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救世のルファディア  作者: yato
第1章 異世界編
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指名依頼①

 指名依頼を受けた俺は早急にドルマの森へと訪れていた。

 

 確かに初めてここを訪れた時と比べて雰囲気が違うな。森の奥から強力な威圧のようなものを感じるられる。


 ……取り敢えず森の奥へと進んでみよう。


 それから暫く歩いてみるが魔物がいる気配はない。やはり大抵の魔物は森の外へと出て行ってしまったのだろうか?


 --警告。魔物がこちらに近づいています。


 「魔物か」


 ようやく見つけた魔物の存在に俺は警戒を強める。


 ミスリルスピアを構えて待ち伏せていると、森の樹々を薙ぎ倒しながらこちらへと迫ってくる存在が現れる。


 「ホゥホゥッ!」


 変わった鳴き声を上げながら現れたそいつは3メートルはあるがっしりとした巨躯に焦茶色の毛と羽が入り混じったような毛皮、丸太のように太い剛腕から生えている長くて鋭い爪、まるで梟のような頭部と熊のような身体が合成されたような姿をした魔物だった。


 アウルベア

 種族:魔獣種

 等級:C

 魔力:3000


 アウルベア

 熊型の魔物。梟のような頭部を持ち、主に夜間に活動する。縄張り意識が強く獰猛かつ非常に大食い。毛皮や肉等は売却できる。


 まさかいきなりC等級魔物と遭遇することになるとはな。完全に予想外だ。


 「ホホオオオオウッ!!」


 俺の姿を見るや否やアウルベアは周囲一帯へと響き渡るような雄叫びを上げると、四つん這いになって俺の方へと襲いかかってきた。


 「いきなりかよ! 気性が荒い奴だな!」


 「ホホウッ!!」


 アウルベアは獲物が逃げずに自分の方へと向かってくると認識し、牙を剥き出しにしながら吠える。


 そして鋭い爪を物凄い勢いで俺に振り下ろしてくる。


 俺はアウルベアの一撃を回避すると、そのまま無防備な後方へと回り込み、死角からの攻撃を狙う。


 「ホウッ!」


 すると当然、アウルベアの首がグルンと後方へ回転し、こちらの姿を捉える。


 「何?」


 「ホホォゥッ!!」


 そのままアウルベアは勢いよく腕を振り払ってくる。


 「ちぃっ!」


 舌打ちしながら俺は振り払われるアウルベアの爪をミスリルスピアで受け止める。想像していた以上に重い一撃だ。


 そう言えば梟の首は非常に発達していてその可動領域は左右270度もあるらしい。その為、広い範囲を見渡せるようになっているという。


 つまりアウルベアには死角がほとんどないということだ。


 それに即座に反応する俊敏な動き、とくに樹を軽々とへし折る程の腕力は厄介だ。あれをまともに受ければ人間の骨なんて簡単にへし折れるだろうな。


 相手が俺でなければだがな。

 

 「ふん!」


 ミスリルスピアでアウルベアを押し退ける。一瞬だけバランスを崩したものの、直ぐに威嚇の構えを取ると、再度その爪を振り下ろしてくる。


 「おっと」


 俺は今度は横に跳んでそれを回避する。跳んだ先にある樹を蹴り、その勢いのまま攻撃を外したアウルベアの腹部へとミスリルスピアの穂先を突き刺す。


 「ホホオオウッ!!」


 腹部に一撃を受けたアウルベアが苦悶の声を上げるが、勢いが足りなかったのか致命傷とはならなかったらしい。


 「ホホオオオオウッ!!」


 傷を負わされて激怒したのか、全身の毛を逆立てて、血走った目をしたアウルベアは見境なしにその鋭い爪を振り回しながら暴れ始める。


 だが、いくら腕力に自信があろうと当たらなければ意味がない。身体能力は俺の方が上なので捉えるのは至難の業だろう。


 「ホオゥッ!」


 それでも甲高く吠えながらアウルベアがその剛腕を振るうが、その度に俺は軽々と避け続ける。


 「ホホオオオオウッ!!」


 攻撃が全く当たらないことに苛立ったのか、咆哮を上げながらその丸太のように太い右腕を上げると、勢いよく振り下ろしてくる。


 「甘い!」


 俺はその一撃を後方へと跳んで回避する。攻撃を大きく外したアウルベアはバランスを崩してよろめくのを俺は見逃さなかった。


 「はあっ!」


 そのまま隙だらけのアウルベアへとミスリルスピアを振るう。それにによって地面へと振り下ろされていたアウルベアの右腕が切断される。


 「ホウウウゥゥゥ----ッ!?」


 右腕の切断面から血を噴出させながらアウルベアが断末魔の悲鳴を上げる。けれどその瞳に動揺の色はなかった。


 「ホウゥゥゥゥッ!!」


 むしろ片腕を失ってもなお鬼気迫る勢いで襲いかかるアウルベア。


 しかし片腕だけでは思うように戦闘が行えないようで、動きも格段に鈍くなる。こうなればもうこちらのものだ。


 「はあっ!!」


 俺は残されたもう片方の腕も切断すると、アウルベアは体勢を崩してそのまま後ろに倒れて尻を地面に打ち付けることになる。


 「これで終わりだ」


 俺は隙だらけのアウルベアに目掛けて渾身の突きを放つ。ミスリルスピアの穂先がアウルベアの額を見事に貫き、とどめを刺した。


 「ホ、ホゥ……」


 頭部に致命傷を受けたアウルベアは少しよろめいてそのままズシンッと倒れて、2度と起き上がることはなかった。


 両腕を切断されてもなお俺に挑み続けていたアウルベア。流石はC等級魔物というべきだろう。


 それにしても、まさかこのドルマの森に入って最初に遭遇したのがC等級魔物のアウルベアとは完全に予想外だったな。


 これもドルマの森で起きている異変が原因なのだろうか?


 俺は倒したアウルベアを回収しながら考える。


 普段のアウルベアは森の奥を縄張りとしている魔物で昼には殆ど行動をしない夜行性の魔物だ。


 そんなアウルベアがこんな真っ昼間に、それもこんな森の入り口付近で遭遇するのは明らかに変だ。


 確か受付嬢のアリスさんによればドルマの森で1番強い魔物はこのアウルベアとのこと。つまりこの森の強者ということだ。


 アウルベアでさえ縄張りから離れるような原因は作った存在は間違いなく森の奥にあるに違いない。


 「どうやらこの指名依頼、一筋縄ではいかないようだな……」


 俺はアウルベアを空間収納で回収し、再び森の調査を再開するのだった。

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