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救世のルファディア  作者: yato
第1章 異世界編
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異世界ルファディア③

 「助けてくれたのに本当にごめんなさい!」


 少女が申し訳なさそうに頭を何度も下げながら謝罪する。あの後何とか大泣きする少女を宥めるのにとても苦労した。


 まあ、目の前で魔物の群れを殲滅させられるのを見せられた挙句に返り血まみれの俺が話しかければそう反応するよな……。


 「気にしなくて良いよ。流石に俺も悪かったから」


 現在俺と少女(名前はミア)は森の外に向けて歩みを進めていた。


 ミアに事情を聞いてみると薬草採取の為に森に入っているとハイゴブリンが率いる群れに襲われ、必死で逃げている最中に俺と遭遇したようだ。


 この森にはゴブリン等と言った低等級魔物が僅かだが生息しているようで、このままミアを放っておくわけにはいかないと判断した俺はこうして村まで送っているわけだ。


 森を歩いて数十分程、ミアの案内でようやく森を抜けることができると、目の前に広がるのは草原だった。


 「あれが私の住む村です!」


 ミアが指差す方向には村のようなものが見える。周囲を柵で覆われた小規模の村だ。柵はおそらく魔物対策で作られているのだろう。


 「ん? 何だか騒がしいな?」


 俺とミアが村に到着すると、必死な形相をして何かを探し回っている男性を見つける。


 「あ、お父さん」


 ミアがそう言うと、男は俺たちに気がついたようで、全力で駆け寄ってくるとミアを抱きしめる。


 この人がミアの父親のようだ。


 「何処に行っていたんだミア! 心配したんだぞ!」


 「もう、やめてよお父さん!」


 父親がミアを強く抱きしめながら叫ぶ。どうやら相当な親バカのようだ。


 「……で、アンタは一体何者だい?」


 ミアの父親は俺に視線を移すと、軽く睨んできた。まあ、娘が見知らぬ男と一緒にいればそういう態度にもなるか。


 「お父さんやめて! この人は私が森でゴブリンたちに襲われていたところを助けてくれたんだよ!」


 「何、森に入ったのか!? 森には魔物がいるから入るなと言っておいただろうが!」


 「ご、ごめんなさい……」


 怒鳴られてしまいしゅんとしょげでしまうミア。父親に黙って魔物がいる森に入ったんだ。流石に弁解の余地はないな。


 「だとしたらアンタは娘の命の恩人ってことになるんだな! それは済まないことをしたな!」


 申し訳なさそうに何度も頭を下げる父親。ミアと同じような謝り方、やはり親子は似るものらしい。


 「俺はこの村で武器屋を営むガンツって者だ。俺の娘を救ってくれたんだ、アンタに何かお礼がしたい」


 「お礼なんて必要ないですよ。俺はたまたま襲われていたところを助けただけですから」


 「いやいや、俺の大切な娘を救ってくれた恩人に何もしないわけにはいかない。見たところアンタは何も装備していないじゃないか!? 俺の店に寄ってくれや。礼を兼ねていい物をやるからよ!」


 強引に手を引かれて連れてこられたのは立派な武器屋だった。


 「ここが俺の店だ!」


 「なかなか良いお店ですね」


 「俺の自慢の店だからな。さ、入りな!」


 店の中を案内され、見渡すと色々な武器や防具が置かれている。どれもなかなかの代物のようだ。


 「まずはこいつだ。この店で1番の武器だ!」


 そう言ってガンツさんが持ってきたのは、重厚そうな槍だった。


 通常の槍と違い刺突だけでなく斬撃も行えるような形状をしており、何処となく薙刀に似ているな。


 早速、鑑定慧眼で見てみよう。


 ミスリルスピア

 稀少な金属であるミスリルによって鍛えられた槍。とても軽いが鋼鉄以上の強度を誇る。


 「この槍、ミスリルで作られているんですね」


 「ほう、よく分かったな。こいつはなかなかの代物なんだぜ!」


 「でも、これほどの武器を本当に貰って良いんですか?」


 「おう、遠慮せずに受け取ってくれ!」


 断固として引こうとしないガンツさん。そこまで言われたら流石に受け取らないわけにはいかないな。


 「分かりました。なら遠慮なく貰います」


 そう言って俺はミスリルスピアを手にする。


 おお、こいつは軽い! 重厚そうな見た目なのに軽い。とても扱いやすい槍だぞ。


 「凄く良い。気に入りました」


 「そいつは良かったぜ!」


 満足そうに笑みを浮かべるガンツさん。


 その後は装備一式(黒を基準とした衣服、動きやすいライトアーマー、丈夫なブーツ)を譲り受けることにした。これは全てガンツさんの判断で今の俺に合った装備を選んでくれたもので、これらもお礼として貰った。


 「それで、アンタはこれから何処に行くんだ?」


 「取り敢えず冒険者になろうかと思います」


 この世界には冒険者という職業があるらしい。


 薬草の採取や魔物討伐、商人の護衛、未知を求めて探求するといった様々な依頼を受けて生計を立てる者たち。それが冒険者と呼ばれている。


 「だったら自由国家オルフィンに行くといいぞ。あそこは冒険者ギルド発祥の地でもあるし、ここから1番近いからな」


 自由国家オルフィン。


 ガンツさんが言うには、そこは王族や貴族が統治しない冒険者だけの国家らしい。大陸(この世界に大陸は1つしかない)の中央に位置しており多種多様の種族がいると言う。今から20年程前に冒険者ギルドを設立したギルドマスターによって作られたそうだ。


 冒険者だけの国家か、それは有難いな。漫画やラノベとかでは貴族は少々厄介な存在だとされている。それに冒険者になるには冒険者ギルドに登録が必要らしいからな。まずはそこに向かうとしよう。


 「丁度俺も明日からオルフィンに行くところだ。そうだ、今日はウチに泊まって明日の朝に俺と一緒に行くかい?」


 「良いんですか?」 


 「勿論だ。それに護衛としてアンタが居てくれると助かるしな」


 「はは、お役に立てるように頑張りますよ」

 

 こうして俺はガンツさんの家で一晩お世話になることになり、翌日の朝に自由国家オルフィンへと向かうことになった。

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