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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

支配生活

作者: 熊
掲載日:2017/04/10

なんとなく書きたくなった物です、どこか無理な箇所があるかもしれませんがご勘弁を。

「お兄〜ちゃん♪」

「…a…u…」

「元気?」

「ko…r…si…t」

「嫌だよ♪折角大好きなお兄ちゃんを手に入れたのに」

「k…ro…s…te」


 あの日、僕の命は支配された。



◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️



 話は小学校の頃にまで遡る。


 僕は朱里(あかり)という名前、苗字は新垣。

 僕には二卵性双生児の妹がいる、名前は朱里(しゅり)少し紛らわしいが勘弁して欲しい、頭は非常に切れて気が効くし容姿が整いすぎている。

 髪型は暗黒を体現したように真っ黒で背中を覆うほど長く伸ばし、目は大きめでクリクリしていて可愛らしい、桜色の綺麗な唇と筋の通った鼻がより人形のような容姿へと変貌させている、体型は出過ぎず引っ込みすぎず、身長は低めだ。

 そして僕の容姿は一卵性双生児でもないのに朱里(しゅり)と瓜二つ、親ですら一目で見分けがつくようになるまで長い時間を必要とした。

 このころの朱里(しゅり)はまだ純粋でいつも花が咲くような笑顔で何時も僕の隣を手を繋ぎながらニコニコと歩いていた。


 僕はあまり体が強くなく、よく学校を休んでいた。

 週に1回の休みで済めば良い所、だから普段は家で(・・)寝ていた、体を動かすのもあまり得意ではなく、すぐに息を切らしたり、眩暈を起こしてしまう。

 貧弱と言われても仕方がない。

 そのため普段の話し相手はほとんど朱里(しゅり)、学校の話は一切してくれないけど彼女なりの気遣いだろう。

 いつもご飯時以外は僕と一緒、ケータイゲーム機を持ってきてからは一緒にやってワイワイと楽しんでいる。


 でも僕の体は回復しない、幼稚園の頃は(・・・・・・)まだこんなに体が弱くはなかった、普通に走り回れたしたくさんお喋りもできた。

 だけどいつの日か3ヶ月に一度は体調を崩すようになり、小学校3年の時にはすでに酷くなっていた。

 5年生の頃、僕は女の子に告白された、初めての告白に心が踊り、照れと緊張で心臓がドキドキした、嬉しかった。

 だから僕は「ぼ!僕でよかったら!」と二つ返事でOKした、翌日から僕は弱い体を治すように体を鍛えた、でも全然成果は出ずに体はいつも華奢でか細い。

 結局中学に上がるまで付き合いらしい付き合いはあんまり出来ず、申し訳ない気持ちで一杯になった。

 それで僕は謝ったんだ「僕の体が弱い所為で全然彼氏らしいこと出来ないね」って、そしたら彼女は「んんん、朱里(あかり)は悪くないよ、そういう所も含めて好きだから」と言ってくれた、嬉しかった、嬉しい気持ちが溢れて溢れて思わず彼女に抱きついて「ありがとう…ありがとう…」と何度も何度も謝ったんだ、その度に「うん…うん…うん…」と微笑んだ彼女は眩しかった。

 その日から僕はますます彼女にべったりイチャイチャするようになった、体が弱いからあんまり外出出来ないけどせめてお家でデートしようって話になって「本当!?やった!」って手放しで喜んだ。


 その日の夜、朱里(しゅり)は僕の部屋に来てこう言ったんだ。


「ねぇお兄ちゃん……今…楽しい?」


 って俯いているのと明かりがついていないから表情はわからなかった、でも双子だからかなんとなく何が言いたいのかはわかったんだ、だから僕はこう答えた。


「楽しい…のかな。」


 きっと僕のこの返事は間違っていたんだと思う、その日から朱里(しゅり)はなんとなく僕の周りにはほとんど近寄らなかった。


 3年が経ち、中学も卒業した、行事全て(・・・・)は体の弱さが発揮されて一つも参加することができなかった。

 だけどそれに比例するように僕の体調はどんどん悪くなる一方、寝たきりとは言わないが高校も留年してしまうほどに休むしかない、そのぐらい酷くなっていた、彼女はそれでもお見舞いに来てくれたからこそ僕は頑張れた。


 だけど17歳になったある日、両親が死んだ、それも同時に(・・・)車との衝突事故らしい。

 僕はいろんな感情が溢れ出して耐えきれなくなって失神した、でもすぐに目が覚める、途端に涙が溢れ出して声を殺して、胸を押さえて一晩中泣き続けた。






 でも僕は気がついていなかった






 唐突に弱くなった体






 行事を避けるように必ず不調になる体






 同時に死んだ両親








 この不審さに、気がつくことはなかった。







 両親が死んでから数日、僕は半ば意識を手放した状態で朱里(しゅり)の作ったスープを口にした時、異変は起こった。


「ゲホッゲホッ!…ゴホッ!ガハッ!」


 僕は口から血を吐き出し、その場に倒れこむ。

 朱里(しゅり)を一人になんかさせない!


 そう思って「大丈夫」と声をかけようと朱里(しゅり)の方を向くと−−−−−彼女は−−−−−


 −−−『真っ黒な影を落とした、光のない笑顔』−−−


 で笑っていた。


 僕はその笑顔の意味がわからなくて呆けていると体中に電流が走り、意識を手放した。


◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️


 目を覚ましたら、そこは薄暗い地下室だった。


「えっ…」


 何が何だかわからなくなって冷静さを失った僕は慌てて目の前にある扉から外を確認しようと動く。


 −−−−−ギン!


 と足が何かに引っ張られるようになり、前のめりに倒れそうになる。


 危ない!


 とっさに受け身を取ろうとするけど後ろに回された手が前に来ることはなかった。


 ビタン!


 という音とは裏腹にそれほど痛みは感じることはない。


 すぐに原因を探る。

 両手首と両足首には無骨な枷が嵌められており、足の枷は両足が20㎝ほどの鎖で繋がれ、その中間にもう一本20㎝くらいの鎖で地面から出ている金具とつながっていた。首には溶接されたような跡のある枷が嵌められており、取ることが不可能なのがわかる、首元にはシンプルな南京錠と垂れ下がった鎖がついているが、後手に拘束されている今では触ることすらできない。

 それだけではなかった、全裸で体中が少しずつ痺れていた、立つことはできるが歩くまでしかできず、枷があろうとなかろうとも確実に転ぶのがわかる。


 それがわかった途端に怖くなり


「いや…いや…イヤイヤイヤァァァアァアアア!」


 と女の子のような悲鳴をあげてしまう。


「なに…なんなんだよこれ!」


 涙が滲みながらも必死にどうにかしようともがくが用意されたばかりにしか見えないキラキラと輝く鎖に対して全てが無力になる。


「お兄〜ちゃん♪ 起きた?」


 背筋が凍るような幻覚を感じて震える体を押さえつけながらも恐る恐る声のした方へと顔を向ける。

 そこにはいつもと変わらないように見えて感情のない恐怖を抱かせるような笑顔をした朱里(しゅり)が中身が見えないようになっているペットボトルを何本も鞄に入れて立っていた。


「朱里(しゅり)!良いところに!助けてくれ!これ取れないんだよ!」


 僕は嘘であってほしい、お前じゃないよな?と意思を込めて朱里(しゅり)に聞いた。

 でも


「何言ってるの?」


 と一蹴されてしまった、僕が逃げられないのがさも当たり前であるかのように笑顔を貼り付けていた。

 そして徐に鞄の中からペットボトルを一つ取り出し、僕の目の前でペットボトルを置いて屈んだ。


「お兄ちゃん♡」


 甘ったるく酔いそうなほど甘美な響きを放ったその声から優しさなどは一切感じることはできなかった。

 そんな声と同時に割れ物を扱うようにそっと僕に抱きついた、そのまま愛おしそうにゆっくりと背中と拘束されている腕を撫でるように触れていく。


「腕痛い?」


 耳元で優しくつぶやかれたその言葉は本当に心配してくれているようで異様なほど優しかった。

 でもだからこそ怖くなって何も答えることが出来なくなる。


「でも、もうちょっと我慢してね?」


 そう言って顔を見合わせて微笑んだ。

 足元に置いたペットボトルを持ち上げ、ふと何かが気になった様子で僕の顔を見た。


「これ、実はね」


 小さめのスプーンを用意しスプーン一杯に注がれた透明な液体を口に運んだ。

 すると


「ゲホッゲホッ!…ゴホッ!ガハッ!」


 と僕が意識を失う前と同じような咳と一緒に少量の血を吐き出した。

 咳が収まり、口からこぼれてるその血を舌で器用に唇に塗り、再び僕の目の前で屈んで今度は力強く抱きしめ、そのまま唇を重ねてくる。


「ペチャ…クチュ…クチャ…」


 最初は我慢していたけど力を入れられない事実があったために抵抗むなしく舌をねじ込みながら自分の血を飲ませるように唾液を流し込まれる。

 ゾゾゾと鳥肌が立ったがどうしようもない。


「んちゅ…んちゅ…ちゅる…んはぁ」


 口を離したと同時に血の混じった唾液がツーっと糸を引いた。

 口の中は甘ったるい女の子の匂いと朱里(しゅり)の匂い、それと鉄のような嫌なにおいが残った。

 そしてもう一度ペットボトルを持ち上げて至近距離まで顔を近づけて


「これはね、毒だよ?」


 と言いながらペットボトルを手の上で弄ぶ。

 言ってる意味が分からなかった…いや、分かりたくなかった。


「大変だったんだよ?毎日毎日少しずつ少しずつ毒を増やしていってね?ちょっとずつ大好きなお兄ちゃんの体を改造していったんだから♡」

「は……?なんだよそれ……なんだよそれは!………っ!」


 もう訳が分からなくなった、毒?改造?一体いつから?……まさか!?

 小学校から少しずつ盛ってたのか!?


「そうだよ?お兄ちゃん。私はね?ず~~~~~~~~~っと思ってたの、お兄ちゃん格好いいなあ、可愛いなぁ、優しいなあって…でもね?お兄ちゃんは私には見せてくれない顔を他の人に沢山見せてたよね?だからさ、私は思っちゃったんだ『あぁ…お兄ちゃんは私よりもその人達が大切なんだな』って、でもね?」


 一度言葉を切った朱里(しゅり)は徐に立ち上がり、入り口とは別のドアを開き、金属の擦れる音と共にすぐに戻ってきた。

 錆付いた鎖を少しだけ重そうに引っ張り、何かが引きずられる音と一緒に現れたのは憤怒の顔をした朱里(しゅり)と






 …………僕の彼女だった。






 僕と似たような拘束だけど鎖の長さはほとんど無く、歩くことなんて出来ないことが考えなくても判る、口には鉄の棒をつかった枷が咥えられている、ブラウスとフレアスカートを着たままで引きずられた影響で僅かに肌蹴ている。

 それを見た瞬間に嫌な寒気と悪寒が全身を駆け巡った。

 朱里(しゅり)は乱暴に足元に捨てるように引っ張った。

 そして


「この女と付き合ってからのお兄ちゃんは…本当に楽しそうで…幸せそうで…私も感じたことが無いくらいに……憎かった!こいつが!この女が!お兄ちゃんを幸せにしているというのが憎い!」

「ん゛ん゛ん゛!」

「うるさい!」


 彼女に朱里(しゅり)の蹴りが突き刺さり、「ん゛っ!」と呻き声が聞こえてすぐに静かになった。


「だからね…私決めたんだ…お兄ちゃんの中で私が一番じゃないのなら…もう誰にも会わせないって…」

「朱里(しゅり)…お前…何を言っているんだ………?」

「だから見てて?」


 そう言ってハイライトの消えた目で微笑むと彼女に向き直った。


「お兄ちゃんの彼女さん」


 僕の彼女に


「お前は絶対に消す」


 ドスの効いた声で希望を捨てさせるように言った。

 僕の彼女は突然ガタガタと震えだし、芋虫のように地を這いながら逃げようとした。

 だが鎖を引っ張られすぐに元の位置まで引き戻される。


「消すっていったよね?」

「ん゛!ん゛ん゛ん!」

「ぜーったいに逃さなーい♪」


 そしてどこからか取り出した折り畳み式の小さなナイフを


「先ずは…」


 と言いながら足の小指から首に至るまで服を引き裂きながら丁寧に一定の長さと深さの切り傷をつけていく、痛そうな泣き声と呻き声が何度も何度も何度も聞こえて、そのたびに「やめろ!朱里(しゅり)!やめてくれ!頼む…彼女だけは…頼む!」と僕はお願いした。

 でも聞く耳を持たずにとうとう全身に50にも登る切り傷をつけられた。


「準備できたっと…。お兄ちゃん♪待っててね?♡」

「何をするつもりだ!」


 僕の言葉を無視してたくさんのペットボトルの入った鞄から3本のペットボトルを用意して再び僕の彼女に向き直った。

 3本のペットボトルの内の1本の蓋を開けると同時に塩水の匂いがする。


「これプレゼントだよ♪」


 キュッキュッと蓋を開けて僕の彼女にトプトプと浴びせ始めた、最初は反応がなかったが次第に痛みを訴えるように悶え始める。

 全てかけ終わる頃には鼻水、涙、排泄物まみれになっていた、ツンと鼻を突く嫌な臭いに襲われる。

 だがそれも気にせずに朱里(しゅり)は再びナイフで、今度は少し深めの切り傷を5箇所、胸のあたり、下腹部、脇腹、左肩、右足につけた。

 そして2本目のペットボトルを開ける。

 同時に青酸系毒物独特の臭いが僅かに感じられた。

 そして


「二つ目のプレゼントだよ♪」


 と言いながら傷口に染み込ませるように一気にかけていく。

 かけられた瞬間は染みた痛みを感じたようで顔が歪む、そして朱里(しゅり)は3本目のペットボトルをすぐに開け。


「三つ目のプレゼントだよ♪」


 と言いながら僕の彼女の口から溢れることも気にせずに飲ませようと近づいた、だが彼女はすでに苦しそうにもがいていてすぐには流し込むことができなかった。


「やめろぉ!やめてくれぇ!その人がいなかったら僕はっ!」

「だーめっ許さなーい♡」


 朱里(しゅり)は彼女の体を足で強引に押さえつけ、口から無理やり青酸系毒物を流し込んだ。

 するとさっきよりも激しく悶え苦しみ、ビタビタと跳ねたと思ったら口と鼻から血をぶちまけ、数分もしないうちに彼女はピクリとも動かなくなった。



 そう、彼女は目の前で死んだ。



 死んだ…僕の彼女が…いつも優しくって、こんな僕でも好きだって言ってくれた彼女が死んだ…いいや、殺された、朱里(しゅり)に、目の前にいる家族(他人)に!殺された!許さない!絶対に!絶対に許さない!


「しゅーーーーーりーーーー!貴様!よくも!よくもぉ!僕の大切な人を!何故殺した!何故なんだぁぁ!」

「んふふ♡」

「何がおかしい!」


 しゅりは5本目のペットボトルを取り出し、今度は僕の鼻をつまんで呼吸を止めた。

 苦しくなった僕は慌てて口で呼吸をする、その隙をついて5本目のペットボトルの中身を流し込まれる。


「んぐっ!ブハッ!ゲホッゴホッ!ガハッガハッガハッ!」


 僕は血反吐を吐きながら意識を手放した。


◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️


 気がついたら純白の真っ白なベッドの上で眠っていた。

 どうやら普段から毒物を飲まされていた影響で死ぬことはなかったらしい。


「お兄ちゃん♡お兄ちゃん♡やっと私の物になった♡」


 隣では恍惚とした表情で僕の体に自分の体を擦り付けるようにスリスリとする朱里(しゅり)がいた。

 途端に怒りの感情が湧き上がり、今すぐにでもこいつを絞め殺したい衝動に駆られる。

 両手を動かそうとするが指一本動かすことはできなかった、それどころか首から下の感覚が無くなっていた、朱里(しゅり)が擦り付けている感触すら何も感じなかった。


「sy…ri…」

「あっお兄ちゃん♡起きたんだね♪」


 僕は舌もろくに回らなくなっていた、泣きたくなるのを我慢して歯を食いしばろうとするが力が入らない、物を噛めなくなっていた。


「これでお兄ちゃんは自殺もできない、本当に寝たきり、私が死なない限り生き続けるの♡」

「na……d…t…」

「フフフ…これで本当に一生一緒だねお兄ちゃん♡」

「ko…ro…s…te…ku…r」


 僕の全てを支配された生活が始まった。


 僕の頰を一筋の大粒の涙が流れ、零れ落ち、ベッドに染み込んでいった。

 僕を殺してくれる人が現れるのを待つように…。

 

はい、6000文字でしたね。

個人的には悪趣味だなぁとも思ったけど他のヤンデレ物みてるとまだこれは優しい方なのかな?とか思っちゃったりして。

朱里(あかり)くんの彼女さんの名前は無いです。ただの彼女さんとして扱ってます。

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