新たな従魔②
メルマの森へと到着した俺達は目的のスライムを探していた。
アリスさんによるとこの森は比較的に弱い魔物しか生息しておらず低等級冒険者が訓練や薬草採取を目的に訪れる場所のようだ。
森としては範囲が狭いので迷うことなく進むことが出来た。
「お、早速見つけだぞ」
幸いスライムはすぐに発見した。眼前には2体の青いゼリー状の姿をした魔物がぶるぶると蠢いている。
名前:スライム
種族:粘液種
等級:F
魔力:10
スライム
軟体型の魔物。世界で1番弱いとされている。雑食性で何でも吸収することが出来る。体液は薬品や料理等に使える。
目的のスライムで間違いないようだな。どうやら食事? でもしているのか何やら薬草のような物を吸収している様子だ。
「なるほど、確かに迷惑な魔物だな」
「私に任せて下さい」
そう言ってユフィアが先陣を切る。
「ライトアロー」
マジックスタッフをスライムに向けて魔法を発動。瞬く間に魔法陣が出現した光の矢が放たれてスライムを貫通した。
やはりマジックスタッフのお陰で魔法の発動時間が短縮されているようだ。これなら今後の戦闘でも大いに役立つだろう。
すると、もう 1体のスライムがユフィアに目掛けて突進してきた。と言っても動きは遅いので簡単に対処は出来る。
「えい!」
そんなスライムに対してユフィアはマジックスタッフを振り下ろすとスライムはぽよんぽよんと転がりながら吹っ飛んでいき、そのまま動かなくなった。
「やりましたよルイ様!」
「上出来だぞユフィア」
「ありがとうございます!」
思わずユフィアの頭を撫でてしまったが笑顔で喜んでいるので良しとしよう。
そうこうしていう内に新たなスライムが現れた。
「よし、今度は俺が仕留めよう」
新しく覚えた魔法の実演だ!
「マナバレット」
魔法を発動すると手に込められた魔力が一点へと弾かれた。
まさに弾丸と思わせるほどの速度で放たれた魔力の弾は見事にスライムへと命中し、一撃で葬った。
威力はなかなかなもののようだ。それに飛距離もある。これなら遠距離攻撃として使えるな。
俺は倒したスライム達の回収をする。確か討伐部位は体内にある小石程度の魔石だったはずだ。
しかし、ぶよぶよとしたスライムの身体を触るのは流石に嫌悪感があるのでそのまま空間収納に送っておく。
「よーし、この調子でどんどんスライムを討伐するぞ」
「はい、ルイ様」
「ブルルゥッ!」
こうして俺達はスライムを次々と討伐して行った。
大量発生は本当だったようで30体は討伐することが出来た。 1体につき1000リルなので合計で30000リルにはなるはずだ。
「さて、これだけ討伐すればもう十分だろう。オルフィンに戻ろう」
そう言ってオルフィンへと帰還しようとしたその時だった。
「ルイ様、あれは何でしょうか?」
ユフィアが何かを見つけたようで、視線の先にある木の根元に何がいた。
「魔物か?」
倒れていたのは手になんとか乗るくらいの大きさの真っ白で小動物のような魔物だった。
その外見は栗鼠と兎を足して2で割ったような姿で、とても愛嬌がある。そして何よりも特徴的なのは額に付いている白い宝石だろう。かなりの魔力が感じられる。
「わあ、可愛いです。もしかしてこの子はカーバンクルではないでしょうか?」
「カーバンクル?」
「遥か昔、女神様から寵愛を受けたとされる【幸運の霊獣】と言われている魔物です。けれどカーバンクルの額には赤い宝石が埋め込まれているはずなのですが……」
「ちょっとステータスを見てみよう」
俺は鑑定慧眼を発動して、カーバンクルを見てみる。
名前:カーバンクル(希少)
種族:魔獣種
等級:A
魔力:10000
状態:毒
カーバンクル
栗鼠の魔物。【幸運の霊獣】と呼ばれており、額の宝石は高い魔力を宿し、そこから炎を放つことが出来る為マジックアイテムの素材として高値で取引される。
「どうやらカーバンクルで間違いないようだ。しかもこいつは希少種だな」
それにしてもこのカーバンクルが持つ魔力は凄いな。元々魔力の量が多い魔物だし、しかも希少種だからか並大抵の魔法使いの比ではないな。
「クルルゥ……」
「この子、何だか弱っているようですね」
ぐったりとした様子のカーバンクルに心配した表情浮かべるユフィア。確かに様子が少し変だな。
ステータスの状態を見ているとどうやら毒状態のようだ。よく見ると怪我もしている。おそらく魔物か何かに襲われて重傷を負ってしまったのだろう。
「ルイ様、このカーバンクルを治療してもよろしいでしょうか?」
「構わないよ。助けてあげよう」
「ありがとうございます。ピュリフィケーション……エクスヒール」
ユフィアはまずカーバンクルの体内にあると思われる毒を浄化し、その後回復系の魔法をかける。
「クルルゥ……?」
するとカーバンクルの傷は癒えていき、落ち着いた様子を見せ始める。
「これで治療は終わりです。もう大丈夫ですよ」
「クルルゥ!」
完全に回復したカーバンクルは元気になったようだ。
「クルルゥーー!?」
しかし弱っている時は意識が朦朧としていて気づいていない様子のカーバンクルだったが、いざ元気になった途端に俺達を認識したのか驚いた鳴き声を上げながらまさに脱兎の如く逃げ去ってしまった。
「もの凄い勢いで逃げたな……」
「カーバンクルは本来臆病な性格だと言われていますので仕方がありませんよ」
まあ、あれだけ元気ならもう心配はいらないだろう。
「さあ、そろそろ帰るとしよう」
そう言って俺達はその場を後にするのだった。




