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逃げないと決めた
♯006
昔、アメリカの田舎町で二人の罪人の絞首刑が執行されようとしていました。
田舎の小さな町でしたし、わざわざ絞首台を組むのも手間だったので、町外れの川に架かる橋にロープをかけて、ロープのもう一方を罪人の首にかけて、そのまま橋から突き落として吊す事になりました。しかし、死刑なんて滅多にない町でしたので、役人達は準備に手間取って、あまり上手にロープを結べていませんでした。
まず一人目の刑が執行された際、ロープがほどけてしまい、罪人1は首が絞まる事無く川に落ちてしまいました。しかし罪人1は、そのまま川を泳いで見事逃亡に成功しました。
その様子を橋の上から見ていた罪人2は言いました。
「俺のロープは解けないようにしっかりと縛っておいてくれ。俺、泳げないんだ。」
今のところ順調です。