7話
めっちゃ間空いとるカタ:(ˊ◦ω◦ˋ):カタ
「戻らないか?」
「まだ言ってるの。戻らないって言ってるでしょ。それ以上言うなら絶交だよ」
ファミレスに到着しましたが、ドリンクバーのジュースと適当に注文したフライドポテトが揃うとまたこの話に。
「……俺の方がお前のこと知ってるぞ」
そりゃあまあ、長い付き合いですけどね。
「どうだろ。でも、あの人の方が私のこと分かってるよ」
爽香はそんなにしつこくしないもん。
「っていうか本当、そういう話する為に来たなら帰るよ?」
こんな話してたら爽香に会いたくなってきた。どこにいるんだろう。
「ほら、経験もあるし」
何のだよ、とは聞きません。
「無駄だよ。別れないもん」
「やっぱり2人でゆっくり…」
ああもう! うるさいなぁ!
「ちょっ」
「ちょーっと、やり過ぎかなぁ、君」
「「え。」」
顔をあげると、さっきのカフェにもいたロリータ服のお姉さんが。
「知り合いだったのか、灯歌」
「え、と。あの、どちらさまで……」
「毎日見てるのに酷いじゃないの」
え! その声、
「爽香!? な、なんでそんな格好してんの!!」
ウィッグを取り去ると、ストレートな黒髪をかき分ける。キュン。変なとこでカッコいいんだから。
「あたしレイヤーだったじゃん? 今はもう時間が無いからしてないけどさ。今回久しぶりに」
レイヤーだったってのも初耳だし、声聞くまで分かんなかったし。っていうことはじゃあ、ファミレスのあの時のはわざとだったんだ。
「って、そうじゃなくて。君、それ以上灯歌に言いよるなら、もう2度と会わせてやんないよ」
あー、すごく、ハグしたい。キスしたい。あ、でもメイクのせいですごく別人だ。すごいなー。
「お前の彼氏、女装癖あるのか?」
「私、彼氏なんて言ったことないの、気付かない? この際もう話すけど。彼女、だよ」
「………マジか」
同性愛者だって知ったらやっぱ引かれるかなー。
「証明してみせようか?」
爽香ったら面白がっちゃって。
「是非って言いたいけど、遠慮しとく。ハードル高い。漫画で満足してるから」
ん? と、言うと??
「ほぅ。君、そっちもいける口かい。んじゃ、あたしたちの邪魔はしないね?」
「お前、彼女ならそうとサッサと言えよな。……まあ、諦めないけど」
なんだそれ。幼馴染みが百合男子……なんでこう、周りは同棲愛に対して理解があるのだろう。いや、助かりますけどね。ていうかそんなことより、ウィッグを外したとはいえメイクで別人になってる爽香がすぐ隣にいるの、なんか緊張する……。
「どうしたの灯歌? やっぱりキスしたい?」
「したいけど、いつもの爽香じゃないからやだ。メイク落として」
「え〜っ。メイク落としたらこの服似合わないもん。あ、じゃあ、ちょっと来て」
☆
「うん♪ やっぱり灯歌ならそのままでも似合うね。サイズが合わないのはまあ許容範囲かな。むしろ手が出てこないの可愛い」
「似合ってるじゃん」
「ゔー」
洋服チェンジ。もともと着ていた服は爽香に借りていたものだから、私だけ浮いている状況です。腑に落ちん。
「よし、灯歌。今からホテル行こっか。それ、あたしの手で脱がしたい」
「わざわざホテル行くことないじゃん。服脱がすのだっていつも家で……あ。げふんげふん」
いかん、こいつがいること忘れてた。
「わーったよ。俺がお邪魔虫だってことは分かった。今日は帰る。ま、近況はいろいろ聞けたわけだし?」
もしかして彼氏がいるって言ってたの信じて無かったのかな。その可能性あるな。
「あたしたちも帰ろう灯歌」
「爽香、これじゃ動けませんけど。ていうかこの格好で歩くの恥ずかしい……」
熱いハグを受け止めながら。しかもこの靴ヒールが高くて歩きづらいんだよ。ヒールなんていつも履かないもん。やっと家に着く頃にはそれはもうへとへとで。
玄関にべたーっ。
「こんなとこでダメでしょ。ベッド行くよ」
なーんて爽香に言われて。寒いから風邪ひくよって意味で言ったと信じて疑わない私は、手をひかれて寝室に行きベッドにダイブするわけですが。
「はぁっ……さやかぁ……んっ、は、はげしいよぉ……」
「だって今日は幼馴染み君に灯歌を取られっぱなしだったし」
……気づいたら、朝でした。
恋人同士で同棲してるんだからベッドシーンが多いのは仕方ない。爽香さんは謎が多すぎる