プロローグ
初投稿です
温かい目で見守ってください
辺り一面が血の海…そんなところに人影が二つ。一つは膝をつき涙を流す少年。一つは少年に抱えられ血を流す女性。
なぜこのような状況になったのか。この風景、ある意味で殺・風景なこの場所を、一目見たところでその謎は解けないし理解できない。彼、彼女からすれば、見ただけで理解した気になられるのは些か不愉快だろう。
当事者であろう少年にも女性にもこの顛末を語る気力はないし、そもそも周りに聞かせる気などさらさら無い。この事は口外してはならない。他者に知られてはならない。少年と女性の最後の秘密なのだから。
女性が美しい声で少年に囁く。
「早く殺してくれ…キミに殺されるなら私は快く死を受け入れよう…このままただ息絶えるのはゴメンだよ…」
すでに致死量分の血を流し、いつ意識を失ってもおかしくない。そんな状況でも女性はいつもと変わらない笑顔で囁く。しかし少年の目から溢れる涙は止まる気配を見せない。
女性は少年の涙を拭い、両手を少年の頬に優しく添え、そして宥めるように続ける。
「泣くことはことは何もないよ…キミの人生は終わったんじゃない…これから…これからやっと始まるんだ…さあ…」
「キミの手で私の甘ったるい人生を終わらせてくれ」
その時、一つの命がこの世を去った…
読んでいただきありがとうございます
誤字・脱字などありましたら教えていただけたら幸いです