2話 初試合
今回もよろしくお願いします。
18・12・23 編集しました。
現在部員はマネージャーを含め11人という少数でやっている。
そして、今日は、流ヶ丘高校野球部の初試合である。
相手はお隣の高校である、寺島高校。彼らも部員が少ない高校である。
ちなみに、キャプテンは、俺、副キャプテンは岡崎となった。
それからアルバードは、野球がもともと好きでメジャーリーグをよく見ていたらしく、初心者とは思えないフォームをしていたため、教えることは腕の振り方と、スナップの使い方くらいだった。それを教えたら俺より速いボールビュンビュン投げるんだぜ?
俺はマジでエースの座が危ないと思った。
でもコントロールは俺のほうがいいがな。
コントロールがアルバートより悪かったらここまでなにやって来たって言うんだよ。
という訳でいろいろあってからの試合である。今日の試合は別に負けてもいい。収穫があればそれだけでいい。
とはじめは思ってたが、試合が始まるとそりゃ勝ちたくなる。
当然のことだ。
これが、スタメン
1番 遊撃 狭川克紀
2番 左翼 半田圭典
3番 三塁 石川雄平
4番 一塁 仲里優
5番 捕手 岡崎涼太
6番 中堅 田嶋剛
7番 二塁 加藤航大
8番 右翼 松瀬圭人
9番 投手 海野貴洋
俺たちは後攻をとり、初回の守備についた。
そして、迎えた先頭バッター。
初球を外角低めいっぱいにストレートを投げストライク。
相手ベンチがざわつく。130くらいのストレートに驚くなよ。
2球目はアウトコースにボールに落ちるSFFを相手バッターが空振り追い込む。
そして、3球目をインコースギリギリにいれて、空振り三振に抑えた。
「ナイスボール!」
岡崎から返球の際に言われる。今日は球が走ってるな。
その後も三振に抑え、三者三振で初回を終える。
「いいぞ!海野!」
ベンチでアルバードとハイタッチをしてから円陣を組む。
「初回抑えたから、この回先制するぞー!!」
「「よっしゃー!!」」
そして、先頭の狭川が打席に入る。
初球はアウトローの真っ直ぐ。結構キてるな。2球目もアウトローの真っ直ぐ。それを狭川は逆らわずきれいに流し打ちをしたがショートがうまく捌きアウト。
2番の半田は初球のカーブを打つも平凡なライトフライになる。
そして3番の石川。初球はアウトローの真っ直ぐがストライク。2球目はアウトコースのカーブで追い込まれる。3球目は高めの釣り球でボール。4球目のアウトコースのチェンジアップを打つもファールとなる。そして、5球目インローの真っ直ぐを打ちにいくも三振となった。
二回表も、俺がマウンドへ上がりきっちりと三者三振でねじ伏せる。
ストレートはいいけど変化球のキレが最悪だな。なんとかなんねーかな。
まぁ、相手は弱小だからストレートでおしていくか。
その後も一向に試合が動かずただただ回が過ぎていく。
相手投手もかなり良いボールを投げる。何が弱小校だよ。強いじゃねぇか。
しかし、5回の裏に試合は動いた。
5番岡崎の打席であった。
初球は真ん中低めのストレートでストライク。
2球目は外角のカーブが外れボール。
そして3球目の甘く入ったストレートをとらえオーバーフェンスのホームランを放った。
「ナイスバッティング!!」
ベンチから祝福の声が上がった。
そして次の回からも1人ずつ丁寧に抑えていく。
そして七回から投手交代でアルバードがマウンドに上がる
俺より速い投手だ。そう簡単には打たれない。
そして、アルバードのピッチングは圧巻だった。
最速148キロのストレートを武器にガンガン三振をとっていき、終わってみると三回8奪三振の怪物のピッチングを見せた。
試合は1対0で俺らが勝った。
俺の成績は6回15奪三振、四死球0、被安打0とパーフェクトピッチングをした。今日はすごくストレート良かったが変化球のキレに問題があった。そこだな。
そしてチームの打撃面でも課題が浮き彫りになった。
チャンスでの凡退が多かったのがその最たる例だろうか。
今回は相手が弱かった。だから俺が抑えられただけなのかもしれない。俺が絶対に打たれないなんてことは無い。実際のところ何点とられるかは分からない。だから打撃はとても大事だ。
明日から打撃練習中心の練習か、楽しそう。
まあ、どうせ投手は投手専用メニューですけどね。
べ、別に打ちたい訳じゃねーし!
と下らないことはおいといて、悪かったところをつめる作業に入ろう。
そして翌日の練習。
アップを終えブルペンに入る。
「アルバードは変化球を覚えるか」
「わかった」
まず、比較的簡単なチェンジアップを教える。
「握りは自由、わしづかみでもいいし、親指と小指ではさんで投げるのもいい」
握りを見せながら教える。
「よし、一回投げてみよう」
とりあえず、わしづかみで腕を振る。
ふわっとしたボールがいき、キャッチャーのミットにおさまる。
「ナイスボール!」
まさか一球で投げれるようになるとは。こいつは天才だな。
「別の握りも試そう」
次はわしづかみで中指を浮かせる握りを投げる。
このボールはさっきのボールよりも横への変化が増えた。
その次は親指と小指で挟む、パームの握りをした。
このボールは落差が生まれ三振をとるには良いボールだ。
「じゃあ、あと2球ずつくらい投げて、最後に真っ直ぐ一球で終わりな」
「まだ全然投げてないじゃないか」
「昨日投げだたろ。試合で。球数少なくてもケガのリスクがあるからな。このチームにはピッチャーは俺とアルバードの2人だけ
どちらも欠けてはならないんだよ」
そう言うとアルバードは納得して、頷いた。
「その代わり、バッティング練習に入ってくれ」
「わかった」
アルバードの体はデカイ。それならバッティングもかなりの戦力になるかもしれない。
その戦力を自分から削ぐようなマネはしない。
そしてアルバートは投げ込みを終え、ボールを受けていた岡崎とともにバッティング練習に入った。
そして、アルバートが打つ。
アルバートのスイングはアホみたいに速い。そしてそれに当たった打球はグラウンドのネットを越していった。めっちゃ飛ぶやん。
「アルバードは守らすこともありかな」
バッティングを見る限り悪いところはない。というか良すぎる。
次の試合では野手で使おうかな?いやでも、松瀬もいいしな。
「海野君」
平崎に呼ばれ思考をもちろん止める。
「どうした?」
「来週また試合入ったって、先生が言ってたよ」
「相手は?」
平崎はにっこりと笑い。
「杉沢高校だよ」
超強豪校の名前を出す。
「えぇ!で、でも相手は二軍とかだろう?」
「そりゃそうだよ。私達が一軍の人達とやりあえるとは思えないから」
平崎ひどいな。その言い方は。
「二軍相手なら打たれないよ」
そう言うと平崎はまぶしい笑顔を見せながら
「期待してるよ、海野君!」
その言葉と笑顔にドキッとしながらも冷静に答えた。
「任せとけ、完全試合にしてやる」