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詩集⑥

「やめちゃおうかな」

作者: 桜ノ夜月



「やめちゃおうかな」



ふと口をついて出た言葉。


やめちゃおうかな。もう充分やった気がするし。



「大丈夫だよ」「独りじゃないよ」



そう言ってくれた貴女も、もうあの光に融けて見えなくなってしまって。



「生きて居ていいんだよ」「ゆっくりでいいんだよ」



そう言ってくれた貴女も、もういつか見えなくなるのでしょう?


手を離される瞬間はもう見たくない。「またね」なんて、甘い毒はもう十分すぎるほど味わったから。


小説だって詩だって、沢山書いたから。もう伝えたい事は、全部全部伝えた気がするから。


姉上と交わしたメッセージも。


にぃ様と話したコメントも。


姉様と交わした詩も。


皆様から頂いた、優しさも美しさも全て。



―私には、不釣り合いだった。



そう、きっと、井の中の蛙。狭い世界で息をしていて、狭い世界で良い気になっていただけ。



誰かが見て居てくれるだけで幸せだったのに。いつの間に私は、こんなに贅沢になってしまったのだろう。



よく肥えたどす黒い感情に呑み込まれる前に。本来の目的を、見失わないうちに。



―……まだ誰かを、「大切だ」と言えるうちに。



もう―……



「やめちゃおうかな」



音の無い世界の中で、私は今日も独り。



あの夏の日に、想いを馳せながら。



暗く狭い部屋の隅で、ただ息をしているだけ。



だれも救えやしない、ただの凡人の姿で。



醜く、部屋へと沈んで逝くだけ。




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― 新着の感想 ―
[一言] 手を握れば握り返してくれる人は、桜さんの近くには必ずいると思いますよ。そういう魅力を持っている人ですから。 幸せ得てして重いものですが……背負い続ける価値のあるものですから。桜さんがやめなけ…
[一言] 誰か救いの手を!
2015/04/06 13:35 退会済み
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