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救世のルファディア  作者: yato
第2章 世界樹編
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エルフの里①

老木の住処で一晩を過ごした俺達はアイビーとの約束通りここから出ていくことにした。


 「……もう行くんだね」


 何処から寂しそうな表情を浮かべながらセレーナは呟いた。とくにユフィアとはだいぶ仲良くなったからな、別れが辛いのだろう。


 「世話になったな。元気でな」


 「セレーナさん、ララさんお元気で」


 「ブルルゥ」


 「クルルゥ」


 名残惜しく思いながらも俺達はセレーナ達と別れた。


 「それでルイ様、これからどうするんですか?」


 「エルフの里に向かおうと思う。エルフ族なら人間族を攫っている黒幕のことを知っているかもしれないしな」


 これは危険かもしれないが、現在の状況ではこれしか出来ない。万が一の時はユフィア達だけでも逃すつもりだ。


 --警告。複数の敵意を周囲から感じられます。


 「--ッ! みんな警戒しろ!」


 危機感知が発動し、俺達は歩みを止めて戦闘大勢に入る。この警告から察すると相手は魔物ではなさそうだ。


 「人間族か」


 声が聞こえる方へ視線を向けると、そこには緑の軽装鎧を纏った男が樹の枝の上に佇んでいた。


 セレーナと同じ容姿端麗で翡翠色の髪と瞳、長い耳、間違いなくエルフ族だ。しかも俺達を囲むように複数のエルフ族がいる。おそらく10人ほどはいるだろう。


 状況から考えて話しかけて来たエルフの男がリーダー格のようだ。


 エルフ達からは嫌悪や憎悪、敵意に殺意などあらゆる負の感情がひしひしと降り注ぐ。


 「俺達は薬草採取のためにこの森に入ったんだが道に迷ってしまったんだ。貴方達に危害を加えるつまりは毛頭ない」


 「黙れ人間族!!」


 念の為にこちらに敵意がないことをエルフ達に告げるも、エルフ達は警戒を解くどころか寧ろ強くなる。


 「ここは我らエルフ族の住む森。そこに穢れた人間共が足を踏み入れるだけでも虫唾が走る!」


 人間族だけというだけで話をまともに聞こうとしたないリーダーエルフ。なるほど、エルフ族はここほどまで人間族を毛嫌いしているということか。これなら人間族を襲うのも無理はないな。


 「この森に足を踏み入れた時点で貴様らは罪人だ! その罪は死を持って償って貰うぞ!」


 そう言うとエルフ達は弓を構えて矢をこちらに向ける。


 「総員! 放て!」


 リーダーエルフの声と同時に四方八方から一斉に矢が放たれる。


 「聖護結界!」


 しかし放たれた矢はユフィアが作り出した結界によって防がれる。


 「何!?」


 一斉に放たれた矢を意図も容易く防がれて、一瞬動揺するリーダーエルフ。


 「マナバレット!」


 俺はその隙を見逃さずにすぐさま魔力弾を放つ。狙うはリーダーエルフ--が立っている樹の枝だ。


 「--ッ!?」


 安定した足場を失ったリーダーエルフはそのまま地面へと落下。辛うじて受け身をとっていたようなので大丈夫そうだ。


 「ブルルゥッ!!」


 それに続いてグラニも風の刃を周囲のエルフ達が立っている樹の枝を切り裂くと、次々とエルフ達は地面に落ちることになる。中には受け身が取れずに骨折しているエルフもいたが命に別状はないようだ。


 「くそ、人間風情があああ!!」


 怒声を上げながら、唯一軽傷で済んだリーダーエルフが隠し持っていた短剣で俺に襲い掛かる。


 しかし、ダメージのせいで動きが多少ぎこちない。


 「はあっ!」


 俺はあっさりとリーダーエルフの攻撃を避けると、そのガラ空きな胴体に目掛けてレイヴェルの柄を叩き込む。


 「がっ!?」


 メキッ、という音を立てるのと同時にリーダーエルフの身体が吹っ飛ぶ。軽装鎧越しとは言え今の一撃で肋骨が折れたのだろう、蹲って動こうとしない。


 今の一撃で仕留めることは可能だったが、こいつらには必要な情報を知っている可能性がある。だからこうして生け捕りにする必要があった。


 「さて、それでは俺の質問に答えて貰おうかな」


 俺は蹲っているリーダーエルフに近づく。


 「ルイ、何してるの……?」


 聞き覚えのある声に振り向くと、そこにはセレーナがいた。その後ろにはアイビーもいる。


 「どうして2人がここに?」


 「セレーナがどうしても森の入り口まで案内したいって聞かなくてね。だからアンタ達を追ってきたんだけど、まさか早速里の連中と揉め事を起こしているなんて思わなかったわ」


 どちらかと言うと向こうから一方的に襲われたんだけどな。


 「貴様は……あの裏切り者の娘か!?」


 セレーナの姿を見たリーダーエルフが怒りに満ちた表情を浮かべながら睨みつける。


 だが、すぐにその表情は不気味な笑みへと変えると、視線をこちらに向けてくる。


 「我々程度を退いた程度で良い気にならないことだな、人間。我らには偉大な先導者でるエルゾア様がおられる。あのお方にかかれば貴様らなんぞ根絶やしにされるだろう!」


 そしてその視線は再度セレーナへと向けられる。


 「そして裏切り者の娘である貴様も父親と同じ目に遭うことになるだろう! ははははははははははははっ……うぐぅっ!?」


 リーダーエルフはまるで狂ったように笑い出すと、突然苦しみ始める。それは他のエルフ達も同様で白目を剥き、口から泡を吹きながらそのまま絶命してしまった。


 おそらく必要な情報を吐かないために自らの命を絶ったということか。

 

 だが、それは無意味なことだったな。


 エルゾア。それがこいつらを先導している者の名前。そしてその名前を俺は聞いた事があった。


 リスティング神聖国の聖騎士長でありながら邪神に忠誠を誓って使徒となったデュークが口にした他の使徒の名前の中にエルゾアという名前があった。


 間違いなく邪神の使徒がこの森に--エルフの里にいる!


 「エルフの里に行くぞ。間違いなく奴らは黒だ」


 もはや疑いようのない確信を得た俺はもう止められない。


 「待って!」


 俺達はエルフ達の後を追いかけようとすると、セレーナに呼び止められた。


 「お願い! 私も里に連れて行って!」


 「ちょっとセレーナ、アンタ何を言ってるのよ!?」


 セレーナの突然の言動にアイビーが驚いた表情を浮かべる。


 「里の人達はお父さんのことを知っているような口ぶりだった! きっと何か知っているんだよ!」


 「アンタは里の連中から命を狙われているのよ! あそこに行けばどうなるか分かるでしょう!」


 「分かってるよ姉さん! でも、お父さんの手がかりが見つかるかもしれないのにじっとしていられないよ!」


 「セレーナ……」


 いつもアイビーの言うことを素直に聞いて来たセレーナがここまで食い下がるのがララには余程応えているようだ。


 「……分かったわ、アタシも行くわ」


 強い決意を持つセレーナに説得は出来ないと悟ったのか、アイビーは諦めた表情を浮かべながら小さく頷いた。


 「ありがとう姉さん!」


 「ほらアンタ達、さっさと行くわよ。エルフの里へ」


 こうして俺達はエルフの里に向かうのだった。

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