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異世界ジョーズ ~鮫ファンタジー~  作者: メガロドン太郎
転生しても鮫だった件
5/9

我々はあなたを歓迎します

 水着美女のエルフに襲い掛かったメガロドン太郎はまさかの逆襲にあい、ナイルワニもかくやのデスロールを決められて昏倒してしまった。


 次にドン太郎が目を覚ますと地下施設で肉体改造手術を受けている最中だった。

 あとは電子レンジで頭をチンすれば完成だったようだが、そうはいくかと手術台の拘束を破って逃走するドン太郎。

 追撃してきたコバンザメ怪人を倒して組織からの追っ手を振り払うことに成功する。

 皮肉にも組織によって改造された肉体のおかげで助かったのである。


 完全に逆恨みだが、強化された肉体で水着美女に復讐を誓うドン太郎。

 しかしそれは悪の組織『フカき者』との長き戦いの序曲に過ぎないのだった。


 嘘あらすじ終わり。

 鮫映画を信奉する危険な宗教団体『フカき者』。

 そこに所属しているというエルフの姫をどうにか更生させたい鮫は知恵を絞っていた。


「神は・・・いいえ神を名乗る悪魔は私が倒しました。あの者の言葉を信じてはなりませんエルフの姫よ。」

「なんと、昨日のお告げは偽りの物であったというのですか?」

「その通りです。鮫の神が羊なわけがないでしょう?」

「言われてみればその通りですね。危うく悪魔の奸計に嵌るところでした。」


 かなり無理があると思ったのだが、フカイラムを悪魔であると姫に信じ込ませることに成功する鮫だった。

 その羊毛と同じく信者からの信仰心もフワフワだったようである。


「それでは鮫さん、あなたは何者なのですか?」

「私は異世界から転生してきた一般的なメガロドンですよ。」

「なるほど、異世界の鮫さんだったのですね。」

「エルフの姫では呼びにくいので、あなたの名前を聞かせてもらえますか?」

「私はアミティ・カルカロクレスと申します。親愛を込めてアミと呼んでくださいな。」

「わかりましたアミさん。」

「おや?鮫さんは見かけによらず恥ずかしがり屋さんなのですね。」


 彼女とはあまり深く関わり合いたくない感じなので距離を置く鮫だった。


「ところで悪魔には私を導けと言われたようですが、具体的には何をしろと言われたのですか?」

「羊の悪魔からは鮫さんと協力して魔王および勇者を排除し、新たな魔王となって人間達を恐怖のどん底に落とすようにと言われていました。」

「魔王に勇者とはいよいよファンタジーな世界ですね。」

「鮫帝国を建国し世界を支配するのが私のかねてよりの計画なので、魔王と勇者の排除は望むところではあるのですが、まさか悪魔の罠だったとは・・・不覚でした鮫だけに。」


 彼女はフカイラムとは関係なく少し頭がおかしいようなので、鮫は華麗にスルーした。


「それならさっきの男達は何者ですか?」

「あれは金目当てのただのチンピラですね。」

「アミさんは私を投げ飛ばすほどの怪力があるし余裕で勝てましたよね?」


 メガロドンは最大体長20mとも言われており体重は脅威の70トン越えである。


「鮫映画のお約束的にイキリ散らしたチンピラは真っ先に死にますので、文字通り鮫さんを釣るための餌にしました。」

「いや別に殺さないですけどね。」

「そこですよ!」

「どこですか?」

「なぜ殺さないのですか!?」

「なぜって殺す理由がないですからね。」

「そんな馬鹿な・・・。鮫は人間を殺すためだけに産まれたキリングマシーンではないのですか?」

「映画じゃあるまいしそんなことしないですよ。」

「なるほど、映画と現実では違うのですね。実物の鮫に会うのは初めてですが意外にも大人しいのですね。」


 彼女はどうやら映画の鮫しか知らない様子である。

 

「この世界だと鮫はどういうものなんですか?」

「言ってみれば幻想の怪物ですね。ドラゴン以上の希少種とされており、その存在は太古より語られています。」

「つまり私が街中に現れたらドラゴンの襲撃と同じなのですね。それでは人間社会でまともに生活ができませんね。」

「映画は一部の鮫信者によって作られていますが、その存在を信じるものは私達フカき者を除いてほとんど居ません。鮫フリークとして有名な私と一緒に居れば、先ほどのチンピラと同様に町の人達も着ぐるみだと思ってくれるかもしれませんよ?」

「それは・・・ううむ、しかし。」


 鮫は長年の都会暮らしですっかり人間社会に染まっていたので、今更海に帰るのは嫌だった。

 しかし彼女と一緒にいると変な事件に巻き込まれる予感しかしないのでそれもまた嫌なのだ。


 しばし悩んだ結果、背に腹は代えられないと彼女とともに行動する決心をするのだった。


「しばらくの間よろしくお願いしますアミさん。」

「ええ、こちらこそよろしくお願いします。我々フカき者はあなたを歓迎します。」

「私も入るんですかその団体?」

「もちろんVIP待遇ですよ。」


 本当は嫌なのだが一応助けられている立場なので、彼女に従うことにする鮫なのだった。

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