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救世のルファディア  作者: yato
第2章 世界樹編
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姉妹①

 セレーナ案内されて俺達は森の奥へと進んでいく。


 流石はエルフ族と言うべきか、あれ程難航していたエルフィリオ大森林を迷うことなく進むことが出来た。


 幸いセレーナの虫系の魔物除け薬品のお陰で魔物を遭遇することはなかった。


 セレーナの住処に行くまでの途中、彼女と色々と話してくれた。


 彼女はとある理由があって、エルフの里から離れた場所で姉と2人暮らしをしているそうだ。


 「見えたよ。あれが私の住処」


そして到着したのは大きく捻れた老木だった。その中央は樹洞になっているようだ。


 「あの、少しだけここで待ってて? 私の姉さんはその、他人にはちょっとキツくて……」


 どうやらセレーナのお姉さんは相当気難しいそうな人のようだ。


 「姉さんにみんなのことを説明して来るから」


 そう言ってセレーナは樹洞の中へと行ってしまった。


 それにしても凄いなこの老木は。他の樹々と違って相当な年月から生えているのだろう。かなり大きいし頑丈そうだ。これなら多少の攻撃程度ならびくともしないな。


 それに魔物の虫除けとして調合した薬品と同じ香りがする。恐らくこの老木の素材を使用しているのだろう。


 住処にするにはもってこいの場所だな。


 「アンタ達だれ?」


 声がした方に振り向くとそこには1人の女の子が前に立っていた。


 背は低く、幼い子供のような外見をしているのだが何処か落ち着いていて大人びた表情をしている。桃色の長髪に花や蔓が身体に巻き付いた優雅なデザインのフリルが風になびいている。


 「まさか人間族……さてはあの子を誘拐しに来たのね!」


 俺達が人間族であるとわかるや否や少女の表情が一変、まるで怒憎を抱いるかのようにこちらを睨んでくる。


 「リーフショット」


 突如魔法陣が出現、そこから複数の鋭利葉が俺達に放たれる。


 「--ッ!?」


 俺はすぐさまレイヴェルで鋭利葉を振り払う。切断された鋭利葉は魔力の粒子となって消えてしまう。


 「ちょっと待ってくれ! 俺達は……」


 「人間族の言葉なんて聞く必要は無いわ。ウッドアーム」


 そして今度は樹木で創られた巨大な腕が現れた、握られた拳を振り下ろしてくる。


 「させません!」


 それに対して今度はユフィアが対処する。彼女の聖護結界によって樹木腕は防がれる。


 「へえ、人間族にしてはなかなかやるじゃないでもこれならどうかしら? ウッズタイタン」


 三度魔法を発動する少女。そして魔法陣から現れたのは5メートルは超える巨体は濃い緑色の蔓草で形成されている人型の存在--植物の巨人だ。


 --ルイ様、この巨人です!


 --こいつか……。


 ユフィアに念話で話されて緊張が走る。彼女が未来予知で見た植物の巨人をようやく発見したのだ。


 だとすると夢で見た謎の人物はこの少女なのだろうか? それに見ず知らずの人間にここまで敵意を向けてくるのは異常だ。


 「命が惜しければさっさと失せなさい」


 どうやら向こうも引く気はないようだな。仕方がない、ここは戦うしかないか……。


 この少女が黒幕なのかそうでは無いのかは分からない。だからまずこの状況を打破することだけを考えよう。話はその後だ。


 俺達は気持ちを切り替えて戦闘体制に入る。そして一触即発の状態になったその時だった。


 「みんな、やめて!」


 そんな俺達に割って入って来たのはセレーナだった。


 「退きなさいセレーナ! こいつらは人間属性なのよ!」


 「この人達は大丈夫だよ、姉さん!」


 この少女がセレーナのお姉さん? でもエルフ族特有の長い耳ではない。どういうことだ?


 その理由は少女のステータスを見てすぐに理解することが出来た。


 名前:アイビー

 種族:精霊族(木精霊)

 適性:森属性

 魔力:100000

 魔法: リーフショット(小)・ソーンバインド(中)・ウッドアーム(中)・ウッズタイタン(大)

 加護:なし


 「精霊族?」


 俺の呟きに少女の眉が吊り上がる。


 「どうしてアタシが精霊族だと分かったの? やっぱり不気味な奴ね……」


 「姉さん、この人達はトレントの群れから私を助けてくれた恩人なんだからそう睨まないでよ!」


 「トレント? もしかしてトレント生息地に行ったんじゃないでしょうね!? あれ程行くなと言っておいたのにアンタは!」


 「ひぃ、ごめんなさい!」


 姉と言うよりは母親みたいだな。完全に親子関係のように思えてしまう。


 「でもこの人達は本当に良い人なの。私を信じてよ姉さん」


 「……分かったわよ」


 セレーナの説得に渋々と言った様子で納得した表情をする少女--アイビー。そしてパチンと指を鳴らすと彼女が召喚した植物の巨人が瞬く間に消えてしまった。


 「セレーナがそこまで言うのなら仕方がないわね。でも、もし変なことをしようとすれば容赦はしないわよ」


 アイビーはそう警告すると、そのまま樹洞の中へと行ってしまった。


 「せっかちな姉でごめんね。ささ、中へどうぞ」


 そう言ってセレーナもアイビーの後を追うように行ってしまう。


 「……ルイ様」


 「取り敢えずここは様子を見よう」


 今のところあのアイビーという精霊族には戦闘の意思は無いようだ。恐らく警戒はあるかもしれないが、危機感知が発動する程ではないようだ。


 「狭いところですがゆっくりして下さい」


 樹洞の中を見渡すと必要最低限の物しか置いていない。いわゆるミニマリストというものかな。


 「さあ、助けてくれたお礼だよ。遠慮なく食べてね」


 そう言って出してくれたのは3種類の果物だった。


 1つ目は赤色のバナナ。皮を剥いてみると身を赤い。でも食べてみると普通のバナナよりも甘味がとても強く、もちもちとした弾力が特徴だ。


 2つ目は水色のアケビのような果物。ゼリーのようなねっとりとした食感と優しい甘味が特徴だ。


 3つ目は白いパパイヤ。完熟した濃厚な甘さと香り、滑らかでとろけるような食感は他の果物にはない。


 「どれも美味しいな」


 「当然よ、私が丹精こめて育てた果物なんだから。不味いわけがないわ」


 俺の言葉にアイビーはふふん、と自慢げな表情を浮かべる。


 うーん、このままドヤ顔をされたままなのは非常に面白くない。


 「だったらこっちもお礼をしないとな」


 俺は空間収納からある物を取り出した。


 「何ですか、これは?」


 「見たことないわね」


 初めて見たのか、物珍しそうにメロンを見つめているセレーナとアイビー。


 「これはメロンだ。とても美味しいぞ」


 俺は取り出したメロンを食べやすいようにナイフで切り分ける。アイビーが育てた果物にも負けない甘く芳醇な香りが鼻腔をくすぐる。


 ちなみにこのメロンは以前ゴールン商会を訪れた際にガンドさんが手土産にと持たせてくれた物だ。とても美味いとされ、値段はなんと100000リルはする代物だそうだ。


 あまりにも高級だったのでいつ食べようと思っていたのだが、ここはアイビーの度肝を抜かしてみたい。


 「見た目は良くても味が悪ければ関係ないわ」


 自分が育てた果物に勝るとは思っていないアイビーは切り分けたメロンを一口食べる。そして目を見開き、無言となる。


 「うわー! とても美味しい!」


 続けてメロンを食べたセレーナは正直に感想を述べる。


 「ふ、ふん! まあまあな味ね!」


 するとセレーナの反応に我に返ったアイビーは悔しそうにしながらもしっかりとメロンは食べている。ツンデレかよ。


 だが、アイビーの驚いた表情を見ていると胸がスカッとする。


 よし、俺も食べるぞ。


 俺もメロンを一口食べる。白い果肉は食べた瞬間、瑞々しい食感と上品な甘さと風味口いっぱいに広がる。


 流石は100000リルはすると言う最強 高級メロン。期待を裏切らない味だな。


 こうして俺達は互いに出したフルーツを堪能した。

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