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救世のルファディア  作者: yato
第2章 世界樹編
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ゴールン商会②

ゴールン商会はオルフィンの北側にあるようで、場所はアリスさんに道を教えて貰ったので迷うことなく行くことが出来た。


 「……凄いなこれは」


 到着したゴールン商会の建物は俺の予想を超えていた。それは豪邸とかではなく、まるでショッピングモールを思わせる外見だった。


 流石は世界各地に支店を置くとされる大商会と言われるだけあって、規模が普通の商会とは規格外過ぎるな。


 「いらっしゃいませ」


 早速店内に入ると、数人の従業員が丁寧に出迎えてくれる。接客の対応も行き届いているな。


 ちなみにグラニとクルアは魔物なので入ることは出来ないが、係りの人に丁重に扱って貰っているので問題はない。


 「ゴールン商会にお越し下さいましてありがとうございます」


 さらに従業員の中にはリリラさんもいた。


 盗賊のアジトから無事に戻って来たばかりだと言うのにもう仕事をしているのか。商人魂半端ないな。


 「父がお待ちしております。どうぞこちらへ」


 リリラさんに応接室に案内される。見るからに高そうなソファーにガンドさんが座っていた。


 「よくぞお越し下さいました。ささ、どうぞ座って下さい」


 ガンドさんに言われて俺達は反対側のソファーに座ると、それと同時に従業員の人が飲み物の入ったカップを持ってくる。中にはコーヒーが入っているようだ。


 この世界ではコーヒーは貴重な代物だ。それを出してくれるなんて余程信頼を得ることが出来たと言うことかな。


 うん、久しぶりに飲むコーヒーは格別に美味い。地球にいた頃はよく飲んでいたので嬉しい限りだ。


 「早速で悪いのですが、今回ザギィー討伐の際に手に入れた装飾品等をゴールン商会で買い取ってくれませんか? 冒険者ギルドではこういう類の物は売れないので」


 「ええ、勿論構いませんよ」


 了承を得て、俺は空間収納からザギィーが集めていたお宝の数々を出す。


 「おお、これは凄いですな! それでは査定させて頂きます」


 あまりの量に目を丸くしているガンドさん。すぐに査定に取り掛かり始める。


 どうやら査定はガンドさんがするそうだ。その理由は彼が持つ道具鑑定の加護だ。これにより早くて正確な鑑定をすることが可能のようだ。


 1時間程経過したところで査定が終わった。何と70000000リルで売れた! 冒険者ギルドで貰った金額と合わせると78100000リルになったぞ!


 たった 1日だけでこれ程の大金を手に入れることになるとは、盗賊退治はなかなか金になるようだな。


 俺はガンドさんから売却金を受け取ると、以前から欲しかった代物がないか聞くことにする。


 「米、ですか?」


 「そう、米です」


 米。それは俺の故郷である日本の主食だ。


 この世界に来て暫く経つが一度も食べれていなかった。オルフィンにある店に聞いても無いと言われて諦めていたが、世界各地に支店を置くゴールン商会にならあるかも知れないと思ったのだ。


 「確かにうちの商会でも米は扱っています。けれど米は大陸の東方にあるごく少数の地域にしか採れない物ですので少々値は張りますよ?」


 「構いません! 俺はどうしても米が食べたいんです!」


 俺の熱意にガンドさんが若干戸惑っている様子だが構うもんか。これは理屈では説明し難い欲求なんだ。


 「……分かりました。娘を助けて下さったお礼です。今ある米を全て貴方に差し上げましょう」


 「ありがとうございます!」


 こうして俺はガンドさんから数ヶ月分の米を譲って貰う事になった。


 そして今後米が欲しくなったら優先的に売ってくれることも約束してくれた。流石は大商会の会長、太っ腹な人物だ。


 これでこの世界での米問題は無事に解決だ。今日の夕飯は白米が食べられるぞ!



 ◆◆



 「女将さん、ただいま戻りました」


 ゴールン商会を後にした俺達は宿屋の風見鶏亭へと訪れると、女将さんが出迎えてくれた。


 「おや、ルイじゃないか!? 今回は長旅だったようだねえ! おや、その娘は?」


 「ルイ様と行動を共にすることになりました、ユフィアです」


 ユフィアに簡単な挨拶をさせる。ちなみに彼女には苗字は名乗らせないようにした。彼女がリスティング神聖国の王族であると言うことを極力知られないようにする為だ。


 勿論、ユフィアの素性を知っている冒険者ギルドの人達にも箝口されている。


 さて、自己紹介も済んだことだし、早速本題を話そう。


 「女将さんにお願いがあるんですが、今日の夕飯はこれを使って下さい。勿論、女将さんにも差し上げますので」


 俺はゴールン商会から頂いた米を女将さんに渡す。すると彼女は驚いた表情を浮かべる。


 「これは米じゃないか!? こんな高価で珍しい物をよく手に入れられたもんだね!」


 やはり一般的に米はなかなかお目にかかれない代物のようだな。


 「よし分かった! 今日の夕飯は腕によりをかけて作らせて貰うよ!」


 そう言って女将さんは厨房の方へ行ってしまう。これは楽しみだな。


 それから1時間程して、女将さんが料理を持って来てくれた。


 メニューはほかほかに炊けたご飯、野菜の入ったスープ、そして焼き魚だ。


 俺はゴクリと唾を飲み込むと机に置かれたフォークを手にする。本当は箸が良かったのだが仕方がない。


 そして念願のご飯を口にする。


 「う、美味い……」


 地球にいた頃に食べた米とは違い茶色がかってボソボソとしているが、それでもこうして米を食べられるのは嬉しい限りだ。


 あまりの嬉しさにご飯だけをそのまま平らげてしまい、女将さんにお代わりを頼む。


 その間に一口サイズに切られた人参や芋が入ってる茶色スープへと視線を向ける。もしかしてこれは……。


 俺はスープをスプーンで掬い上げて口に運ぶと、そこには懐かしい味がした。


 「……味噌だ」


 そう、このスープはまさしく味噌汁なのだ。少し味が薄いが間違いない。


 俺はご飯のおかわりを持って来てくれた女将さんにスープについて聞いてみると、やはり味噌が使われていた。


 どうやら味噌も東方地方の辺境で作られており、米以上に高価な代物らしい。


 以前東方出身の冒険者から宿代代わりに貰ったのを今回は使ってくれたらしい。ありがとうございます、女将さん!


 そして最後に焼き魚。程よい焼き加減の秋刀魚に似た魚に味付けは塩のみと言うシンプルな調理だがご飯と味噌汁にとても合う。


 まさかの和風料理に俺は感動しながら夕食を楽しむのだった。

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