Show−翔−魔王
魔王は魔王の時代で世界を滅亡させようとしたが、失敗。過去に行き、破滅させようとするも、またしても失敗する。
魔王は翔に倒された直後に、何故、こんな悲運な道を辿らなくてはいけなかったのかを考える。
僕は、魔王。人がたまらなく憎い! 人を一人残らず地球上から消す為、魔王の能力を駆使し、能力者達に戦いを挑んだが、科学者と能力者達が結束したことにより、宇宙の彼方に幽閉されてしまう(※1)。だが、見つけた。宇宙に存在する天使界を。(※2)天使界(※3)と戒さんに託されたタイムマシンを併用すれば、時空を超越できることを知っていた僕は過去を滅ぼすことで、未来をも滅ぼすことに決めた。過去は、僕が一番、充実していた時の過去につながっていた。ちょうどいい。その充実した自分ごと、僕を倒せると思っている傲慢な自分ごと消し去ろうと思った。だが……。
僕は、過去の、能力者である僕に、敗北した。
捕捉説明(読まなくても大丈夫です。)
(※1)スピリチュアルバインド(精神幽閉)、魔王が復讐を計画している最中に開発された、能力兵器。能力を封印し、精神体だけを宇宙の彼方に飛ばす、というとんでもないしろもの。(ただし、能力封印の効力はスピリチュアルバインドが捕捉できる距離まで。太陽系全てを半径としてその二倍は捕捉できる)と、同時に地球にこれないようにアンチデビルストーン(悪魔の石や邪影石の力を退ける聖なる聖域。ちなみに、地球全土を覆いつくすほどのアンチデビルストーンを形成するには、最上位能力者四名の力が必要)を地球上全土に展開。魔王はスピリチュアルバインドで月まで飛ばされ、能力も封印され、アンチデビルストーンにより、地球に帰れなくなった。
(※2)大昔に天使達が住んでいたとされる、地球上にも多数ある別世界、天使界には思いを増幅させ、その分だけ実現させる力があるため、利用された。(天使界は能力者であれば能力を使わずに入れる。)
(※3)本来ならば、神聖石のある場所で、しかも戒さんの能力がないとタイムマシンは使えないのだが、魔王の想像を実現する力により、その縛りを解いた。(天使界と人の住む世界は位相が異なるため、スピリチュアルバインドの効力範囲外。よって、力が使える。)
※ちなみに未来の力について
その1マジックウエポン…武器やアイテムに能力者の能力をプラスできる技術があり、スピリチュアルバインドがそれにあたる。他にも、翔が美智子からもらった勾玉や、戒のタイムマシーンがそれにあたる。
その2スキル…何人かの能力者で全く別の強力な能力を使用できる。消費が激しい。近年科学者により提唱された新しい技術。アンチデビルストーンがそれにあたる。
(いしの力参照)
ここは何処だろう?僕が僕に倒されたのはおぼえている。わからない。何故僕がこんな運命をたどらないといけなかったのだろう。未来は、未来とは、何だろう? 小さい時はまだまだ先のことだと思っていた。じいちゃんに聞くと、見えないもの、不安定なもの、でも確実に通らないといけないもの、と言っていた。でも何故だろう? 未来が、幸せな未来になると、僕が小さい時僕を倒した時から思っていた。
美智子さんに勾玉をもらった時から僕の、いや、地球も含めた地球上の全ての生き物の運命は変わったらしい。僕の時は、魔王は未来の僕だったが、僕のように悪魔の石に手を染めてはいなかった。
僕は隕石を薫さんと殺し屋に任せ、そして、死闘の末、その時の魔王を倒した。
確かに、その時魔王は言った。
「能力なんか関係ない。基本的に似た過去をたどった俺達だが、過去が異なる証拠にお前と俺の上位能力は違う。本来ならば、魔王が勝つ未来しかないはずだった。それを変えたのが、憎々しい勾玉だ。だが、どの翔も、勝っても負けても不幸を見てきたというのも事実だ。これは翔が男であるように、又、妹がいるように、基本的な事に含まれていたのだろう。お前には、いや、翔にはこれだけは変えられまい。お前は俺に勝った、つまり、お前も必ずこうなる」
そう言って、魔王は滅びた。
父親は交通事故に会い、僕が病院まで間に合えば、能力を使えれば、助かるはずだった。だが、その時、僕は高校にいた。親戚からケータイに連絡が入り、高校を出たはいいが、病院まではとてもじゃないが、走って間に合う距離じゃない。タクシーを使い、病院まで行った。気が気でなく、運賃のことなど忘れていた。間に合わせなど、もちろん、持ってない。この時、邪悪な考えが浮かんだ。殺せばいい。能力を使えば、証拠は残らない。僕の能力は殺傷力の高いものだったので、一撃で殺れるはずだった。だが、僕は首をふり、正気に戻り、正直に金はない、と言った。すると、あろうことか、警察に通報され、緊急事態だと理解された後、病院へ急いだ。手術中で、なんとか合ったようだった。僕は言った。
「父親に会わせてくれ!」だが、
「手術中は医師の邪魔をしてはいけない」
と言われ、泣きながら、僕は僕が行けば父は助かるんだ! と言っても信じてもらえず、三分後、父はなくなった。
なんで……。
母は一人で僕と静を育ててくれたものの、父の借金がかさみ、心労が重なり、なくなった。生前、病院に連れていく金もなかった。
なんでなんで……。
引き取ってくれる親戚もいなく、僕と静は街の不良達と仲良くすることでなんとか生き延びていた。毎日、毎日、まいにち、マイニチ、汚いことをやって生きていた。盗み、クスリ売り、又、能力を使って、人を殺したり。僕と静は別行動だったから気づかなかったが、女である静は……。気づいた時には静はずたぼろにされ、しまいには麻薬をやって、こう言った。
「お兄ちゃん、私を、殺して……」
僕は何も言わず、涙ながらに頷くと、能力で殺してあげた。
なんで、なんでなんで!
僕の家族が何をしたって言うんだ! 僕が何をしたっていうんだ! 殺してやる。人類全て殺してやる! ウォォォォォ!
その時、頭の中で声が聞こえた。
「人に復讐をおぼえる者よ、復讐できる力が欲しいか?」
「欲しい! 人類、いや、地球全てを破滅させる力を!」
「よかろう、代価は体と死んだ後の魂だ。」
こうして悪魔の石の場所を知り、
僕は魔王となった。
2011/10/05
捕捉説明追加しました。