初日
会社員。日本語で言うとサラリーマン。
サラリーマンというのは、和製英語であるから、日本語である。
海外では通じない言葉なので気をつけよう。
まあそんなことはどうでも良い。
通勤電車で揺られる毎日。
なぜ、早朝からこんな辛い思いをしないといけないのか。
満員電車。
満員とは、乗車率の問題であるが、本当に満員になると、吊革に掴まるだとか、そういうことが不可能になる。
これは、ある男の、社会人初日の風景である。
(どこかに掴まらなければ・・・。)
必死に吊革に掴まろうとするが、吊革が空いていない。
満員とはそういうものだから、仕方がないのだが。
(くそう、周りの人はどうしてるんだ。)
良く見ると、背の高い人は、吊革の着いている根本の金属の棒に捕まっている。
(掴まってる、良いな)
そうは思うが、どうにも自分には届かない高さ。
仕方がないので、どうにかその場で踏ん張るしかない。
そのままでは揺れに耐えられず、あっちへフラフラこっちへフラフラ。
人に寄りかかることになり、どうにも気持ちが悪い。
しばらく乗っているうちに、コツを掴み始める。
足をやや内股気味に構え、重心を落とす。すると、揺れに対して安定し始める。
これだな!なんて思って耐える。
(あと何分これに乗ってないといけないんだ・・・)
地獄のような時間は続く。
駅があればその都度電車は止まる。
ただ、朝の電車というのは、人が増えることがあっても減るということは少ない。
それが突然、大量に客が降りることがある。
乗り換えである。
乗り換えの駅では、非常に混雑する。
別の路線に乗り換えるために、降りる人もいれば、
今よりも先の駅に向かって乗る人もいる。
従って、人の波ができる。さながら激流のごとし。
激流には逆らってはいけない。
波に飲み込まれるようにして、一旦電車から降りることになる。
ただ、目的地はこの先。
従って、このまま流れに着いていってはいけない。
しょうがないので、うまく人の流れを読んで元の車両に戻る。
そうこうしているうちに目的地の駅に到着。
「はぁー。疲れた。」
もう汗ダクである。
朝から既に、軽く疲れてしまった。
こんなことをみんなは、毎日やっているのか。
そう思うと、社会人って大変だな。
オヤジってすげえな。
そんな風に思い、自分の父を尊敬してしまうのだった。