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救世のルファディア  作者: yato
第1章 異世界編
16/22

希少種①

 D等級昇格試験を無事に合格した翌日。


 俺とエリオとクードは朝1番に出る乗合馬車でオルフィンへと帰還することになった。

 

 今回は試験官のゾールさんも一緒に乗合馬車に乗っている。どうやらこの乗合馬車の護衛として雇われているとのことだ。


 B等級冒険者のこの人が一緒に居てくれるのはとても心強いな。


 オルフィンへと向かう人数は俺たち冒険者4名と一般人5名の合計9名だった。


 一般人の内2人は冒険者になる為にオルフィンに向かっている若い男のようだ。もしそうなったら後輩になるのかな?


 その日の夜は丁度いい場所で野営をした。熱々の料理を食べれることにゾールさんがとても驚いていた。


 そのお礼として数々の冒険譚について語ってくれて、楽しい野営を過ごしたのだった。


 翌日。


 このまま何事も起こらないことを祈りながらオルフィンへと向かっていたが、そう甘くはいかないようだ。


 残り半日でオルフィンへと到着するという距離でそれらを見つけた。


 それは見覚えのある魔物達だった。緑色の肌に成人男性位の亜人型の魔物--ハイゴブリンだ。数はおよそ10体程で、街道を塞ぐようにたむろしている。


 「1体だけ肌の色が違う個体がいますね……」


  エリオが小さく呟くと、俺は注意深く視線を向ける。


 確かに群れの中には青い肌をしたハイゴブリンがいる。背丈は他の個体よりも頭 1つ分程は大きく、手には剣と盾を装備していることからそれなりの知識はあるようだ。


 すると青色のハイゴブリンを見てゾールさんが呟く。


 「あのハイゴブリン……俺も初めて見るが間違いなく希少種だな」


 「あれが希少種……」


 確か魔物が一種の突然変異として生まれる特殊な個体のことだ。


 希少種として生まれた魔物は通常の個体よりも高い戦闘能力を持って生まれ、等級も1段階は上がるとされている。


 つまり普通のハイゴブリンはD等級魔物なので、あの希少種ハイゴブリンはC等級魔物ということになる。


 名前:ハイゴブリン(希少種)

 種族:亜人種

 等級:C

 魔力:2000


 確かに普通のハイゴブリンよりは強いようだな。しかしそれでもこちらの勢力の方が遥かに上だ。


 「まだ奴らはこちらに気がついていない。まずは魔法で先制攻撃を仕掛ける。そして奴らが動揺している隙に俺とルイとクードで一気に仕留める。エリオ、攻撃魔法を発動してくれ」


 ゾールさんの指示に皆が頷くと、攻撃大勢へと入る。


 「ウィンドエッジ!」


 まずはエリオが攻撃系の風属性魔法を発動。風の斬撃が 1体、2枚目のホブゴブリンに命中して仕留める。


 「続け!」


 合図と共にゾールさんと俺、クードは一気に動揺しているハイゴブリンの元へと飛び出す。


 「てぇぇッ!」


 まずはクードが3体目のハイゴブリンへと短剣を振るいその命を奪い。


  「ふん!」


 ゾールさんは片方の大剣で4体目のハイゴブリンを見事に一刀両断する。そして続け様にもう片方の大剣で5体、6体目のハイゴブリンを薙ぎ払う。


 あれがB等級冒険者の実力か。2本の大剣を巧みに扱い、圧倒的な力でハイゴブリンを薙ぎ払う姿はまさに凄まじいの一言に尽きる。


 B等級冒険者としての実力を感嘆しながら俺も他のハイゴブリンとの戦いに意識を集中させる。


 ハイゴブリンとは遭遇したことがある(その時は一方的に蹂躙した)ので対処は容易く、7体、8体、9体目のハイゴブリンを仕留める。


 残りは希少種ハイゴブリンだけだ。


 「まかせろ!」


 希少種ハイゴブリンと対峙するのは距離が1番近いゾールさんになった。


 「ふん!」


 ゾールさんが右手の長剣を振るうと希少種ハイゴブリンが盾でそれを防ぎ、左手の長剣は剣で防ぐ。B等級冒険者相手になかなか食ってかかるな。


 だが、戦闘力はゾールさんの方が圧倒的に上だ。徐々にだが希少種ハイゴブリンを追い詰めていく。


 しかし、希少種ハイゴブリンがニヤリと笑うのを俺は見逃さなかった。


 「……アイス、アロー」


 「何!?」


 魔物である希少種ハイゴブリンが言葉を発したのに十分驚いたが、次の瞬間には更に驚かされることになる。


 希少種ハイゴブリンが持つ長剣が淡く光出すと、奴の周囲に複数の魔法陣が出現し、そこから氷矢が形成される。


 あの長剣、ただの武器ではないな!


 氷矢の長剣

 氷属性魔法のアイスアローを発動することが出来る魔剣。ただし一定の回数を使用すると消滅する。


 やはりマジックアイテムだったのか!

 

 「--くっ!?」


 ゾールさんもそれは予想外といった感じで顔を顰める。あの間合いでは避けることは不可能だろう。


 いくらB等級冒険者であるゾールさんでもあのあれだけの氷矢をまともに受けたら致命傷になりかねない。


 あれを使うしかないか。あの氷矢が魔法ならば出来る筈だ。


 「マジックキャンセル」


 俺はもう1つの無属性魔法を発動した。


 すると氷矢が一瞬にして消えてしまう。やはり予想以上に使えるぞ、この魔法は。


 「グギャ!?」


 突然放とうとした氷矢が消えて明らかに混乱している希少種ハイゴブリン。その隙をゾールさんは見逃さなかった。


 「ふんっ!!」


 ゾールさんの振るった大剣が希少種ハイゴブリンの首を見事に刎ねる。


 頭部を失った希少種ハイゴブリンはヨロヨロと揺れながらその場へと倒れ、そのまま動かなくなった。


 「よし、無事にハイゴブリン制圧だな」


 2本の大剣を鞘に収めながらゾールさんが呟くと、俺に近付き小さく頭を下げる。


 「礼を言うぞルイ。先程の氷矢が消えたのはお前のお陰なのだろう?」


 見られていたようだな。たとえ自分よりも下の等級である冒険者に対して素直に感謝の言葉を告げるのは、この人の人柄なのだろう。


 「ルイさん! もしかして今発動したのは無属性大魔法のマジックキャンセルではないでしょうか!?」


 俺に駆け寄ってくるのはエリオだった。


 「如何なる魔法を無効化させる魔法! 初めて見ました!」


 目を爛々と輝かせながら話すエリオはいつもの大人しい性格とは裏腹に滅茶苦茶テンションが上がっているな。


 やはり魔法使いだから魔法に関することには熱が入るのだろう。


 「オルフィンの市場に魔法屋があるんだ。そこで色々あって習得したんだ。そこには魔法書もあるから行ってみるといい」


 「市場に魔法屋が!? それに魔法書まで! それは見逃していました、今度行ってみます!」


 「いいなー。オイラも魔法が使いたいんだが、魔力が少な過ぎるからなー」


 少ししょんぼりとした様子で呟くクード。こいつは魔力の量が一般人程度しかないからな。たとえ魔法を習得できたとしても発動はできないだろう。


 「魔法屋には魔力量を上げるマジックアイテムもあった筈だから、見てみたらどうだ?」


 「そんな物があるのか? それがあればオイラも魔法が使えるかもな!」


 俺の言葉にパァと明るくなるクード。魔法が使いたい気持ちは良く分かるぞ。


 「おい、そろそろ馬車を出したいから早くハイゴブリンの魔石を回収しろよ。俺の分のハイゴブリンの素材は全てルイにやろう。先程の氷矢から助けてくれたお礼だと思ってくれ」


 流石はB等級冒険者。太っ腹だな。


 「では遠慮なく頂きます」


 俺は討伐したハイゴブリン達を回収しておく。


 ちなみに希少種ハイゴブリンが使用している装備品だが、盾はゾールさんの激しい猛攻によって使い物にならず、氷矢の長剣は先程の使用が上限回数だったようで、跡形もなく消滅していた。少し惜しいが魔石だけでも充分有り難い。


 「ではオルフィンに戻るぞ」


 こうして無事にハイゴブリンの群れを倒し終えた俺達は、再びオルフィンへと向かうのだった。

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