第3話:誠の異変
どうしよう……。どうしよう……。
逃げ出してきてしまったことに焦る私。
きっと、傷ついちゃったよね……。
そう思いながらも、どうしていいかわからず、とりあえず教室へと戻った。
教室―――
教室へと戻ると、誠の姿はなかった。
まだ戻ってないんだ。戻ったら、さっきのこと謝らなきゃ。
キーンコーンカーンコーン。
授業を告げるチャイムが鳴った。
話していた生徒は、話すのを止め、どこかに行ってたらしき生徒は、戻ってき、皆が席へとついた。
でも、一つだけポッカリと空いている席がある。
私の前の席……誠の席だ。
どうしたんだろ……。
そう思っていると、ガラッと扉が開く音がした。
誠かと思い、ハッとして扉のほうに目をやったが先生だった。
「それでは、出席をとりまーす。相田さん」
「はい」
「井上くん」
「はいはーい!」
「尾田さん」
……、次々と名前が呼ばれていく。
「百瀬くん」
シーン……。
「百瀬く〜ん、あれいないわね。朝はいたのに……。瀬良さん、知らない?」
いきなりの問いかけに、ビックリする私。
「えっ……。あっ、さっきまでは一緒にいましたけど、あとは……」
「あっ、そうなんだ……。いつも一緒の瀬良さんなら、わかると思ったんだけど」
先生の言った゛いつも一緒゛というとこが、妙に辛く感じた。
私達って、周りからはそう思われてたんだ……。
ガラッ―――
突然、扉が開かれ「すいません、ちょっとお腹痛くて」と、入ってくる誠の姿。
チラッと見ると、トイレで泣いたのか、少し涙目になり、目が赤かった。
席につくなり、誠は机に顔を突っ伏した。
「ねぇ、誠。さっきは、いきなり逃げ出しちゃってごめんね?」
「別に……」
ボソッと呟く誠は、明らかに様子が変だ。
でも、これ以上話していると先生に怒られそうなので、帰りに話すことにした。