表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
救世のルファディア  作者: yato
第1章 異世界編
3/12

異世界ルファディア②

 森を歩き始めて1時間程。


 結構な距離を歩いているが、俺は未だに森を抜けられないでいた。何しろ見渡す限り樹ばかりなので方向が全然分からない。


 ぐぅ〜……。


 それにそろそろ小腹が空いてきたな。やはり女神様が作ったこの身体でも空腹になるものはなるようだな。


 「お、あれは何だ?」


 何か食べられそうな物を探しながら歩いている時に俺はそれを見つけた。


 目の前に見えている樹に実っているのは紫色のリンゴのような見た目をした果実で、かなりの数だ。


 「これは食べられるのか?」


 さっそく俺は樹に近づいて紫色の果実をまじまじと見つめながら呟く。色的にはアウトな気がするが、幸い俺には解析慧眼という加護があるので安全かどうか確認ができるの非常に助かる。


 「どれどれ?」


 マジックアップル

 食べると魔力を僅かに回復させることができる果実。


 どうやら食べても問題はなさそうだな。しかも魔力回復の効果があるとはやはりファンタジー世界は凄いな。


 俺は子供の頃以来に木登りをしてマジックアップルを1つもぎ取ってみる。身体能力が常人以上だったなので楽に登ることができた。


 では早速頂くとしよう。


 俺はもぎ取ったマジックアップルにかじり付く。


 「これは美味い!」


 マジックアップルの瑞々しい食感と程よい甘味と酸味が口いっぱいに広がり、自然と笑みを浮かべてしまう。


 腹が空いていたからなのか、余計に美味しく感じてしまう。2つ目、3つ目と次々とマジックアップルを食べていく。


 そうだ、念の為にこのマジックアップルを持って行くとしよう。


 今の俺は無一文だからな。街に行けばそこそこな値段で売れるだろう。


 それに俺には空間収納の加護があるからな。どれだけあっても荷物にはならないから便利だ。


 俺は樹に生っているマジックアップルを次々ともぎ取ると、空間収納で回収しているその時だった。


 --警告。魔物の群れがこちらに向かってきています。


 「--っ!」


  突然、危機感知が発動する。


 魔物とは生物等が魔力を宿したことで変貌した存在だ。


 人々を襲ったりする危険な魔物もいるが、中には信仰の対象となる聖なる存在や家畜や愛玩用として飼われている魔物もいるので、全てが危険な存在ではないようだ。


 魔物にはF〜Sの等級があり、危険度や希少性を表している。


 分かりやすく説明をするとこのようになる。


 F:子供でも対処できる。


 E:一般人の大人が対処できる。


 D:戦闘経験のある者が単独で対象できる。


 C:戦闘経験のある者が複数で対処できる。


 B: 1体で村が滅びる。


 A: 1体で街が滅びる。


 S: 1体で国が滅びる。


 俺はマジックアップルの採取を中断して前方へと視線を向ける。


 茂みの奥から何か音がした。それはまるで何かから逃げる足音のようなものだった。そしてそれは現れた。


 「子供?」


 茂みから現れたのはまだ小学生くらいの少女だった。服は所々破れていたり汚れていたりしている。


 「は、早く逃げて!」


 俺に気付いた少女が叫ぶ。


 見ると少女の後ろを追っていたのは子供のような背丈に緑色の肌、醜悪な容姿をした人型の魔物だった。薄汚い衣を纏っており、爪はなかなか鋭そうだ。


 「……ゴブリンか?」


 大体の情報は漫画やラノベで知っているが、一応解析慧眼で情報を見てみよう。


 名前:ゴブリン 

 種族:亜人種

 等級:E

 魔力:100

 

 ゴブリン

  亜人型の魔物。体型は小柄で知能も低い。雄しか生まれてこないので繁殖には人の女性を利用する。


 やはりゴブリンのようだ。


 それにゴブリンは1匹だけではないようだ。後ろからぞろぞろと他のゴブリンが茂みから現れる。ざっと数えても10匹はいるな。


 そしてゴブリンの群れの中にはあきらかに格が違う存在が確認させる。


 容姿はゴブリンに似ているが体格が全然違い、成人男性くらいはあるな。それに手には少し錆び付いてはいるが長剣を装備している。


 名前:ハイゴブリン

 種族:亜人種

 等級:D

 魔力:150


 ハイゴブリン

 亜人型の魔物。ゴブリンが進化した個体。体格は成人男性程まで成長しており知能もゴブリンの時よりも向上している。


 なるほど、どうやらあのハイゴブリンがこの群れの親玉というわけだ。


 「ゲギャギャギャッ!!」


 「ひいっ」


 ハイゴブリンが笑いながら怯える少女に視線を向けると周囲のゴブリンに指示のようなものを出し始める。知能も向上しているので統率力が高いようだ。


 「おい、その子に手を出すな!」


 流石に襲われている少女を見過ごすわけにはいかないので、彼女を助けるべく俺は行動を起こす。


 この世界に転生して初めて戦闘。相手は低等級ではあるが魔物には違いない。充分気をつけて戦うとしよう。


 まずは大量の魔力を使用して、魔力纏鎧の加護で身体能力を向上させる。魔力のようなものが俺の全体に纏い、力が大幅に向上するのを感じる。


 ……でも、どうすればいいんだ?


 いざやろうとして気付いた。身体能力は向上はされているけど、それだけだ。ちなみに格闘技の経験はない。相手を攻撃する方法なんて殆ど知らないぞ。


 「ええい、なるようになれ!」


 とにかく俺は握った拳をハイゴブリンの顔面に目掛けて思いっきりぶん殴る。


 --パァンッ!!


 「グギャァッ!?」


 「へ?」


 まるで風船でも破裂したかのようにハイゴブリンの頭部が弾け飛ぶと、緑色の血液が辺りに飛散する。


 そして頭部を失ったハイゴブリンは僅かに身体を揺らして倒れてしまい、そのまま動くことはなかった。


 「えー……」


 おいおい、流石に強化され過ぎだろう。今回は魔物が相手で良かったが、これを人間相手にしていたらどうなっていたのだろうと思うとゾッとする。


 今度は魔力纏鎧なしで近くにいたゴブリンの顔面に目掛けて全力で拳を打つ。


 「ゲギャアアアアッ!!」


 勢いよく吹き飛ぶゴブリン。今度は頭部を弾け飛ばさずに済んだがそれでも相当威力が強かったのか、顔面が陥没しており激しく痙攣した後に動かなくなってしまう。


 まだまだ力の調整に注意が必要だな。


 「さて、一気に終わらせるとしますか」


 俺は間髪入れずに残りのゴブリン達を次々と蹂躙していく。


 型も技もない、ただ素早さに任せながらゴブリン達の攻撃を回避して、力任せに殴ったり、蹴ったり、ぶん投げたり、ただそれだけを繰り返した。


 「ふぅ……」


 ゴブリン達を全滅させるのに 1分もかからずに無事初戦闘を終えて息を吐く。


 あれほど激しく動いたのに全く疲れを感じないな。これは自己回復のお陰で体力も回復しているのだろう。


 それにしても魔物とは言え生物、それも人に限りなく近い姿をした魔物の命を奪ったことにもう少し忌避感や嫌悪感があるのかと思ったが、全くそんなものはない。どうやら状態異常の加護が原因のようだ。


 おそらくだが、魔物以外でも俺は……。と、これ以上のことは考えないようにした。その時はその時だ。


 それにしてもこのゴブリンはどうしようかな。


 この世界の知識によると、ゴブリンのような亜人型の魔物はほとんど使える素材がないらしいが、体内にある魔石は売れるらしい。


 ちなみに魔石とは、魔物なら体内にある魔力の結晶のことだ。地球で言う石油のような物で、この世界では重要な燃料源らしい。


 E等級のゴブリンとD等級のハイゴブリンの魔石では大した値段にはならないらいしが、少しでもお金になるのなら回収しておこう。


 「大丈夫?」


 俺は倒したゴブリン達を空間収納で回収し終えると、襲われていた少女に近づいて話しかける。


 しかし少女は何処か様子が変だ。小刻みに震えている。それに俺を見る視線が怯えているような気がする。


 「ぴ……」 


 「ぴ?」


 「ぴえーんっ! お願いですから襲わないで下さーい!!」


 少女が泣き叫びながら俺に懇願してくる。


 「いやいや、襲わないからな!?」


 こうして俺の記念すべき初戦闘は呆気なく終了したのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ