16話 巌流島の決闘(再)
諒達が観客席に着くと一人の男が近づいてきた。
「ちょっといいかい?」
「ん?俺か?」
「あぁ、そうだ。ちょっと話があるんだ。」
「話?てか、誰だ?あんた。」
「本当の事だったのか。異世界から来たのって。」
「!!!何故それを?」
異世界から来たって言うのは仲のいい奴とあの子ぐらいしかいないはず。どう言うことだ?
諒は疑問に思う。だが、そんな疑問もすぐに取り払われた。
「君が少年と話しているのを聞いたからね。」
「なるほど。」
「あ、自己紹介忘れてたな。俺はハルキ・フラーデル、東洋人だ。」
「改名法か………。」
「あぁ、そうだ。」
そんな会話をしていると、皆の様子がおかしい事に気が付いた。
「ん?どうした?」
「いや、どうしたもなにも、この人、有名人だぞ。」
「この人のランクは詳しくは分かっていない。けど、Sランク以上って言うのは分かっているわ。二つ名は“剣豪”。この世界で、最強の剣士と言われてるわ。」
「天照院のお嬢さん、それは言い過ぎだぜ。俺より強い奴なんか、結構いるし。」
「へぇー、そんな強いのか?何か技見してくれよ。」
諒はハルキに要望する。その要望に頷いて了承したハルキは広い場所に移動しようと言った。
「一応言っておくが、俺の武器は刀な。んじゃ、見せるぜ。炎刀“火斬”!!」
ハルキは地面を数カ所斬る。斬られた地面が赤くなっていき、そこから火が噴き出した。
「すげぇな、あんた。しかも、俺に似てるときた。」
「あぁ、俺もさっきの試合見て思ったぜ。」
「そうなのか?俺には同じな所が分からなかったけど。」
諒とハルキはお互いが似てることが分かったが、マグリー達は分からなかったようだ。
「そう言えば、そろそろ始まんじゃねーか?」
「あぁ、そうだな。戻るよ。」
「じゃあな。」
諒達はハルキと別れた後、すぐに観客席に戻った。戻った頃にはちょうど、試合が始まる時だった。
「さぁ、始まんぜ。世界を超えたかどうかは知らねーが、時代を超えた決闘が。巌流島の決闘がな。」
「巌流島の決闘?」
「あぁ。そう言えば、あの二人の先祖の名前って知ってるか?」
「確か、宮本武蔵と佐々木小次郎だったような。名前だけは知っている。」
「こっちの世界も一緒か。」
「どう言うことだ?」
「なぁ凛子、あの二人は東洋でも、有名な偉人の子孫じゃねぇのか?」
「え?そうだけど。」
諒の予想は当たっていたようだ。そんな諒はニヤリと笑う。そして、
「宮本武蔵は二刀流で、佐々木小次郎は一刀流だった。今のあいつらと一緒のようにな。」
「諒君の言うとおり。あの二人は巌流島で戦い、宮本武蔵が勝った。その通りにいくとしたら………。」
「決まってるな。」
「ってことは。おっ、始まるみたいだぜ。」
そして、審判の開始の合図とともに二人の刀がぶつかり合う。まず、武は次郎の刀を右手の刀で防ぎ、左手の刀で次郎の横腹に向かって斬りかかる。次郎は武の右手の刀を上手い具合に押し返し、横腹へと向かってくる刀を防ぐ。試合はまさに、白熱していた。
「すげぇな。」
「あぁ、ここまでの戦いはなかなか見れねぇ。」
「私はあんな戦い初めてみるわ。」
「そうなのか?天照院なら何回も見てると思ったけど?」
「そんなことないわ。私は実戦経験は少ない方。多いのは月光院の方よ。」
「そうなのか。それよりお前、さっきから何考えてんだ?」
諒は天照院の思い詰めているような顔を見て問う。
「気付いていたの?」
「まぁな。」
「この前の闇属性のことよ。けど、私の知っている闇属性とは少し違う気がするのよ。」
「どういうことだ?」
「わからない。けど、何かが違うの。」
(何かが違う………か。)
『おぉ!』
諒が何かを考えていると観客がどよめきをあげる。
「ん?動きあったか?」
フィールドの方を見ると、次郎の腹に傷があった。しかし、武が斬ったのとは違うようだ。攻撃を当てたのは武の魔法だった。
「“土鮫”………。」
次郎は苦しそうに自分に傷を与えた技を言葉にだした。
「悪いな。これで終わりだ。」
武は次郎に向かって言葉を放った後、刀を振り下ろした。武の刀が振り下ろされた瞬間、次郎は消え、場外に出された。それは決闘の終わりを意味していた。
「勝負あり!勝者、宮本武!」
『勝ったのは、武だー!』
審判の終了の合図と実況の言葉で観客が声をあげる。
「やっぱり、勝ったのは宮本の方だったか。」
巌流島の決闘の再現とも言える二人の戦いは宮本武の勝利で幕を閉じた。




