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救世のルファディア  作者: yato
第2章 世界樹編
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エルフィリオ大森林③

 エルフィリオ大森林の探索を始めて半日ほど経過しただろうか。俺達は植物の巨人どころかその痕跡すら見つけることが出来ないでいた。


 遭遇するのは巨大蜘蛛や巨大芋虫等の虫型魔物ばかりだった。


 それにこの森は広すぎるだけではなく、まるで迷路のように複雑に入り組んでいる。しかもこの森はどうやら特殊のようで、時間が経過す毎に内部の構造が変化しているのでマッピングの仕様がない。


 「ルイ様、どうやら同じところを通っているようです」


 「どうしてそう思う?」


 「あそこを見てください」


 ユフィアが指差す方に視線を向けると、そこには一部焦げ跡のある木があった。


 あれは確かクルがつけたものだ。


 大量の小型蟻の魔物が出現してクルが白炎を放って殲滅させた際に燃え移ったのだ。


 慌てて火を消したから良かったが、下手をすれば森全体に白炎が燃え移るのではないかと肝を冷やしたものだ。


 しかし困ったものだ。こうも方向が分からないとなると無駄に歩き回っているだけで何の進展もない。


 「さて、どうしたものか……」


 探索の難航に頭を悩ませていると、それは聞こえた。


 「きゃああああああああっ!?」


 突然聞こえた悲鳴。


 「人の悲鳴です!」


 「ああ、行くぞ!」


 俺達は声のする方角に急いで駆け出した。


 背の高い草むらを掻き分けて進んでいると、ようやく声の主を発見した。


 「近づかないで!」

 

 どうやら声の正体はエルフ族の少女のものだったようだ。


 年齢は俺と同じくらいだろう。整った顔立ちに翡翠色の瞳とツインテールにした髪、女性にしては高い身長で170センチ近くはあり、とても細身だが出ているところはしっかり出ているモデルのような体型。そして何より長く尖っている耳が彼女がエルフ族であると確信させた。


 そんなエルフ少女を囲んでいるのが6体程の樹木のような姿をした魔物達だった。樹の幹に顔のようなものがあり、うねうねと動いている根を使って移動をしているようだ。


 名前:トレント

 種族:植物種

 等級:D

 魔力:1800


 トレント

 植物型の魔物。樹木に魔力が宿ることで自我に目覚めて動けるようになった。葉っぱは薬品に、枝は杖に加工することが出来る。


 そしてそのトレントの群れの中に一体だけ別の魔物が混ざっていた。


 一言で表すなら人型の樹と言えば分かりやすいだろう。全身が樹なので左右非対称の歪な形状だがそれでも人の形に非常に近い。しかもトレントの倍以上に大きい。


 名前:エルダートレント

 種族:植物種

 等級:C

 魔力:3000


 エルダートレント

 植物型の魔物。トレントが長い年月をかけて進化した存在。侵入者には容赦なく襲いかかる。濃厚な魔力を宿した葉っぱは上級薬品に、枝は強力な杖に加工することが出来る。


 どうやらあいつがトレント達の親玉らしい。


 「人の姿をした植物の魔物……あいつか?」


 俺が尋ねると、ユフィアは小さく首を横に振るう。


 「あれは私が見た植物の巨人ではありません」


 どうやら違うみたいだ。


 「こ、来ないで!」


 エルフ少女は装備している弓を構えてエルダートレントへと矢を放つがその程度では致命傷になるはずもなく、虚しく刺さるだけだった。


 しかし流石に見てみぬふりは出来ないよな。それにエルフ族ならこの森に詳しいはず。もしかしたら植物の巨人について何か知っているかもしれない。


 「あのエルフ少女を助けるぞ」


 そう言って俺達はエルフ少女を助ける為にトレントの群れへと突っ込む。


 「ヒヒィーンッ!」


 高く鳴き、複数の風の刃を放ちながらトレントを牽制するグラニ。


 突然の奇襲にトレントは対応出来るはずもなく、グラニの風の刃によって樹の表面が削れて行く。


 そしてグラニ強力な後ろ蹴りが炸裂。1体目のトレントの身体はバキバキと音を立てながらへし折られ、軽々と吹き飛ばされてそのまま動かなくなってしまう。


 見事に先制攻撃が成功し、トレント達は動揺した様子を見せるその隙に2体目のトレントを仕留める。


 するとエルダートレントは落ち着きを取り戻したのか、その巨腕を振り下ろしてくる。


 「はあっ!」


 俺はその一撃を横へと回避してレイヴェルを振るってその巨腕を両断する。通常の樹とは比べ物にならないほどの頑丈さだったが、オリハルコン製のレイヴェルにとってまるでバターを切り裂くかのように容易く両断出来た。


 腕を切断されてまるで苦しそうにエルダータレントの表情が歪んだ。そして俺には敵わないと判断したのかエルダートレントはその場から逃走を図った。


 「逃さないぞ。マナチェーン」


 高値で売れるエルダートレントは是が非でも討ち取り素材は回収したい。


 俺は魔力で形成された鎖でエルダートレントを拘束し、動きを止めた隙にレイヴェルを振い、縦方向に真っ二つへと両断してその生命を終わらせる。


 残りのトレントは逃げてしまったが、エルダートレントとトレント2体も討伐出来たので十分だろう。


 「大丈夫か?」


 エルダートレントを回収し終えると、俺は呆然としているエルフ少女に話しかける。


 声をかけられてはっ、と我に返るとエルフ少女は深々と頭を下げて来た。


 「あの、助けてくれてありがとう! 私はセレーナ」


 名前:セレーナ

 種族:エルフ族

 適性:風属性

 魔力:10000

 魔法: ウィンドボール(小)・ウィンドアロー(小)・ウィンドプレス(中)・エアレイド(中)

 加護:万能調薬


 万能調薬

 素材があれば瞬時に薬を調合することが出来る。


 やはりエルフ族で間違いないようだ。


 「俺は冒険者のルイ。そしてこっちがユフィアと従魔のグラニとクルだ。俺達は薬草採取をしにこの森を訪れたんだ」


 「冒険者ですか!?」


 俺が冒険者だと知るとセレーナの目の色が変わった。まるで憧憬の念を抱いているようなキラキラとした瞳だ。


 すると騒ぎを聞きつけてきたのか、ハンターフライの群れがこちらに近づいて来ていた。


 俺達は再び戦闘体制に入ると、セレーナが前に出る。その手には容器が握られている。


 「ここは私に任せて!」


 そう言ってセレーナは容器の蓋を開けるとまるで柑橘系を思わせる匂いが香ってくる。


 するとハンターフライの様子に変化が起きた。あれ程気性が荒いハンターフライが瞬く間に逃げて行ったのだ。


 「この容器の中には虫が嫌う匂いを放つ調合薬が入っているの。並大抵の虫魔物なら退けることが出来るよ」


 なるほど、虫除け効果があるということか。虫系の魔物が多いこの森に対してかなり使える代物だ。


 「あの、ここは危険なので私の住処に行かない? この調合薬は虫系の魔物には有効だけど植物系の魔物には効果がないから」


 確かにこんな魔物だらけの場所でゆっくり話は出来そうにないな。家がある場所なら危険は少ないだろう。


 「分かった。連れて行ってくれ」


 「うん、じゃあついて来て」


 俺達はセレーナに誘われるがまま後をついて行くのだった。

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