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憧れの人

 5話です。

 よろしくお願いします。



19.1.11   編集しました

 俺にも春が来たとかよく分からんことを言ったが、それで俺のことが好きになったなんていうのは1ミリもないらしい。

 ついさっきの俺をぶん殴りに行きたい。けど、それで部員が増えるのは喜ばしいことだ。昨日の俺を褒め称えたい。なんだこいつ、情緒不安定すぎるだろ。とまぁ、俺の情緒がおかしいことはどうでもよくて、いや、どうでもいいのか?これ。うん、どうでもいいな。

「別に俺は問題ないが、佐野先生はなんて?」

「キャプテンと副キャプテンが許可したらいいって言ってたよ。」

 俺は先程言った通り特に問題はないしむしろ大歓迎である。なのでここからは岡崎の方である。

「岡崎のところには行った?」

「副キャプテンの人のことですか?」

「そうそう、行った?」

「行ってないよ」

「じゃあ、岡崎のところに行って。俺は問題ないから」

 これで俺の仕事は終わり。あとは岡崎に任せる!やったね。今日は部活は休みだから帰ったら、壁当てして、筋トレして、夜は久しぶりにラーメンでも食べに行くか。俺の行きつけは安い旨いデカイの三拍子が揃った最強のラーメンだ。しかもこってり豚骨。俺の好みに合いまくりである。今日はもう帰ろう。ラーメンが待っている。

「海野君」

「なんだよ」

 俺はラーメンに心を奪われていたが、有山の声で現実に戻る。

「一緒に来てくれないかな?」

 可愛い子上目遣いで頼まれたら断られる訳がないだろーが!俺の心の中でガラスが割れる音と共にラーメンの絵が崩れ落ちていく映像が流れる。

「分かった」

「ありがとう!」

 いいんだよ、別に。可愛いから。うん、いいね可愛いって。可愛いは正義だよ。確かに。

「じゃあ、行くか」

 俺は、まだ教室にいるであろう岡崎のもとへ行った。

「岡崎、居るか?」

「なんだよ」

 ドアに一番近いところにいた岡崎を廊下に呼び出し、有山のことを伝えた。

「海野はどうしたんだよ?」

「俺は別に問題はないと思うから、入ってもいいと思うけど。」

 岡崎はため息をつき、俺に愚痴を言う。

「別に俺も良いと思う。まぁダメって言ってもお前は虚偽申告を佐野先生に言うことはわかってるからな」

「おぉ、岡崎、俺のことよく分かってんじゃん」

「なんとなくな、見てれば分かる」

 当たり前だよな。女子マネージャーがいればチームの士気が高まるのは、某野球ゲームで分かっていることだ。しかも可愛い。それを断ろうだなんてそいつの神経を疑う。

「さっきも言ったが別に俺も問題ないと思うから、あとは海野に任せた」

「え、丸投げ?」

「キャプテンはお前だからな」

 そういって岡崎はカバンをもって颯爽と消えて行った。

「じゃあ、先生のところいこっか」

「うん」

 2人で並んで廊下を歩く。周りの男子の視線が痛い。

 妬ましいのか?羨ましいのか?

 俺は心の中で呟きながら歩く。口に出しちゃうとボコボコにされちゃうからね。俺、喧嘩弱いし、殴られるのとか絶対に嫌。痛いから。

「佐野先生」

「おう、なんだ海野」

「彼女の入部票です」

「はいはい」

 先生は、有山の入部票を見て不備がないか確認する。

「不備はないね。よし、この入部票を受理する。早速明日からよろしくね」

「はい!」

 これでもう1人部員が増えたのだった。

 だけど、選手が足りないな。もう、2人、3人欲しいところだ。

 こればっかりは仕方がないか。ゆっくり、集めるとしよう。なんなら別に来年の新入生でも遅くない。

「じゃあ、気をつけて帰れよ」

 佐野先生にそんな言葉をかけられ、帰る。

 俺は先生に挨拶したあとさっさと学校を出た。

「待ってよ。海野君」

 後ろから有山が走って来た。走る姿も絵になる。さっきから俺は有山のことになると語彙力とか諸々を失っている気がする。

「なんだよ」

「別に何もないけど。一緒に帰ろ」

「あぁ、分かった」

 有山は満面の笑みで俺の横に並んで歩く。近い。やっぱ、有山は俺のこと好きなんじゃね?

 ないな。なに考えてんだよ、気持ち悪い。というか、この子お嬢様でしょ、色々厳しくないの?教えとか。

「海野君ってなんで野球始めたの?」

 あまりにも会話がなかったが、有山が話しをふってきたため会話が始まる。めっちゃ気を使ってくれた。

 だが、この質問結構答えるのが難しい。こっちだと前世の未練をなくすためとしか言いようがないよね。

 前だと、そうだ、確かたまたま見たプロ野球の試合で投げていたピッチャーに憧れて始めたんだっけ。

 その話を有山にした。

「憧れか~、私はなかったな。ずうっとテレビも見ずに娯楽もほとんどないところで育てられたからね」

「憧れとか、目標とか、将来の夢とかめっちゃ大事だと思うよ。それがあれば生き方が変わるし見えてくるものとかものを見る角度が変わるよ」

 そう言うと、有山は俺の手をとり、笑顔で宣言した。

「じゃあ、私の目標は海野君みたいになることにするね!」

 俺が目標ね、でも実際何もできないような人間だから、別の人がいいと思うんだけどな。

 でもいいか、俺もうれしいし。

「海野君、早くいこっか。駅」

 さっさよりも少しだけ早足で歩いて行った。


 ありがとうございました。

 海野が見たピッチャーは彼の死ぬ前の投球スタイルに影響をあたえたピッチャーです。

 次回もよろしくお願いします。

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