堕ちた精霊①
あの女性がアイビーの妹だって?
名前:ロベリア
種族:精霊族(木精霊)
適性:森属性
魔力:400000
魔法: リーフショット(小)・ローズウィップ(小)・ウッドアーム(中)・ウッドウォール (中)・ウッズタイタン(大)・ジャイアントプラント(大)
加護:蔓延触手
蔓延触手
蔓状の触手を生み出して自在に操ることが出来る。蔓は魔力量により長さと大きさを変化させられる。
「確かに彼女も木精霊のようだな。だとしたら何故、アイビーの方はこんなにも幼い見た目をしているんだ?」
「それは……」
俺の問いにアイビーは口を紡ぐ。そんな彼女にロベリアの視線が向けられる。
「……もしかしてアイビー? その姿は何? 以前の貴女とはかけ離れすぎて全然分からなかったわ」
「ええ、お陰様でね……」
アイビーは鋭くロベリアを睨む。どうやら彼女とはかなりの因縁があるそうだな。
「でもでも、どうして貴女が生きてるのかしら? 確か私を封印する時に死んだと思ったのに、変よね?」
何だって? アイビーが死んだだって? どういうことなんだ?
「あらあら〜、もしかして何も教えてないのかしら?」
「………………」
「……姉さん」
いつまでも口を紡ぐアイビーをセレーナが見つめる。そして観念したのか、ようやく口を開いた。
「……いいわ、教えて上げるわよ」
そしてアイビーは自らの過去を話し始めた。
それは遥か昔の時代。
世界樹から双子の姉妹精霊が生まれた。彼女達は女神様によって姉はアイビー、妹はロベリアという名前を与えられ、長きに渡って森の平穏を保ってきた。
しかしロベリアには致命的な欠点があった。それは己の為には手段を選ばない冷酷非情さを持つ邪悪な心を持っていたことだ。
ロベリアはエルフィリオ大森林を支配するだけでなく更には外の世界さえも自身の支配下に置きたいと思うようになる。
そこで自ら邪神の使徒となったロベリアはまず手始めに森の魔物を操って世界樹を滅ぼそうとした。
当然アイビーと世界樹の守護者であるエイクスュルニル、そして里のエルフ達は協力してロベリアを止めるべく戦いを挑んだ。
邪神の恩恵を与えられたロベリアの力は凄まじいものだったが、多くの犠牲によって何とか彼女を封印することに成功した。
その犠牲の中にはアイビーもいた。それは彼女の甘さだったのか、邪神側に寝返ったとは言え共に生まれた双子の片割れであるロベリアを殺すことが出来ず、仕方なく自らの命を引き換えにして強力な封印を施したのだ。
しかしアイビーは死んではいなかった。ロベリアを封印する際に僅かだが魂の欠片が残されていたのだ。
そしてアイビーの魂の欠片は悠久の時をかけて徐々に回復していく。残念ながら全盛期とまではいかず、幼い姿ではあるが肉体を形成するまでには力を取り戻した。
そんな時にひとりぼっちだったセレーナと出会い、共に行動するするようになったそうだ。
なるほど、アイビーとロベリアの容姿の違いはそういう訳があったのか。
「おいロベリア! そんな無駄話を聞いている暇があるのなら私を助けろ!」
話の腰を折るのは両腕を切断されて血を垂れ流しているエルゾアをだった。どうやら大量の出血で錯乱状態に陥っているようだ。
「聞いているのかロベリア! 私が貴様の封印を解いてやったんだぞ! 早く恩人である私を助けろ、この恩知らずが!」
ロベリアに罵詈雑言を浴びせるエルゾア。そんな奴の言葉に我慢出来なくなったのか、笑みを浮かべていたロベリアの表情が一気に険しくなった。
「……さっきから五月蝿い奴ね! たかが下っ端の分際で私に指図するんじゃないわよ! この下衆野郎が!」
先程までの態度とは打って変わって乱暴な口調で話し出すロベリア。
「あれがロベリアの本性よ。気に食わないことが起きると性格が変わって汚い言葉を平気で言い出すの」
そんな彼女を呆れたようにアイビーは見つめながら呟く。
いやいや、性格が変わるどころか豹変だろ、あれは……。
「お前が私を助けただと!? 笑わせるな! 私を救ってくれたのは邪神様だ! お前は邪神様に私の存在を教えて貰って封印を解いただけだろうが! それを恩着せがましく助けてやったなんて、どの口が言ってるんだ! そんなに助けて欲しいなら助けてやるわよ!」
そう言ってロベリアはパチン、と指を鳴らすと地面から蔓状触手が数本出現し、エルゾアの身体に絡みつく。
「な、何をするんだロベリア!? 離せ!」
抵抗を試みるエルゾアだが蔓状触手の力は思いのほか強く、そしてしっかりと絡みついているので振り解くことは出来ないようだ。
「言ったでしょ、助けてやると。ただし、2度と私にはナメた口を聞けないようにしてやるわよ!」
そしてロベリアは何処からか黒い種のようなものを取り出すと、嫌がるエルゾアの口の中へと強引に放り込む。
「うぐっ……!? 何だ……うがおああああぁぁぁぁぁぁっ!?」
すると、突然悲鳴を上げるエルゾアに異変が起きる始める。身体が激しく震え出し、嘔吐をする。
「な、何だ、ごれは……っ!? ロベリア、私に一体、何をした……!?」
「あっはははははは! いい気味ねエルゾア!」
徐々に異形の姿となるエルゾアを嘲笑うロベリア。
「アンタの望み通りにまた戦えるように身体を強化してあげてるだけよ。その代わり私に逆らえない忠実な下僕になって貰うけどね」
「そ、そんなこと、邪神様がお認めになるわけが……!」
「残念だけど、お前を好きに扱って良い許可は既に邪神様から頂いているわ。あの方にとってアンタはその程度の存在だったのよ」
「そ、そんな……!?」
自身が邪神にとって使い捨ての駒だったことに絶望しながらエルゾアは異形の姿へと成り変わってしまった。
10メートル近くまで巨大化した全身には緑の葉によって覆い茂ており、切断された両腕から蔓状触手が生えている。
「アアアアアアアア……」
もはや人としての自我すらなくなったのか、呻き声のようなものを発するエルゾア。
「ようやく大人しくなったわね。早くそいつらを倒しちゃいなさい」
「アアアアアアアア……」
ロベリアの指示にエルゾアは抵抗することなく従う。散々他者を傀儡のように扱っていた奴が傀儡になるとは哀れだな。
エルゾアは両腕の蔓状触手をまるで鞭のように振るいながら暴れ始める。
「仕方がない、相手をしてやるよ」
このまま暴れられては面倒なので、俺はレイヴェルを構える。
「待ってルイ!」
ユフィアの治療を終えたセレーナが俺を止める。
「あいつは両親の仇、だから私にも手伝わせて! 今度は油断しないから!」
「……援護を頼むぞ、セレーナ」
「任せてよ!」
俺とセレーナはエルゾアを相手に。
「ユフィア、この結界を今すぐ解いて。ロベリアはアタシが相手をするわ」
「分かりました。微力ながら私も手伝わせて貰います」
「ブルルゥッ!」
「クルルゥッ!」
そしてアイビーとユフィア達はロベリアの相手をすることになった。
「行くぞ!」




