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汚染星力って、何それ美味しいの?

 どうも。


 うっかり、この口が了承してしまったがために、異世界転生なる中二病臭い事態に陥ってしまった自分です。


 なんか、こう・・・

 体がムズムズするよね?

 何でだろう?

 何かのアレルギーに当たって蕁麻疹でも出たのだろうか?


 努めて気にしないようにする。

 気にしたら、多分負けだ。



 とはいえ了承してしまったので、お任せコースで異世界に行くなんてとんでもない。

 自称:神と話し合う。

 自分が異世界転生させられる場所は、昔の核シェルターならぬ、星力シェルターだって。

 有力者が作ったシェルターで、うっかり殺し合いが起こり、殺されたり老衰で死んだりして既に生き残りはいないらしいが、物資は潤沢にあるらしい。


 異世界なんだけれども、ビルの様なものも建っていて、行く先の異世界はかなり文明が発達していたらしい。

 といっても、既に文明は滅びたようなものですが。


 文明が荒廃した世界。

 それって何てディストピアなんだろう?


 どこの世界でも人間・・・というか知的生命体の業なのかもしれないけれど、自己保身に走るあまり種全体の利益を大きく損なっているよねぇ・・・?行かせてもらう星力シェルターを作った人たちも、もっと誰かを助ければ文明が断絶しなかったり子孫が残せたりしたかもしれないですのにね?

 使えきれない物資を抱え込んだまま全員死んだ、というのは結構身につまされる。

 現代でも普通に起こりうる話だ。



 まぁもっとも、その有力者さんたちが盛大な引きこもりさんとか、厭世家の人だったりする可能性もありますけどね。

 それはそれで有能だと思う。ある程度で見切りをつけて、世俗から逃げたのだろうから。


 何にしても死んでしまった人の事は分からない。


 という訳で、行き先の世界はディストピアらしいのだが、ある程度の快適な生活は送れるとかなんとか言うのが、自称神様の言い分だ。


 快適なのは風呂とか、ベッドとか、飲料水とか、服とか、非常食や燃料などそちら方面。

 逆に足りないものは新鮮な野菜とか、肉とか魚とかそういうもの。生鮮食料品関係だ。

 醤油の活躍の気配がまるでない気がするのは、気のせいでしょうか?


 シェルターに様々な”種”を冷凍ならぬ星力保管してあるらしい。この仕組みはよくわからない。時を止めているみたいなんだけれども・・・やはり星力とは魔法ではないだろうか?しかし星力で保存したはよいけれど、肝心の惑星の汚染が酷くて封印を解いてもすぐに死ぬ・・・わけではなく、星力の影響で訳の分からない謎の生命体が出来上がって魔物化して襲ってくるんだって。


 こっわ。


『汚染星力』ってホント何なのだろう?

 そういったことが書かれた本なども向こうのシェルターには沢山あるらしいので、暇つぶしとかもOKらしい。


 ただ、やはり人は居ない。

 恐ろしい程いない。


 人類ほとんど死んじゃったらしいからね・・・。

 居たとしても、自分が飛ばされる場所は星力汚染がひどい地域なので、結局誰もいない。


 うーん、虚しい。


 やはり醤油の出番はないのだろうか?

 醤油も色々な種類があるし、ぜひ試してみたかったんですけど。

 どうやら、異世界転生を早まって了承してしまったかな?


「心配するところってそこかな~?生き残れるかってところじゃなくて~?」


「生きて自分にそこの空気清浄機になってほしいのなら、自分が死んだら困るんでしょう?それなりに死なない様な場所か、死なない能力っていう奴を付けてくださるのでしょう?」


 自分は絶対に()()()って言わないからな。


 そして、求められる自分の役割が空気清浄機なら、一番汚染が深刻な場所に置かれるよね?


 うっかり了承してしまったけれど(パート3)、自分の魂って奴は星力には汚染されないかなぁ?

 役目を終えたら普通の転生って奴に戻れる?大丈夫ですかね?


「普通の転生に戻れるかは知らないけれど~、あらかじめ体には汚染星力に耐性を付けて送るから大丈夫じゃない~?よっぽど無茶をしなければーだけれども」


「耐性があっても、転生に戻れるかは分からないんです?」


 地球から距離があるとか、別の次元の宇宙だからとかそういう問題ですかね?

 向こうのディストピアでなら転生できる・・・とかですか?

 住んでみなければ分かりませんが、今のところ、かなりの高確率で出来れば転生後は地球に戻りたいなぁと思ってしまう。

 それくらい望んだって罰は当たらないよね?


「だって普通に生きていても、自殺したり、恨みつらみでその辺の地縛霊化する人って沢山いるじゃん~?」


 あれって輪廻転生の輪から外れているって事なのか。

 まぁ考えてみればそうか。

 その辺で幽霊やっていたら転生はできないだろう。


 逆説的に言えば、自分がまっとうに生きて、幽霊になるような執着を持ちすぎなければ、地球に転生できるって解釈でOKなのかな。後、無茶をしなければ?一体無茶ってなんだ?


「OKだよ~。ちゃんとお役目を果たしてくれるなら、その条件も契約に入れておくよ~!無茶っていうのは、自分の耐性が弱るほどの大けがを負うとか、汚染物質を大量に食べるだとか、生命力が枯渇するほど星術を使うとか?」


 自称・・・もう神でいいか。

 どっかの神様も契約満了後の地球帰還をOKしてくれた。


 ちょっと安心。ちょっとノリが軽いけど。

 そして、大けがや、よほど突飛な事をしなければ地球に転生できそうで安心する。

 ていうか、今度は星術ってなんだ。


「星術は魔術っぽく星力を使う感じ~?電力みたいに使った方が安定するしコスパが高いから、敬遠されるよね~?あ~でも最も、それをやって文明が滅びたんだけど~あはははは(笑)」


 ほうぅ。

 それって・・・・(ソワソワ)、いわゆる・・・魔法って事ですかね(ソワソワ)?


「だねぇ~」


 軽く肯定してくる神だ。


 ・・・後で、全力で溢れるほどあるっていうシェルターの文献を探しましょうね~。


「男の子ってやっぱり、そーゆーの好きだよねー。あと木の枝とかさ」

「・・・確かに木の枝も好きですが、女性でも好きな人は好きですよ」


 魔法でも超能力でもなんでもいいが、不思議な力があるとなったらやってみたい人が殆どじゃないでしょうか?


 そうですよね?!

 自分だけが中二病とか!そういう事じゃ!無いですよね!!!!???


「やっぱさ~チートにしておけば良かったんじゃない?」


 そうニヤニヤと神が聞いてくる。


「チートもハーレムもダメだとご自身が仰ったのでしょう?」


「そうだけどさー。魔物をばっさばっさ斬るとかそういうのは無理だけど~、原始的に火を起こす能力をあらかじめ持たせるとか、コップに水を入れるとかはできるよ?」


「・・・それってチートなんですかね・・・・?」


「キャンプでは役立つけどねー?ああ~でも、初期リスポーン地点はシェルターだから、旅にでも出ない限り必要ないか~(笑)」


「」


 今度はゲーム用語に寄せてきやがった。


「まぁ、チートじゃなくて後から努力しても、殆どの人に種火程度は起こせる素養はあるんだけどね」


「」


 やっぱり生活が安定したら、一人で練習しよう、星力。

 そう決意していると、神は「ドバドバ電力みたいに無制限に使ったり、悪意を持って使わなければ、汚染星力にならないから~まぁ頑張って」などと言う。

 つまり、行き先が汚染されたのはソウイウ理由なのですね。戦争が直接の原因みたいですし、まぁ殺す気満々で星力を使ったらダメって事なんだろう。

 あれ?身を守る場合とか、狩りの場合もダメなのかな・・・?


「程度の問題だよねー」

 なるほど。

 現地人は相当ヤバい使い方をしたと再確認する。



「おさらいしますと、自分はディストピアに転生させられる。基本的な物資はシェルターにあるのでOK、ただ人がいない。辺りは汚染されているが、自分は耐性があるので問題ない。そこに存在し続けることが仕事。醤油が出せるって事で相違ないですね?」


「合ってるよ~。さらに言えば、はじめ数年はPOP地点近辺に居てくれないと困るけど、ある程度星力汚染が緩和してきたら、他の地域も見に行ってもいいよ~。なんたって惑星全体が満遍なく地表汚染されている訳だから、どこ行っても君は大活躍だね!アハハハハ!」


 笑い事じゃないと思うのは自分だけだろうか。

 あとPOP地点言うな。


「数年はいた方がいいんです?」


 何だろう?

 そこだけ汚染がひどい?


「シェルター近くの汚染がひどい理由は、星力汚染に対抗して変な実験が行われて、都市丸ごと一個分の人命が供物にされて、妙ちきりんな生命体が生まれちゃったんだよね。そいつの出す汚染が酷くってさぁ(笑)」


「えっ!?」

 笑い事じゃないんだと思うんですけど、やばい生物が現地にいるの?


「ざっと100万人くらいの命が星力に変換されて飽和されちゃったからなぁ。君が()()なら、さしずめそいつは”魔王”?」


「えっ?」


 え?自分のPOP地点って、まさかの魔王城とかラスダンとか、そんな感じなの?


「そうそう。ゲームで例えるとそんな感じ~」


「えっ?!ちょっと・・・マ?」


「マだけど~大丈夫。生き延びれば問題ないから」


 焦ってマだとかPOP地点だとか自分で使ってしまった・・・。

 え?ちょっとマジで言ってるの?

 その『生き残れる』かが大変怪しくないですかね????

 そりゃ、生き残りの現地人も近づかない筈である。

 焦る自分とは裏腹に、神は平気平気~と笑いながら、次の話に進めてしまう。


「まずねー、若返ってもらうからね。今でも十分に小さいけど(笑)、逃げ回れるように瓦礫の隙間に潜れる・・・そうだなぁ。6歳くらいの体かな?それくらいにしておくから」

「また6歳スタート・・・」


 いや、自分は大きくなりたいんですよ。

 何で小さくなっているんですかね?

 必要な事とはいえ、ちょっと納得できないというか。

 ていうか、何から逃げる必要があるの?自分・・・。


「元の年齢に戻るころには、たぶん今より身長は大きくなっているよ。大丈夫~」

「そうなのですか・・・」


 それならいいかな?

 ただ、現地の様子に合わせると思うから、民族によって身長って結構違うと思うんですよね。

 極端な話、ガリバーみたいな感じになりたいわけじゃないのだ。

 平均のちょっと上くらいがいい!ちょっと上!


「星力汚染の緩和というのは、どうやって分かりますか?」


「慣れてきたら自分でも分かると思うけど~、まぁ目に見えて変わってくるからそれは大丈夫じゃない?」


「目に見えて変わる?」


 目視でわかるというのか。

 星力は魔力や電力みたいなものって言ってたけれど、両方目には見えないぞ?

 でも雷としては見えるか・・・。

 その辺に雷が落ちまくる・・・とか?


「それ、みんな死んじゃうじゃん(笑)。異常な動植物ばっかだったのが、普通の雑草だらけになる?あ、でも君向こうの普通は分からないか」


「分からないですね・・・」


「まぁ目に見えて変化があるよー」


「なるほど」


 生態系に変化があったら、その時って感じか?

 わからん。

 ただ、適当でいいって感じかな?

 適当に言われたなら、自分も適当に判断するっていうのが自分のスタンスだ。

 何か変わったと思ったら、勝手に遠出を考えればいいだろう。

 どっちにしても子供スタートだというし、始めは無理できないしね。

 衣食住確保して、勉強して、醤油考察は後回しってところかなぁ・・・?

 醤油に対しては残念な気持ちもあるが、文献など興味深いものも沢山ありそうなので、苦痛じゃないかな?どうだろう?


「君、やっぱり変わってるよね~?自分につけられる能力とか、そっちは全然興味ないよね~」


「一番大事なものは貰いましたしね」


「醤油が活躍するくらい食卓事情を改善させるのは時間かかると思うけど、頑張って~」


 なんか嫌な事を聞いたなぁ。

 食料が虫とかだったらどうしよう。

 あれって高たんぱくで体にいいものもあるんだよね。

 でもさすがに虫に醤油かけたいとは思わないが。


「栄養補助食品が多いねー。ブロック型固形食事?宇宙食?」


「ああ、大体わかりました」


 味度外視の体にいいだけの人工的に作った食事って事だろう。

 原料が虫の可能性もないわけじゃないけれど、見た目がグロくなければいいや。

 そして、汚染が解除されてきたら野菜とか、次に魚とか見つければいいだろう。

 肉っているのかな・・・?


「いっぱいいるいる~狩りをして捕まえてお肉にしなよ~。ああ、でも当分すぐには食べない方がいいよ?そのうちコツがつかめると思うけど、しばらく置いておいて汚染星力が抜けたら食べるんだよー。あとレベル上げよ~」


 レベル言うなし。

 絶対そういう世界じゃないって分かっているのに、ところどころ無理やりゲームに寄せるのは止めてほしい。

 ゲームっていうより、どっちかっていうとSFとかそういう世界じゃないですかね、コレ。


「レベルを上げると、汚染星力の処理能力が上がるよ?たぶん」


 そうなのですか。

「何かぴんと来ないですが、自分が居ればいいだけなら、無理してあげなくてもいいんじゃないですかね」


「うーんうーん、それはそうなんだけど、早く旅に出られるようになる?安全度が上がる?」


「安全度が上がる?」


 現地は危険だと多少は危ないと思っていたけど、そんなにレベル上げが必要なほど危ないのでしょうか?

 そもそもレベルって何なのでしょうね?

 戦闘力?汚染物質処理能力?


「う~ん・・・普通は大丈夫だけど・・・絶対とは言い切れない?そんな時にレベルが高ければ対処が可能?たぶんトラブルは汚染星力による異常事態だろうし。レベルが上がっていればトラブル度も減るだろうし?」


 それに、根本的にどうやってレベルを上げるんだ。


「汚染星力を分解した量だね~」


 ・・・仕事=経験値というわけですね。

 イメージとしては筋肉量を上げるような要領で汚染星力の処理能力を上げろって事だろう。

 分かりましたよ・・・


「じゃあそろそろ転生してもらおうかな~?慣れてきたら、シェルターから少しずつ外に出てみてね。シェルターの中は汚染星力少ないからねー。それと現地に適応できるように、ある程度体は作り変えるけど、基本設計は今の君ベースにしているから~。じゃ~ね~」


「あっ・・・ちょ!」

 焦って声をあげるものの、急速に薄れる自分の意識。

 しかしそんな中でも声を振り絞る。



 次、転生するときは!フツメンにして下さいって言ったじゃないですかーーーーーー!!!!


 ・・・そもそも、あっちのフツメンってどんなんだ?



 こうして脈絡もなく異世界転生らしくない異世界転生を果たしたのだった。


 この後、思ったより体が小さくなっていてとても苦労したり、シェルターという場所が思ったようなイメージの場所じゃなかったり、仮称魔王に追いかけまわされたり、色々あるんだけど、またそれは別の話―――――



神「忘れたフリしちゃった(てへぺろ」


なお、続きは長くなるので書くか不明です。

楽しくなり過ぎたので、これはいけないと途中でやめました。

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