8ーサイセンー
エンヤは自分の捜索場所が北西の森に決まるとすぐに向かった。
街からそう時間はかからずに森の入口前まで来ると不穏な空気を感じとった。
「森がやけに静かだな……」
動物の鳴き声や物音一つしない森に少し違和感を抱きつつそのまま森に入っていく。
少し進むとうさぎや猪の死骸や、なんらかの動物の肉片などが散らばっていた。
エンヤはその死骸などを自身の魔法で焼却し供養をして森の奥に進もうとした。
その時、いつのまにか無数の悪魔たちに周りを囲まれていた。
「やはりこっちが当たりか」
エンヤは冷静に辺りを見回した。
「ギィィィいアあ!!!」
そして悪魔たちが一斉にエンヤに向かって飛びかかる。
「きえろ」
[ゴオオオオオオ!!]
エンヤはそう言うと一瞬にして悪魔たちを焼き尽くした。
「おい!出てこい!どうせいるんだろ?」
エンヤは周辺に聞こえるように問いかける。
「あはっ♪♪ バレちゃったかー!あれー?君1人だけ?」
そう言いながらマウレアが木の影からひょっこりと姿を現してきた。
「お前なんか俺1人で充分だ」
街周辺や森を荒らしたマウレア達に少しキレた口調で言い返す。
「あっそ!じゃあ遊んであげる!」
そう言うとエンヤに向かってマウレアが素早く攻撃を仕掛ける。
が、エンヤはこれを見切り交わすと同時に魔法をマウレアに打ち込む。
「いいねぇ!避けるだけじゃなくて攻撃まで合わせてくるなんて!」
マウレアは攻撃を浴びてもピンピンした口調で楽しそうにしている。
「おいクソ悪魔、お前はなんであの時も今もずっと魔法を使ってないんだ?」
エンヤはマウレアが魔法を一度も使わずに自身のデカく鋭利な爪だけで戦っているのに疑問を持っていた。
そしてマウレアがその問いに答える。
「そんなの簡単さ!君達ザコ相手に使うほどモノじゃないからだよ♪ 君の攻撃もあの大技に注意してたらいいだけだしね」
「ふっ、そう言う割にはレンに一発入れられてキレてたらしいな」
エンヤが煽るように言う。
「あーあれか、あんなマグレ当たりで喜ばれるのが癪だっただけだよ」
「まぁいい、使っとけばよかったって後悔しながら死ね」
エンヤが一気に魔力を手に込め出した。
すると、エンヤの右手にはでかい一本の火柱のようなものが出来上がりそれが槍に変わる。
(魔力の具現化!?)
「相当本気見たいだね!!!」
マウレアは目の前で火の魔力が実体をもつランスに変わったことに少し驚き興奮した。
「行くぞ」
そう言うとエンヤのランスがマウレアに襲いかかる!
マウレアは自身の爪でエンヤのランス攻撃の連打を防ぐ。
「炎弾連撃!!」
エンヤは攻撃の合間に畳み掛けるように至近距離でマウレアに魔法を打ち込む。
(ドドドドドドドドッ!!!)
マウレアにエンヤの魔法が着弾した。
マウレアは爪でガードをしてダメージを軽減し、すぐさまマウレアも攻撃にうつる。
「スラッシュクロー!!」
爪で斬撃を飛ばし応戦する。
エンヤはランスで全ての斬撃を捌き切り、再び魔法を打ち込む。
「炎弾連撃!」
再びエンヤの魔法がマウレアを襲う。
マウレアは防戦一方でいた。
「まだだ!!!」
さらにエンヤは自身の炎を息吹のようにして防戦一方のマウレアとその周辺を火の海にし逃がさないようにした。
そして、最後にエンヤは持っていたランスに魔力を込めてマウレアに魔法を打ち込む
「火炎槍!!」
「ぐぅぁああああああ!!」
マウレアは悲痛の叫びと共に吹っ飛ばされていく。
エンヤは魔力で具現化させたランスを消した。
いつも余裕そうなエンヤが少し疲れていた。
そこに、マウレアはボロボロの状態で戻ってきたのだった。
「はぁはぁ……流石に喰らいすぎちゃったよ…でも残念!僕たち上位悪魔は自身のコアを壊されない限り死なないんだよ!!!」
マウレアの魔力が込み上がってきた。
「本当は使いたくなかったんだ!!僕たち悪魔の闇属性魔法はクソ人間どもとは違い魔力の消費と体への負担がすごいからね!!!」
マウレアの体はボロボロでも魔力が生き生きしていた。
エンヤは再び戦闘体制に入る。
「死ね!!!!」
マウレアが瞬時にエンヤに飛びかかり自慢の爪を突き出す。
エンヤはマウレアの魔力の異変に一瞬反応が遅れ、鋭い爪が自身の左腕に貫通した。
「ぐっっ!!」
エンヤは自身で後ろに飛び腕を貫通したマウレアの爪を引き抜いた。
「あーあ、残念!ずれちゃったよ」
と言いながらも笑みを浮かべるマウレア。
次の瞬間。
[ズキンッ!!!」
エンヤの左腕に貫通した痛みとは別の強烈な痛みが走る。
「ぐぅっ!ど…毒か!?」
「ははは!せいかーい!まぁ毒は毒でも腐食の毒だけどね。教えてあげる!僕の闇属性魔法は自身の魔力を相手に流し込みその流し込まれた部分から少しずつ腐食が始まっていく能力さ♪ 他の上位悪魔たちもそれぞれみんな違う能力の闇属性魔法を持っているよ♪」
マウレアが勝ち誇ったように饒舌に喋り出す。
[ズバッ!!!]
エンヤはなんの躊躇もなく貫かれた左腕を切り落とし、切り落とした傷口部分を自身の炎で焼灼した。
「すごいね君、本当に人間…??」
マウレアはエンヤの行動に思わず身震いした。
「お前にちょうどいいハンデだ……」
エンヤは膝をつき強がりながらも相手を挑発する。
そしてそのままエンヤは魔法を繰り出す。
「炎弾連撃!」
[ドオォォォォォン!!!]
[ドガァァァアアン!!!]
[ドガァァァアアン!!!]
[バキバキバキバキィ!!]
放った魔法はマウレアやその周り一帯に着弾する。
爆風と砂埃の中からマウレアが声をかける
「おいおいどこ狙ってるんだよ!もう限界??まだ遊ぼうよ♪」
そこへ音を聞きつけ南東の方から向かってきた2人が到着する。
「うそ……だろ…?」
俺とカヤは、木々が燃え盛り地が荒れ果て不敵に笑うマウレアの姿と片腕がなく膝をついているエンヤの姿を見て言葉を失った。




