1、オーバーチュア
突然だが、諸君。“聖夜”といったら、何を思い浮かべるだろうか。
ぼっち? 恋人同士? それとも、友人で? 最近では、ご家庭で祝うこともままあるらしい。
そんな祝日に────あっ、働いてくださっている方、本当にありがとうございます。
そんな国民の休日に、俺たちは……!
「なんで仕事入っちゃったかなぁ!!」
「うるさいわよ昇っ! 公務中なんだからシャキッとしなさい!」
俺、浮竹昇。
この国の“徴兵制度”中の選抜試験に見事合格して、晴れて“帝国警備隊”に所属できた、できたてほやほやの一年生です。
しかし、浮かれたせいで、年上の上司であり、同じ隊の隊長に叱られてしまった…。
この人こそ、帝国警備隊のリーダー、雁伊小麻さん。
父親に雁伊煌星トーキョー軍事理事長をもつ、長い紅髪の女性で……しかも、現役警察官!
『いや、小麻さん。それは酷ってもんだよ。そう思うよね、土生さん?』
そう表情一つ変えないで喋るこの男は、伊集院圭志。小麻さんの部下でもあるこいつも、悪目立ちする紅髪だ。
『いちいち俺を巻き込むな! おい雁伊、007隊も準備完了だ!』
伊集院の“フリ”に毎回振り回される、なんか可哀想なこの人は、土生由紀夫。この人は“悪夢の内閣”って呼ばれた、元104期の総理団の一人だ。
『おっけー! 土生さんもそのままでね!』
『分かっているぞ! こ、今度は迷子にならない!』
『土生さん、相変わらずだね。ぶふっ』
「……もうやめとけよ伊集院……」
トランシーバという壁越しに、ぎゃいぎゃいといい歳した大人たちが騒がしい。
その上、各隊が同じ周波数を使用しているため、余計な混線がみられて、大変面白い。こんなこといったら、小麻さんに怒られるかもだけど。
『小麻さーん! 001隊、準備できましたー!』
今トランシーバ越しに喋ったのは、たぶんドロイドくん。……この子はどんな情報網を使っても掴めない、正真正銘のプロのハッカーだ。
俺が聞き取れないほど、どんどんと隣に立つ小麻さんの元に情報が集まってくる。がやがやとうるさい耳元に、自然と笑みがこぼれてしまった。
すると、今度は小さく聞き取れた声が一つ。
『お前たち、少しは落ち着きを持ってくれないか……』
同じ隊で、海上保安軍の相澤敵さん。なんと自分の艦隊を持ってる高位の人で、どんな時でも落ち着いて、頼れる人なんだ。
『わーかってら! だってよ、何でクリスマスにわざわざボランティアしなきゃいけねえんだぁ!?』
「うるさいわね、昨日私んちでパーティしたじゃない! あれで終わり!」
『くそー! 全ては仕組まれてたのかー!』
そう、トランシーバ先の004隊所属、地下暮らしのもとはる……いや、来栖元春さんが吠える。
まさにその通り! 何でイヴにわざわざパーティ開いてくれるんだろう、あんた彼氏居ましたよね〜ってなったから!ねえ!
確かに楽しかったよ! めっちゃ満喫した!
だから、
だからこそ!
なんでクリスマスに仕事入っちゃったかなぁーーーーーー!!!