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1000文字小説

このまま進むと……

作者: 池田瑛

「昨日、私の所に届いちゃった」

「え? まじで。いつ行くの?」

「明後日。だから、午後の講義は出ないつもり。休学の届け出したら、市役所とかに行かなきゃならないし」

「付き合うよ」

「ありがとう。そうだ、私の冷蔵庫に残ってる野菜とか、あと米とか持って行ってよ。捨てちゃうの勿体ないし」

「遠慮無く貰います」

「うん」

「なぁ、馬鹿な質問しちゃうけどさ、やっぱり赤い紙だった?」

「まさか。単なる茶色い封筒に入った白い紙だったわよ。書留だったけど」

「そっか。そうだよな。どれくらいの期間、行くの?」

「訓練半年、現地一年って書いてあった。期間延長有りらしいけど」

「じゃあ、最低でも二留しちゃうってことか」

「健二と一緒に卒業したかったな」

「う〜ん。でも、俺にもそのうち届くと思うよ。お互い無事に戻ってきて、一緒に卒業しようぜ」

「なんか楽天的ね。でも健二らしいかも。私達、遠距離恋愛になるんだよね?」

「そうなるな」

「浮気しないでよ」

「するか」

「本当に?」

「くどい」

「ごめん……」

「親には言った?」

「うん。さっき電話した」

「会いには行かなくていいの?」

「明日、お母さんがこっちに見送りに来てくれるって。お母さん、泣いてた……」

「それは、そうだよな……」

「私、髪、ショートにするね。美容室も付き合ってくれる?」

「髪、伸ばしてたんじゃないの? そんな規定があるとか?」

「いや、ないと思うけど。卒業式に袴着るために伸ばしてただけだしね」

「せっかく伸ばしたのに勿体ない」

「切った髪、健二にもあげようか?」

「そういうの、縁起悪い感じがするんだけど」

「そうだけど……。ごめん」

「ノート、取れる内は、ちゃんと取って置くからな」

「本当に? うれしい。だけど、健二がノートを取ってるところ、見たこと無いけど?」

「大丈夫だ。任せろ」

「黒板をスマホで撮影しただけとか、そんなのは嫌だよ? あと、読める字で書いてよね」

「う、まぁ、なんとかする」

「期待しておくね。健二、キスして?」

「うん」

「……」

「……」

「私、どうしても行かなきゃいけないのかな?」

「法律上は、としか俺は言えない」

「ねぇ、このまま2人で逃げちゃおっか?」

「まさかの愛の逃避行!」

「乗るなら最終の各駅停車ね。リニアだと風情がないわね。トラックの荷台に2人で隠れたり?」

「まぁ、直ぐ捕まるだろうけどな」

「夢がないわね。ちょっとは私の現実逃避に付き合ってくれてもいいじゃない」

「あ、ごめん」

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― 新着の感想 ―
[良い点] こういう社会にならないように、活動をしていかないといけませんね! 勉強になりました。 これからも、執筆活動を頑張って下さい!
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