人材
♯008
ある日、某映画製作会社の入口の硝子扉に一枚の貼り紙が貼られました。
『急募 力自慢、鍛え上げた筋肉に自信がある人 時給1万円』
すぐに俳優志望のマッチョな一人の男がやってきました。
男は会社を訪れてすぐに社長室に案内され、いきなり社長から『面談』と『テスト』が行われました。
社長 「おぉ、いい体してるね。見るからに力ありそうだね。」
男 「はい。鍛えてますから。」
社長 「じゃあさ、そこにある金庫、隣の部屋に動かせる?それくらい力のある人材が欲しいんだけど。」
男 「え?あのデカい金庫ですか? ま、まぁ出来なくはないと思いますが。」
社長 「そう。じゃあ、一時間経ったら見に来るから、それまでにあの金庫を隣の部屋に移せるかどうかやってみて。」
そう言って社長は退室し、筋肉男は力を振り絞って少しづつ、その大きくて重い金庫を一人で動かしていきました。
一時間後、社長が戻ってくると、大きな金庫は見事に隣の部屋に移動されていました。
社長 「君、素晴らしいよ。採用。次の仕事ができたら君を呼ぶよ。じゃあ、コレ。今日の分ね。」
筋肉男は1万円貰って、その日は帰りました。
秘書 「社長、次回作ってアクション物ですか?」
社長 「違う違う。あの金庫動かすのに業者に見積とったら、3万円って言われたからさ。」
そう言いながら社長は入口の貼り紙を剥がしました。
意識してないと投稿するの忘れそう。