9ーサイエンー
レンとカヤが見たものは絶望そのものだった。
「兄さん!!」
カヤはすぐさまエンヤに駆け寄る。
「う、腕が…」
レンも駆け寄って見てみると痛々しい傷跡。
あのエンヤがここまでボロボロになっているのを見てカヤの顔は青ざめていた。
そのカヤを見てエンヤは言う。
「心配するな、どうってことはない」
その言葉はレンにもわかるほどに強がりだった。
「なーんだそう言うことか!それでさっきあんなにも派手に攻撃していたんだね」
マウレアはエンヤが派手な攻撃をして自分の居場所を2人に知らせていたことに気づいた。
「でもどうするの?君達2人きたところで何ができるの?」
マウレアは満面の笑みを浮かべながら問いかけてくる。
「いいかお前ら、ヤツはコアを破壊しないと死なないらしい、それとヤツの魔法、爪に気をつけろ奴の爪に傷つけられると即終わりだと思え!」
エンヤが説明し終え各自戦闘体制に入る。
そして、マウレアは攻撃を仕掛けてきた。
3人はすぐさま散り散りに避けてマウレアの様子を伺う。
エンヤは魔法で火の玉を出し自分の周りに散りばめ何かを企む。
マウレアは手負いのエンヤを狙いに行く。
「どうしたんだい?火の玉なんか出したりして大道芸かい?」
マウレアは笑みを浮かべながらエンヤに攻撃を仕掛ける。
「ふっ、そんなに俺が怖いか?安心しろ、お前を倒すのは俺じゃないあの2人だ」
エンヤはマウレアの攻撃を簡単に躱しながらこたえる。
「怖い?勘違いも甚だしい!君が最初に死んでくれたら後が楽なだけだよ」
しかし、マウレアは攻撃をしながらも不思議に感じていた。
(なんだ?この違和感、手負いの癖に躱すのが上手くなってる?)
エンヤはさっき周りに散りばめた火の玉の揺らぎでマウレアの動きや、次の攻撃をいち早く読んでいた。
「チッ、小細工しやがって」
エンヤに攻撃がなかなか当たらないことにイライラし始めて攻撃が単調になっていく。
そこを狙い、レンとカヤの2人はマウレアに向けて魔法を打ち込んでいく。
2人からの攻撃を爪でガードしながらとうとうマウレアのイライラはピークに達する。
「あーー!もう!鬱陶しい!!こうなったら雑魚から殺す!!」
マウレアはすぐさまカヤを狙いに行く。
「火炎盾!!」
カヤはマウレアの爪を炎の盾で受け止める。
が、マウレアの攻撃は止まらない。
鋭くでかい爪で何度も何度も攻撃を重ねていく。
そこにレンがマウレアの背後から攻撃を仕掛けにいくとマウレアはそれを狙ったかのように背後に体を捻りカウンターを合わせる。
レンは咄嗟に躱し反撃するため拳に火を纏わせマウレアを殴りにかかる。
遠距離攻撃より接近戦の方が得意なレンは危険を承知でマウレアを殴り続け、マウレアはガードを固めながらレンの隙を狙う。
連打を続けて息が上がってきたレンにマウレアは襲いかかった。
(やばい!!)
避けきれないと悟ったレンは攻撃を交わすべく地面に魔法を打ち込み思い切り上に飛びあがった。
マウレアは満面の笑みを浮かべ追撃しにいく。
戦闘経験の浅いレンは身動きの取れない空中へ逃げるという過ちを犯してしまったのだ。
エンヤはすぐさまマウレアの顔面に向けて炎弾連撃を打ち込んだ。
「チッ!クソが!!」
マウレアは直撃しつつもレンの頬に自身の爪を掠らせた。
するとレンの頬に激痛が走る。
「ぐっうぁぁあ!!」
「すぐに傷口を焼け!!!」
苦しむレンにエンヤがすかさずアドバイスをする。
レンは言われた通りすぐに傷口を焼くと痛みは無くなった。
マウレアがその隙を狙ってレンを攻めてこようとしたところをカヤが太刀打ちする。
レンは一旦距離を取り離れた木の影で身を隠し少し息を整えていた。
カヤはマウレアのコアを探していた。
「火炎射術!!」
大量の炎の矢を全方向からマウレアに打ち込み続ける。
マウレアはカヤの攻撃を弾きながら突き進んでくる。
接近戦になるのを避けたカヤは後ろに飛び退く。
「おい!!いつまでもいつまでも小賢しい攻撃しやがって!!はやく全員死ねぇ!!!!」
3人を相手にし、体力と魔力が徐々に削られたマウレアは怒り狂った。
「オールポイズン!これだけは使いたくなかったんだ。」
自身の魔法で作った腐食の毒を魔力が切れるまで永遠と全身に纏い続ける。
魔力を毒に変化させるマウレアの魔法の奥の手だ。
爪以外全身に触れられたら終わりになった3人はコアを探す以前に体に触れることすらできなくなってしまった。
カヤはまた炎の矢をマウレアに打ち込む。
しかしマウレアの纏った毒がガードの代わりも果たしておりビクともしなかった。
距離を置こうとしたカヤをマウレアが捕まえにいく。
後ろに飛び退きながら魔法で牽制するがマウレアは止まらない。
「はああああ!!!!」
カヤは立ち止まりレンと同じように炎を拳に纏い追いかけてきたマウレアを一か八かで思い切り殴った。
炎魔法を厚くを纏わせていた拳は腐食による影響を受けなかった。
[ズザァァアア!!]
マウレアは殴られた影響で滑るように飛ばされた。
マウレアも魔法を纏っていた為それほどダメージは入らなかったが自身の魔力が切れるかもしれないとマウレアは焦っていた。
「くそ!クソ!!糞!!!」
マウレアは立ち上がり怒りを露わにしている。
魔力切れした者から死ぬ可能性があるという中でコアもまだ見つかってない今のこの状況に3人もかなり焦っていた。
エンヤはやむを得ず撤退も考えていた。
しかし、レンとカヤの目がまだ死んでいない。
エンヤはこの目を知っている。
2人がエンヤに一撃を入れ合格を出したあの時と同じ目だった。
怒り狂ったマウレアが再び目の前にいるカヤに向かって攻撃を仕掛けていく。
カヤは魔法でフルガードしマウレアの激しく荒々しい攻撃に耐えていたがガードが破られた。
(獲った!!)
「死ねぇぇ!!スラッシュポイズン!!」
マウレアは渾身の一撃を入れる。
[ガンッ!!!]
「なにっ!!??」
マウレアは格子状の炎で作られた牢獄の中にいた。
「豪炎牢獄俺の今ある魔力ではこれが限界だ。だがそう簡単には逃げれん」
エンヤはあの時カヤが使っていた魔法を独自に強化し、発動した。
「行け」
レンとカヤの2人は一斉に魔力を込め出す。
「クソがああああああ!」
マウレアは牢獄を破壊するために攻撃を重ねるが徐々に魔力が尽きていく。
「終わりだ!!」
「終わりよ!!」
「炎響乱舞!!!」
2人の放った爆炎がマウレアを中心に大きな火柱となり辺りを焼き尽くしていく。
「ゔああぁぁぁぁぁ!!!」
悲痛な叫びと共にマウレアは跡形もなく消し炭と化した。
レンとカヤは魔力を使い果たしその場で崩れるように座り込んだ。
「終わったのか…?」
「流石にあの状態で生きてるなんて無理よ」
2人はそのまま大の字で寝転んだ。
そして、エンヤはマウレアのいたところまで歩いて行くとそこには拳くらいの大きさの黒い宝石のようなものがあった。
それを手で拾い上げるとたちまち灰になって手から崩れ落ちていった。
それがマウレアのコアだった。
「終わりだ。いつまで寝るつもりだ」
エンヤにそう言われるとレンとカヤの2人は重たい体を起こしてエンヤの元へと歩き出す。
そして、ボロボロのエンヤとヘトヘトのレンとカヤは森を後にし帰路についた。




