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神山家の兄妹

心配性な長男

作者: 迎千鶴

こちらだけでも読めますが、私が書いた「貧乏性の僕」と同じ設定です。

両方読むと、また、違った感じで読むことができるかもしれないです。

現在、午後六時を過ぎたところ。


「零くんはどこにいるの?」

「え?零、いないの?」


俺が聞くと、うなずく兄さん。

俺の名前は神山 樹(カミヤマ イツキ)

この家の次男で、大事な時期である高校三年生だ。


そして、兄さんは、神山 優(カミヤマ ユウ)

今年、二十二だったか?


「零兄ちゃん、まだ、学校なんじゃない?」


そう答えるのは、実央(ミオ)

中学三年生の長女だ。


話題の中心である(レイ)

俺の一個下の三男だ。


「バイトじゃないの?」

「零兄ちゃん、今日は早いって言ってなかったっけ?」


そう言うのは、四男の(ミナト)


「そうだっけ?」

「今日は僕も、樹くんもいるのに、零くんだけ、遅いってのは変だな…。」

「確かに、全員集合できるときは、集合させるもんな。」


…その瞬間、兄さんの思考回路がすぐわかったのは、俺だけではなかった。


「誘拐…。」

「兄さん、飛躍しすぎだから。」

「零兄ちゃんは、いつも樹兄ちゃんをぶっとばしてるから、誘拐なんてされないだろ。」

「零兄ちゃんは、徐々に強くなってるしな。」


実央に湊が同意する。


「俺のおかげってことでいい?」

「よし、樹兄ちゃん、今日こそ、根幹から強制しなおす。」


指をさされてしまった…。


「そんなことより、今は、零くんのこと。」

「優兄ちゃんは、少し心配性すぎない?」

「…しょうがないでしょう。可愛い兄妹のことなんだから。」

「開き直ってるし。」


どうにか、兄さんの興味を違うことにそそらなければ。


「ちょ、零兄、いる?」

「ん?どうした賢。」


小学五年生の(ケン)がでてくる。


「宿題が…。」

「ん?じゃあ、兄さん、教えてあげてよ。」

「え?零くんは?」

「俺らがなんとかするから。なぁ、実央、湊。」

「もちろん、樹兄ちゃん。」

「え?えぇあぁ、うん。」


何とか、兄さんを賢の世話に回す。


「…零、今日なんかあるって言ってたっけ?」

「わかんね。」

「零兄ちゃん…いつもよく分かんないからなぁ…。」

「え?湊、それは、ひどくないかい?」


たわいもない話をしながら、零が行きそうなところを探す。


「いつも、零が飯作ってんだろ?」

「うん。」

「じゃあ、八時前には帰ってくるんじゃない?」


「「「…」」」


しばしの沈黙の後、三人とも、一つの答えにいきつく。


「兄さんの気をどう紛らわすか…。」

「賢の宿題もそんな難しくないと思うからな…。」

「湊は、宿題でなかった?」

「残念ながら。」


三人の知恵はここまでで止まりそうだ。


真央(マオ)を呼ぼう!」





「何?湊兄ちゃん、実央姉ちゃん。樹。」

「あのさ、真央、俺は、注意したよね?俺は、真央より、年上だからね。」

「まぁ、いいじゃん、樹兄ちゃん。」


ニヤッと笑う湊。


「お前、そんな笑い方をすんな。」

「湊は、清廉潔白な男の子だよ。」

「いや、思いっきり、悪い顔してたから。」

「目がくすんだろ、樹。」


真央や湊、実央にいじめられる。

ひどい…。


「ねぇ、零くんは、まだ、帰ってこないんですか!!」


いきなりの兄さんの登場に四人で目を丸くする。


「警察に連絡しないと!」

「待って、兄さん。」

「待てないです!」

「ただいま~。」


零の声がして、兄さんが玄関に走り出す。


「よかったぁ…。」


玄関では兄さんと零の会話が聞こえてくる。


「零くん、どこに行ってたの。」

「隣町のスーパー。」

「なんで?」

「卵が二円安いから。」


その会話に俺と三人は目をあわせる。


「零兄ちゃんは…主婦なのか?」

「確かに…。」

「だって、家計簿作ってんの、零でしょ?」


俺の問いに三人はうなずく。


「零兄、飯ー。」


賢の大声が響く。


「はいは~い。」

「零くん、まだ、説教は終わってないよ。遅くなるなら、連絡をください。」

「優兄さんは、心配性すぎ。僕、高校生だよ?」

「あのね…。」


兄さんの説教は続きそうだった。


「…兄さん、湊と真央もお腹減ってるみたいだよ?」


俺が二人に目をやると、二人は、お腹減ったーと言って、リビングに走る。


「ご飯をつくってからでもいいでしょ?」

「よくない!!」


予想外の返答に真央と俺は驚く。


「僕がどれだけ心配したか、分かってるの、零くん。」

「優兄ちゃん…。」


零が重い口を開く。


「ズボンのチャックあいてるよ。」


その言葉に、驚く。

兄さんは、自分のズボンを確認する。


「本当だ。零くん、ありがと。」

「どういたしまして~。」


零は、台所へと歩いていく。


「兄さんの扱い方って、零が一番うまいよな。」

「なんで、樹兄ちゃんは、できないの?」

「そうだよな、俺が一番長時間いるはずだからな。」


実央と俺は、話す。


「…兄さんは、もうちょっと自立させたほうがいいと思うな。」

「樹くーん、実央ちゃーん。ご飯ですよ~。」


先ほどとはうってかわって、いつもどおりの兄さんが戻ってくる。


「「はーい。」」



まぁ、心配性なとこも兄さんだからね…なんともいえないな。

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