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脱出不可能!?不愉快的後宮Life

1-3 脱出不可能!?不愉快的後宮Life




皆さん、おはようございます。



目が覚めたら超絶豪華な部屋に居た宮内真白でございます。




ちょっとお姫様気分?・・・でも窓には鉄格子、みたいな~。



・・・なんというかそのギャップがうすら寒くてしかたがない。



天外付きベットの寝心地は最高。しかし私の気分は最っ悪。



いつの間にか着用していたネグリジェ?はシルクの手触り。


私が、この私がっ!!


ネグリジェなるものを着ることになるとはっ!!



はっきり言って


キ☆モ☆い(オエッ)



鏡で自分の姿を目撃し、瀕死寸前のダメージ。


あまりの不似合いさに、いたたまれなさを通り越して視界的暴力に打ちひしがれ


「ぬぉ~なんじゃこりゃ~」


雅な部屋に不釣り合いなおたけびを上げた私を許して欲しい。




落ち着けぇ~落ち着けぇ自分。



檻の中の熊みたいに部屋をウロウロする自分を正直情けないと思いつつも、じっとしていられないのだからしょうがないッ。



なんだってこんなことに(泣)。




突然来ちゃった異世界で突然放り込まれた豪華な部屋。


平常心でいろっていうのは無理な話しで。





っていうか、ここ何処なのさっ(怒)。



この世界に来てから、毎日の日課である朝の牛乳によるカルシウム接種を欠いているせいかどうかはわからないけどこの状況、マジでイライラするんですけど。


思い出すのはシュリとシュロの後姿とムカつく偉そうな男の顔。



まあ、コテマリもある意味インパクト大だったけどね(笑)。



私を後宮に連れて行くとか言っていたあの男・・・ということはここが噂?の後宮なわけ!?


・・・なるほどこの豪華な部屋の作りにも頷ける。



あの野郎、本当に私を後宮に放り込んでくれちゃったわけね。


やたら整った顔を近づけて『興味深い』を連発してたけど。



・・・拘留された経験はさすがにないから牢屋の辛さはわからない。でも図らずとも聖域を侵してしまった重罪人である私を後宮に連れて来たあの男の行動はおかしいと思う。牢屋へと異議を唱えたコテマリ(本名忘れた)の反応こそが一般的だろう。


暗くて寒くて汚くて見張りの沢山いるイメージのある牢屋と豪華で快適で女性ばかりというイメージの後宮とではどちらが脱出しやすいかと考えると断然後者なわけで。





考えが読めないという得体の知れない恐怖はあるものの、場違いな場所にいるという精神的苦痛を除けばこの状況はラッキーなのかもしれないと私は前向きに考えることにした。



多少の不安は残るもののそうと決まればグズグズしてられない。


早くこの部屋から抜け出して二匹見つけ出して森に帰ってやる!!



そう意気込み気合いをいれた。



「私は強いっ!!私が1番っ!!」


試合前の恒例自己暗示。


ちなみに私は剣道部。実家も剣道の道場やってるから腕前にはそこそこ自信があったりする。


でも試合前はナーバスになりやすくて。


・・・私、こうみえて結構繊細なんデス。


大事な試合の前や気弱になった時、この言葉で喝を入れる。


これやると気が引き締まって今のところ、これを始めてから負けなしだったりする。



試合じゃないけどここぞという時の大一番!!


ここでやらなきゃいつやるっていうのさっ!


端から見たらネグリジェで仁王立ちする私は痛いことこの上ない。でもそんなこと気にしない。



だってこの部屋には私一人っ!!





・・・だと思ってたのだけどなぁ。







「クスッ勇ましくていらっしゃいますのね。」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(爆)!!!



いつの間にか人がいらっしゃいました(泣)



「だっ誰!?」



動揺する私にその人は


「失礼いたしました。私、サラと申します。今後貴女様付きの侍女になりますゆえ、どうぞお見知りおきを。」


とニッコリ笑った。


「あっ、どうも。」


サラさんは綺麗な人だった。


思わず顔を赤らめてしまったのは気合い注入の現場を見られた恥ずかしさもあったが、彼女の笑顔に当てられたせいでもあると思う。



おしとやかで優しい、私とは正反対の雰囲気を持つ彼女を思わずぼーっと見つめてしまう。


「あの、すいません。なんとお呼びしたら宜しいですか?」


そう問われ自分がまだ名前を名乗っていないことに気がついた。


「あっすいません。私、宮内真白って言います。」


「ク、ナイマシュ、ロ??様で?」



「クナイが苗字でマシロが名前です。マシロって呼んで下さい。」


慌てて言い直すと


「マシロ様ですね。」


と再び笑いかけられた。


いっ癒されるぅ~






思わず和みそうになったけど、


・・・うんっ?ちょっと待てよ。サラさんは始め何て言った?確か私付きの侍女だって・・・



侍女!!??



なんで重罪人に侍女を付ける必要があるんだ!?


?マークいっぱいの事実に気付き私は頭を抱えた。


そんな私を気にすることなくサラさんはかいがいしく世話をやく。


「こちら、お召物をお持ちしました。」


ビラッと見せられたのは緩やかな女性的なデザインのドレスで。


・・・・・無っ理~



こっこれを着るのかと固まった私を尻目にサラさんは


「これと、これと、これを付けて、これを髪飾りにして・・・ああんきっとお似合いですわ~」


一人悦に入り恍惚の表情を浮かべていた。



サッサラさん?(汗)

正直ちょっと怖いのですけど。



怯えながら声をかけ、それを着るのはチョット・・・と告げると


「なんでですのっ!?」

凄い勢いで詰め寄られた。


なんでですの?ってねぇ。だってどう考えても似合わないでしょう?


サラさんみたいにナイスバディの美人さんだったらいざしらず十人並みの幼児体型の私じゃ幼稚園の学芸会か吉本新喜劇だ。






力説する私に、そんなことありませんわっ絶対お似合いになります。と言い張るサラさん。


でも私だって引く訳にはいかない。双方譲らず時間が過ぎたが結局折れたのはサラさんだった。


「いつか、必ず着ていただきますからねっ」


念を押すサラさんに苦笑いしつつも


「できるだけ動きやすい服をお願いします。」


とちゃっかり注文もつけてみた。



わかりました。と少々不満げに出された服はダボっとしていて足のところでキュッとしまっているズボンにシンプルな上着という組合わせのもので・・・まあ、アラビアンナイト風ではあるものの先ほど見せられたものに比べれば格別に動きやすそうだ。



あるじゃない、まともなやつが。


「ありがとうございます!!」


嬉しくて満面の笑みで御礼を言った私にサラさんは一瞬驚いたように目を見開いたが、すぐに「いいえ、喜んでいただいて私も光栄です。」と微笑んでくれた。



そしてすっかり寛いでしまった私。



今はサラさんの入れてくれたお茶でティータイム・・・って何呑気にちゃーすすってんだ自分!!


脱走っ!!


脱走するんでしょ!!



馬鹿?私って馬鹿?





サラさんの醸し出す雰囲気にすっかり流されてる自分に呆れた。



あの気合い注入は何だったんだ!!


半端ない自己嫌悪。


けどいつまでも落ち込んでちゃいられない。


切り替えの早さは、人一倍。


今からでも遅くない。まずは情報収集だと意気込んだ。



一番気になるのはシュリとシュロのこと。でも、いきなり場所を聞くのは怪しまれるかもしれないのであたり触りのない世間話から始めることにした。



えっと、『きどにたてかけし居食住』だったっけ。


初対面の人と円滑にコミュニケーションをとる時の合い言葉。


きは季節、どは道楽、にはなんだっけ?まっいいか。取り敢えず・・・


「今日はいい天気ですね~」


・・・・・ふっ不自然すぎるかなぁ。なんか目が泳ぎそうになる。



しかし、そんな私の動揺を気にも止めず


「ええ、本当に。久しぶりの快晴ですわ。どうです、お庭に出てみては。ちょうど今、セトの花が見ごろですのよ。」



サラさんはさらりと答てくれた。



「えっ庭に出られるんですか?!」



やったぁ~庭に出れば逃走経路の確認ができるかもっ!!



単純に喜び浮かれる私。



クスッ




だから私は気付かなかった。



サラさんが意味ありげに笑い、私を見ていたことに・・・・・・・・・・・・・・








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