできない優花。
『・・・そんな・・・お別れしたくない。なんで!?そんなことしなくても、他に方法があるかもしれない!!!』
『ううん、もうない』
心の中では酷く痛むが、きっぱり伝える事で、愛す彼女を突き放すしかなかった。
『最後に聞いていい?あなたが昨日話してくれた時に出てきた女の子・・・あれ私なんでしょ?』
『そうだよ。ずっと君のことが好きだったんだ。だから、君が幸せになるように頑張ってきたつもりだ』
『その気持ちに・・・私は今日まで気づけなかった・・・』
泣き崩れた優花はそのまま、地面へと顔を埋めてしまう。
『だけど、君といたこの夏休みは、とてもかけがえのないものばかり。それに人間世界がいかに魅力的なのかを教えてくれたのも君たち仲間だ』
そう俺は一人一人の顔と向き合う。
『ありがとう優花。愛を教えてくれて・・・もう後悔なんてない。本当に幸せだった』
その言葉を最後に、俺は彼女を強く抱きしめる。
* * *
影の怪物が彷徨う向こうの世界にて、あの男にある記憶が流れ込んでくる。
吉田隆文を庇う橘萌絵、息たえる彼女、その彼女を抱え込む彼。
『何が・・・起きた・・・』
俺は慌ててベットから起き上がる。もちろん、俺は影の怪物がいる世界・向こう側の世界にいる。あいつらがこっちに来ているわけがない。いや、来れるわけがない。だが、微かに映る岡本優花の戦う姿。これが人間の世界で起きているなら・・・
『なあ、人間世界へ行く扉はどこにある?』
影の怪物たちに自我を与えた仲間たちに、呼びかける質問。
『人間世界に行く扉なら、最北の地方・メルシアにあると思いますが・・・なぜ今更?』
『優花たちが危ない。急いで向かうぞ!!』
『待ってください、紘さん!!!』
俺・坂口紘はすぐ様、あの世界へ戻るための一歩を踏み出した。
続きは、今後描かれていくREVISE修正戦記を楽しみにしていただけると嬉しいです。
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