「やめちゃおうかな」
「やめちゃおうかな」
ふと口をついて出た言葉。
やめちゃおうかな。もう充分やった気がするし。
「大丈夫だよ」「独りじゃないよ」
そう言ってくれた貴女も、もうあの光に融けて見えなくなってしまって。
「生きて居ていいんだよ」「ゆっくりでいいんだよ」
そう言ってくれた貴女も、もういつか見えなくなるのでしょう?
手を離される瞬間はもう見たくない。「またね」なんて、甘い毒はもう十分すぎるほど味わったから。
小説だって詩だって、沢山書いたから。もう伝えたい事は、全部全部伝えた気がするから。
姉上と交わしたメッセージも。
にぃ様と話したコメントも。
姉様と交わした詩も。
皆様から頂いた、優しさも美しさも全て。
―私には、不釣り合いだった。
そう、きっと、井の中の蛙。狭い世界で息をしていて、狭い世界で良い気になっていただけ。
誰かが見て居てくれるだけで幸せだったのに。いつの間に私は、こんなに贅沢になってしまったのだろう。
よく肥えたどす黒い感情に呑み込まれる前に。本来の目的を、見失わないうちに。
―……まだ誰かを、「大切だ」と言えるうちに。
もう―……
「やめちゃおうかな」
音の無い世界の中で、私は今日も独り。
あの夏の日に、想いを馳せながら。
暗く狭い部屋の隅で、ただ息をしているだけ。
だれも救えやしない、ただの凡人の姿で。
醜く、部屋へと沈んで逝くだけ。