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3話

「爽香?」

「なに?」

「何故これを選んだ」


今観ているのは、海外のホラー映画である。爽香が適当に選んだ結果だ。2人して特にホラーが苦手というわけではないし、かといって興味があるかと聞かれればそうでも無いので。つまり、盛り上がりに欠けます。思わず上映中に話しかけてしまいました。


「そりゃあほら、灯歌が『怖いよぅ〜』って抱きついてきたりしないかなって」

「私が苦手じゃないの知ってるでしょ。抱きつくなら別にこんなのに頼らなくてもするし」

同棲し始めた初めの頃、DVD鑑賞を休日よくしてて。ある日爽香がホラー映画を借りてきたんだけど、私のリアクションが薄くてつまんないってがっかりされました。

「灯歌は今日もツンデレねぇ〜。ま、それもあるけどさ。執筆に詰んでて、なんとなくホラーっぽいことでも一発してやろうと思ってさ」

なるほどネタ集めってことね。私はもう肝試しの話入れちゃったしいいや。爽香はファンタジーも書いてるからいろいろ出来るもんね。

うーん、朝寝てない分寝ようかなと思うけど流石に勿体ないか。

「いいの書けそう?」

「んーどうだろ」

「忘れないうちにこれ終わったら帰って執筆タイムにする?」

「あー、そうしようかな。昨日ろくに進まなかったし」

あら意外。ダメ元で言ってみたのに。

「いやでも、お昼は食べよう。美味しいもの食べよう」

うちでのお料理担当は爽香です。私も手伝わないわけじゃないんだけど、包丁は持たせてくれないし、火の近くに近づけさせてくれません。そんなに心配しなくても、ママのお手伝いくらい実家でもしてたのに……。

まあ、毎日お料理するのも疲れるよね。たまには外食するのも楽しいし。

「うん。しかしこの映画、相当人気無いのかな」

これだけ館内で堂々とお喋りし続けられるのは、ここが2人貸し切りの状態だからです。

「いやでも、公開してからだいぶ経ってるみたいだし。そのせいじゃない?」

「なるほど」

開始から30分くらいは経ったかな? ふむ、ストーリー的にはまあまあだと思う。

「それより灯歌」

「なに?」

「この状況さ。2人っきりで映画館とか、すっごいムラムラする」

「やめてください!」

あの、私の太ももに乗ったこの手はなんでしょうか。

「ほら、こないだ観たじゃん。官能映画を見に来た女の子が、そこにいた男性客にまわされちゃうやつ」

DVD鑑賞にはAVも含まれています。つい数ヶ月前に18禁解禁したからって、爽香ったら堂々とあのコーナーに入って行くのです。女の子なんだからもっと恥じらいを持って欲しいよね。もちろん私はごく普通にアニメコーナーを見てたよ。

「だからなんですか。私は爽香のせいで今とっても疲れてるんだから!」

「しょうがないなぁ。じゃあ優しくしてあげるから」

「そういう問題じゃないっての!」

目の前では女性が必死に悪霊から逃げようとしている盛り上がり場面なのに、私たちはなんという会話をしているのでしょうか。

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