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九、鷹太郎に9999のダメージ!

主な登場人物

藤谷(ふじたに) 鷹太郎(ようたろう) ・藤谷(ふじたに) 美虎(みこ)

紅亜(くれあ)

望月(もちづき) 典馬(てんま)  ・笠井(かさい) 蛍冴(けいご)



 美虎はリビングルームのソファに体を丸めて泣いていた。

 いつもは笑顔なだけに、泣き顔を見るとなんだか恐縮してしまう。


「美虎」


 そっと名前を呼んでみる。美虎は涙をティッシュで拭い、またつくり笑顔を浮かべた。


「兄さん、いきなりすいませんでしたぁ」


 それはこっちのセリフだ、と思ったところで、口に出す事はできない。

 どうやって言葉を繋げばいいのかわからないのだ。


「に、兄さんは昔から嘘ばっかりですねぇ。しかもぉ、よりにもよってとても傷つく嘘ばっかりでぇ……」


 鼻水をかんで、ティッシュをすぐ傍のごみ箱へ放り込む。


「……心の底では、分かってましたぁ。兄さんが、わたしの事を好きじゃないことぐらい……でも、嘘だと分かっていても、昨日の告白はとても嬉しかったんですよぉ」


 俺は無意識に、家族を酷く傷つけていた。その事実だけで、胸が締め付けられる様に痛む。


「なんでいきなりあんな事を言ったのかは理解できませんがぁ……嘘、なんですよねぇ?」


 すがりつく様にこちらを見上げてくる妹。まだ心のどこかでは、認めていない自分がいる。それは美虎自身にも分かっているんだ。

 俺はその泣き顔から目を逸らしてしまう。その気持ちに応えられないからだ。


「嘘……じゃない」


 なのに、少しでもその気持ちに応えようと俺は必死に言葉を頭の中から弾き出す。


「言い方を間違えただけだ」


 今から言う事は、嘘なんかじゃない。


「俺は紅亜を彼女として愛している。そして美虎を、家族として愛している」


 今になってなんだ、俺は。今までずっと美虎をうざがってきたのに。

 本当は、好きだったのかよ。

 俺が言い終えると、美虎は自分に納得させるようにうなづき、ソファを立った。

 泣き顔じゃない。いつものつくり笑顔でもない。

 人間の本能からくる、そのままの笑顔だった。


「ふふ……そうですかぁ。では、変態嘘吐きクズ兄さんを許してあげましょぉ」


 あれ!? 許してないよね!? つかなんで俺の想像通りの毒舌を吐いてんだよ!


「わたしも、愛していますよぉ、兄さん」


 にっこりと自然な笑みを見せる。これでやっと、真正な家族としてこれから付き合っていけるんだな……やれやれ。

 あれ、そういえばパンチがとんでこないな。蹴りも。ボディプレスも。何故だろう?


「異性として」


 ボソッ、と美虎が呟く。え、今なんて言いました?異性?異性として?待て待て、さっきの美虎の発言と繋いでみよう。


「わたしも、愛していますよぉ、兄さん……異性として」


 なんも変わってねぇー! なにが真正な家族だよ! うわ俺恥ずかしー!

 一件落着と思ったらまた一件。結局、今の俺も、後の俺も助けられないのだった。


「たとえ相手が彼女だろうとぉ、負けませんよぉー!」


 しかも気合入ってるし。だから、家族内で恋愛はないって。


   ◇ ◇ ◇

 

 その後、2階からリビングへと降りてきた紅亜も一緒になって、3人で朝食を摂ることになった。


「それで、兄さんったらねぇ……」


 美虎が意気揚々と俺達の小さい頃の思い出話を紅亜に聞かせている。


「温水プール上がった後で、水着から服に着替えるとき、シャツとパンツ間違えちゃってぇ……」


「そんな失敗したことねぇよ!」


 こいつ勝手に思い出を偽造してやがる!


「あとあとぉ、中学生の時ぃ、修学旅行で女子風呂覗いたりぃ……」


 な、なんで知ってるんだ……! って、いや嘘ですよ?


「それとぉ、高校の入学式の最中に全裸になってステージの上でブレイクダンスを……」


「踊ってねぇから! お前なんで勝手に俺を変態に仕立て上げようとしてんだよ!」


 紅亜はどうやらそれを本当の事だと思っているらしく、だんだん俺への目つきが「不審者を見る目」へと変化していってる。勘弁してくれ、俺はそんな変態じゃない。変態は望月だ。

 ちなみに今日は土曜日。学校へ通学する必要はないので、ちょっとイラッとくるあのロリコンと目を合わせないで済む。おし、今日は家でゴロゴロしてよう。

 それなのに。

 そのすぐ直後に、紅亜からこの休日を潰すこととなる命令が下る。


「じゃあ鷹太郎。この朝食を食べ終わったら、すぐ特訓ね」


 特訓。そうだ、さっきそんな単語を紅亜の口から聞いた気がする。

 でも、一体何の特訓をするのだろうか。


「紅亜ちゃん、特訓って何をするんですかぁ?」


 当然の様に美虎が質問を投げかける。


「えっ。あぅ、それは、えーっとえー」


 言葉に詰まる紅亜。何故だろう……と少し考えて、やっと俺は思い出す。

 そうだ、またライオンが襲ってくるときのためにか。

 気づくと、紅亜が俺に目で助けを求めていた。俺は「適当に言え」と口の動きだけで伝える。

 紅亜はそれを読み取ると頷き、大声で、


「な、ナンパ!ナンパの練習!」


 と宣言した。

 馬鹿だ、こいつ馬鹿だ……なんで彼女が彼氏の浮気を手伝うんだよ。

 あ、なんか体が冷えてきた。なんでだろ、ははっ。

 気づけば、いつかの氷点下の眼差しがこちらへ向いていた。


「兄さぁん、ハーレムはお好きですかぁ?」


「はは、何を言うんだみこちゃん。僕は心に決めたじょせっづぶぇっ!」

 美虎さんお得意ボディプレス炸裂!鷹太郎に9999のダメージ!

 いやもうダメージが最高値じゃん……あぁ、だめだ、意識が……

 



 最後に、望月にかわって言わせてくれ。

 ハーレム、万歳。


 

 まだ終わってないですよw

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