第1話:複雑な関係
「純麗さん、はい」
ニコッと笑い、買ってきた物を差し出す。
「ありがと」
そう言い、誠からミルクティーを受け取った。
そして、ストローを袋から取り出し、ストロー口へと差し込んでいく。
ゴクン―――
喉を鳴らしながら、一口飲んだ。
「はい」
ストローが刺さった飲みかけのミルクティーを、誠へと差し出す。
「??」
誠は、これが何の意味なのか、わからないのかキョトンと不思議そうな顔をし、私を見てくる。
「は・い・!」
私は、意味を理解してない誠に少し腹が立ち、声を張り上げた。
すると、誠は身体をビクッと痙攣させ
「ごめんなさい〜」と、か細い声を出し、ミルクティーを手に取る。
そして、可愛らしく両手で持ち、コクコクと飲み始めた。
「プハー」
そう一息つき、誠は
「美味しかったです、このミルクティー」と満面の笑みで言い、私に返してきた。
「当たり前でしょ?私が目つけたんだから」と冷たく言い放つ。
でも、それにも誠は愛想よく、私と接してくれる。
「そうですよね!純麗さんが目つけるのは、どれもいいものばかりです」
そういう誠に、たまにウットリとしてしまう自分がいる……。
「純麗さん……?純麗さーん」
何故か、しきりに私の呼ぶ声が聞こえる。
「何か用?」
私は、気だるそうに問いかけた。
すると、誠は
「ごめんなさい!さっきから、呼んでも反応がなかったので……」とペコペコと頭を下げてくる。
「うふふ」
そんな誠を見ていたら、可愛くて笑みをもらしてしまった。
「何かおかしいですか?!」
「うふふ」
誠をからかって遊ぶのは楽しい。
「教えてくださいよー」と答えを求めてくる誠。
「そんなの自分で考えなさいよ」とからかう私。
そうこうしてるうちに、だんだんと誠の目に涙が溜まってきた。
「ちょっ……ちょっと……。泣かないでよね!」
今にも泣きそうな誠に、動揺している自分がいる。
「ヒック、ヒック」
誠は泣きそうな顔で、私を見つめてきた。
仔犬みたいだ。
こんな顔で、見つめられては私の理性が抑えきれない……。
ギューッ、と抱きしめてあげたくなる。
でも、そのようなことはしてはいけない。
誠には、他校の彼女がいるから―――