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救世のルファディア  作者: yato
第2章 世界樹編
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世界樹②

 エルゾアがいる世界樹へと向かっている途中、俺達は魔物の群れに遭遇していた。しかも驚くべきことにそれぞれ種族がまったく違っていた。


  1つ目は子供程の大きさがある人の姿に似た特徴を持つ茸のような魔物だ。おそらく頭部と思われる傘の部分は不気味な薄紫色だ。数は40体程。


 2つ目は巨大な蛾のような魔物だ。紫色の羽根には外敵から身を守る為の手段なのか、複数の眼のような模様は見ていて気味が悪くなる。数は20匹程。


 最後は全身がまるで血のように赤く染まっている体毛に覆われている熊型の魔物だ。4メートルはある巨躯に鋭い牙、そして鉤爪のような爪が生えている両腕が異様に長い。数は1匹。


 名前:マタンゴ

 種族:植物種

 等級:D

 魔力:200

 状態:洗脳


 マタンゴ

 植物型の魔物。茸に大量の魔力が宿って自我に目覚めて動けるようになった。麻痺性のある胞子で獲物を痺れさせて体内に胞子を植え付けて繁殖させる。


 名前:ヴェノムモス

 種族:魔虫種

 等級:C

 魔力:1200

 状態:洗脳


 ヴェノムモス

 蛾型の魔物。猛毒を体内で生成した鱗粉に含ませて外敵に浴びさせることで撃退する。鱗粉は薬品の素材になる。


 名前:ブラッディベアー

 種族:魔獣種

 等級:B

 魔力:5000

 状態:洗脳


 ブラッディベアー

 熊型の魔物。全身が血のように赤く染まった毛皮を持ち、自ら進んで獲物を狙うほど好戦的な性格で非常に暴食。爪や毛皮や肉等は高値で売却出来る。


 本来は結界内で遭遇することはない魔物だが、おそらくエルゾアが捕獲させた魔物が繁殖でもしたのだろう。それにこいつらは普通の魔物ではなさそうだ。


 何故なら魔物達の身体にはエイクスュルニルと同じ目玉花が植え付けられていたからだ。おそらくエルゾアによって操られているのだろう。


 「ガアアアアァァァァァッ!!」


 周囲一帯へと響き渡るような雄叫びをブラッディベア上げながらこちらに突進してきた。


 『キノキノキノキノ……』


 『ジィジィジィジィ……』


 それに続いてマタンゴやヴェノムモスもこちらに迫ってくる。


 「やるしかないか。ユフィアとグラニとクルはマタンゴを、セレーナとアイビーはヴェノムモスを頼む。一番危険なブラッディベアは俺が仕留める!」


 「分かりました!」


 「ブルルゥッ!」


 「クルゥ!」


 「了解」


 「任せなさい!」


 俺の指示に従ってそれぞれ分かれて魔物の群れを討つことになった。


 相手はB等級の魔物だが熊型魔物と対峙するのは初めてではない。油断されしなければ大丈夫だ。


 「はあっ!」


 俺は迫ってくるブラッディベアに対してレイヴェルの突きを放つ。しかしその時には奴の鋭い爪が俺の顔面のすぐそこまで迫っていた。


 「--っ!?」


 俺は咄嗟に身を屈めてそれを避けた。奴との間合いはまだあった筈だ。


 「グルルルル……」


 俺を仕留め損ねたのが悔しいのか、ブラッディベアは長い両腕をだらりと垂らしながらこちらを睨んでくる。


 そうか、ブラッディベアの両腕は通常の熊よりも長い。それで奴との間合いを間違えたようだ。


 「今の一撃で俺を仕留められなかったのは惜しいな」


 だが、今のでブラッディベアとの間合いは完全に掴むことが出来た。次こそは奴を仕留める為に今度はこちらから攻撃を仕掛ける。


 「ガアアアアァァァァァッ!!」


 するとブラッディベアはその長い両腕を巧みに振るって仕留めようとするが間合いが分かっている俺には無意味だった。


 「はあっ!」


 俺はブラッディベアの攻撃を掻い潜りながら距離を詰め、無防備な奴に渾身の突きを放つ。


 「ガアアアアァァァァァッ!!」


 穂先が見事にブラッディベアの額を貫くと、苦痛に満ちた悲鳴を上げながらそのままその場に崩れて落ちた。


 それと同時にブラッディベアに植え付けられていた目玉花をみるみる枯れていき、そのまま朽ちてしまう。どうやら宿主が死ねば枯れてしまうようだな。


 さて、他のみんなはどんな状況だろうか。


 「ライトアロー」


 「ヒヒーン!」


 「クルルルゥゥゥ!」


 ユフィア達の方は順調にマタンゴを倒していた。


 マタンゴは数こそ多いがD等級の魔物であるからかそれほど強くはないようだ。


 動きはそこまで敏捷ではなく、相手を痺れさせて動けなくさせる胞子は少し厄介そうだがユフィア達なら胞子が届かない距離で魔法や風の刃等で攻撃をすることが出来るので苦戦することなかった。

 

 魔物ではあるが元は植物なので特にクルの放つ白炎は効果覿面のようでこんがりとした匂いが鼻腔をくすぐる。


 「ソーンバインド! 今よセレーナ!」


 「うん、任せて姉さん!」


 そしてセレーナとアイビーの方もヴェノムモスを苦戦することなく倒せているようだ。

 

 ヴェノムモスの鱗粉は猛毒があるので危険だが、この森で生まれ育っただけにこういう魔物を相手にするのはお手の物のようだ。


 ヴェノムモスの猛毒鱗粉を避けながらアイビーが魔法で動きを封じ込む。そこへセレーナが弓矢で射抜いていていき、それによりヴェノムモスは抵抗することすら出来ずに呆気なく仕留められていく。


 流石は長年連れ添ってきた姉妹。息ぴったりの連携で瞬く間にヴェノムモスを討伐してしまう。

 

 これなら俺が加勢する必要ななさそうだな。


 そしてそのまま数分もしないうちに魔物の群れは一網打尽にされた。


 「ふう、何とか倒せたよ」


 魔物の群れを殲滅し終えてセレーナは小さく息を吐く。どうやらあれほどの魔物との戦闘は初めてだったようだ。


 「あれほどの数と力を持つ魔物と一度に遭遇することになるとはな。やはり俺達の存在はエルゾアに知られているかもな」


 「ええ、それは間違いないわね。早く世界樹の元へ行きましょう」


 俺達は更に森の奥へと進むと霧が見えてきた。どうやらあれがエルシュさんが言っていた道を惑わす霧のようだな。


 俺はエルシュさんから預かっていた導きのカンテラを空間収納から取り出し、念の為に互いの身体をロープで繋いで、霧の中に入ることにした。


 すると導きのカンテラは何もしていないのにひとりでに火が灯り出した。


 そして導きのカンテラを左右に動かしてみると、火が大きくなったり小さくなったりと変化するのに気がついた。


 なるほど、この火の変化を見て進めば良いということか。


 俺達は導きのカンテラを頼りに霧の中へと進む。流石に霧の力なのか魔物と遭遇することなかった。


 霧を抜けた俺達はようやく目的地へと辿り着くことが出来た。


 そこは太陽の光が差し込む小さな草原だった。まさしく聖域と呼ぶに相応しい雰囲気がある。


 「あれが世界樹……」


 そしてそんな場所の中心には一本の巨大な樹が生えていた。いや、超巨大な樹と言ったほうが良いだろう。


 高さは100メートルを優に超えているほどの高さで、それ故にその幹もかなり太い。遠くでもかなりの存在感だったが、これ程近くまで見るとより圧倒的に感じる。


 「そんな、どうして……」


 そんな中、アイビーだけは世界樹を見て愕然とした表情を浮かべている。


 「世界樹が……枯れかけているわ……!」

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