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救世のルファディア  作者: yato
第1章 異世界編
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初依頼②

 悲鳴のする場所へと向かうと、そこにはゴブリンの群れが一頭の巨大猪のような魔物に蹂躙されている光景を目にすることになる。


 俺は茂みにそっと隠れてその様子を眺めることにした。 


 ワイルドボアの3倍以上はある大きな体格に暗褐色の体毛、2本の反り返った巨大な牙が特徴的だ。恐らくその牙で何匹ものゴブリンを倒したのであろう、返り血にまみれている。  


 ファングボア

 種族:魔獣種

 等級:C

 魔力:500


 ファングボア

 猪型の魔物。縄張り意識が強く、敵と判断した相手には大きく発達した牙で躊躇いなく襲いかかる。肉と毛皮と牙は売却できる。


 どうやらこいつはファングボアが進化した個体らしい。しかもC等級魔物。以前討伐したハイゴブリンよりも危険な魔物だ。


 「ゲギャ!」


 粗末な作りの石斧を持つゴブリンの1匹がファングボアに目掛けて振り下ろす。しかしファングボアにはまったく通じず、逆にその巨大な牙で返り討ちに遭ってしまう。


 「ゲギ!」


 これ以上は勝ち目がないと判断したのか、最後の1匹が逃走しようとする。しかしファングボアがすぐさま突進を繰り出す。


 「ゲギャア!」


 ゴブリンは背後からその一撃をまともに受けたゴブリンは吹き飛ばされ、樹へと激突。打ちどころが悪かったのか、そのまま動かなくなった。


 やはりF等級魔物のゴブリンではC等級魔物のファングボア相手にはまるで歯が立たないようだな。


 「ブゴッ?」


 ファングボアが鼻を鳴らすと、鋭い目つきでこちらを睨んできた。どうやら俺の存在に気がついたようだ。そう言えば嗅覚が優れているって記載されていたな。


 俺はミスリルスピアを構えながら茂みから出る。


 「ブゴオオオオオオオッ!!」

 

 俺の姿を見ると、けたたましい叫びと共にファングボアは速攻でこちらへと突進を仕掛けてくる。


 「おっと」

 

 一瞬で視界を埋め尽くすその巨体を前に俺は素早い身のこなしで側方へと跳んでそれを回避した。


 ファングボアは前方の樹々を次々と薙ぎ倒していく。流石にあの突進をまともに受けたら只では済まないだろう。


 「ブゴォッ!」


 しかしファングボアはすぐにUターンしてこちらに戻って来る。俺はもう一度側方へと回避して、今度は俺も攻撃を仕掛ける。ミスリルスピアを振るうと穂先がファングボアの身体に傷を付ける。しかし致命傷とはならなかった。


 「ちっ、思ったよりやるな」


 ファングボアの予想以上に高い頑強さに思わず舌打ちする。鋼鉄以上の強度を誇るミスリルスピアの一撃を受けても平然としているとはなかなかやるな。


 だが、まったく通じていないわけではない。この程度なら魔力纏鎧を発動しなくても倒せそうだ。


 「はああっ!」


 俺はミスリルスピアによる突きや斬撃の嵐を休むことなくファングボアに浴びせ続けた。暗褐色の身体を切り刻み、片方の牙を切り落とした。


 「ブモオオオオォッ!!」


 全身を切り刻まれた続けた痛みゆえか、ブルファンゴは身体を激しく振るわせて暴れ始めた。


 「まだ倒れないか、しぶとい奴だ!」


 もはや瀕死の重傷を負っている筈なのにファングボアは倒れるどころかより一層闘争心が高まっているようだった。鼻先から湯気のような白い息を吹き出し、血走った目つきでこちらを睨んでくる。


 だがよく見るとその傷だらけの身体を支える足は微かに震えており、立っているのがやっとな状態だった。


 それでも膝をつかずにこうして最後まで戦おうとするその姿は敵ながら見事な覚悟だと思ってしまう。


 「終わりだ」


 そう言って俺はミスリルスピアを振るうとファングボアの頭部を縦に切り分けて、勢いののった穂先は地面を激しく打って地面を抉り、大きな溝を刻み込んだ。


 「ブモオオオオオオォッ!」


 とどめの一撃を受け、ファングボアの雄叫びが森に響く。そして最後はドシンッと倒れてその生涯を終えるのだった。


 「ふう」


 無事にファングボアとの戦闘に勝利し、俺はその場に座り込む。今まで討伐したどの魔物よりも強い相手だったな。


 それにしても俺は幸運だった。C等級魔物の素材だけでなくゴブリンの魔石まで回収できるのだから。ゴブリンの死体はざっと見ても10体はある。


 それにC等級魔物の実力がどれくらいのものなのかも分かった。この経験は今後の戦闘にも役に立つだろう。


 俺はファングボアとゴブリンを回収し、依頼を再開する。


 今回の目的はワイルドボアだ。いくらC等級魔物のファングボアを討伐したとしても討伐数には入らないだろうな。


 「さ、あと1頭。頑張って探しますか」


 その後無事にワイルドボアを討伐し、必要討伐数を達成したことを確認してオルフィンへと帰還するのだった。

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