モノローグ
活動報告にも書きましたが、第三章のエピローグと第四章のプロローグを兼ねたものとなっています
短いですが目を通して頂ければ幸いです
とある場所に照明器具も窓も扉すら何一つない薄暗い部屋があった。一見、矛盾点の見られる描写ではあるが、何も間違ってはいない。本当に室内には何一つ照明器具は存在しないが、薄暗いのもまた事実。明るくも真っ暗でもなく、薄暗いのだ。
つまり、何かがこの現象を引き起こしているわけで。器具ではない発光体がこの部屋にはあった。この部屋にある唯一のもの、それが水槽。しかも、金魚のような観賞魚向けの長方形のものではなく、バブルリングで知られるあのイルカが泳いでいたような円柱水槽。
しかし、こんな場所に客寄せイルカなど飼われているはずもない。飼われているのは人、歴とした人間だった。
美しく輝くような天然の金髪、豊満な胸部に引き締まった腰つき、見合った臀部からスラリと伸びる太もも、細っそりとしているがそれでいて筋肉も見られる二の腕と脹脛、それに加えて顔は絶世の美女ときた。
加点方式では点数が振り切れ、減点方式が適応されない。十全十美であり、人間の最終到達地点とも言える風貌。彼女の全てが黄金比であり、黄金比こそが彼女である、といっても過言ではなかろう。
もうお気づきのことだろう。屋内を照らし、眠り続ける唯一無二の存在。そう、彼女こそがこの部屋の発光源であり、この空間の主なのだ。
そんな密室に侵入を果たす者がいた。その侵入者は手慣れた様子で、一直線で水槽へと近づく。美女から発せられる微弱な光によって水槽に侵入者の顔が朧気に映される。侵入者の性別は男。眼鏡をかけ、痩せこけた細見の男性だった。
その男は眠り姫へと口を開く。
「あの人の許可が下りた。ようやく君をここから解放してあげられそうだ」
解放、その言葉の意味するものとは。
「もう眠り続けることはない。僕があの人に代わって、君を導こう。そして、忌まわしき過去の楔を、契を引き裂こうではありませんか」
彼女の過去とは。
「僭越ながら、不肖東雲が微力を尽くさせて頂きます」
男の名は東雲。
「解放の日にまた伺います。英気は十分に養っておられると思うので、何卒覚悟の程をよろしくお願いします」
東雲は言い終えるとその場を去った。
終始、眠り姫は返事をしなかった。うんともすんとも言わなかった。眠っていたから返せなかったのか、眠っていたから返さなかったのか。そもそも返す気がなかったのか。それは彼女のみぞ知る。
一つだけ確かなことは、東雲が暗躍していたこれまでの行動理由がこの眠り姫に付随しているということだろうか。だが結果的に、誰も東雲の行動真意について知ることも、況してやこれから起きるであろう事件発生を止めることも出来なかったということ。
時間は刻一刻と迫る。眠り姫が目覚める刻は近い。
次の投稿時期は未定とさせていただきます
楽しみにしている人がもしおられたら申し訳ありません
必ず続きは投稿しますのでそれまでお待ち頂けたらと思います
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維神真姫




