6ーイチゲキー
今日、エンヤに一撃を入れるために俺とカヤは朝早くから訓練室に集まり作戦を考えていた。
「昨日ぶっつけ本番にしてはいいと思ったんだけどなぁ……」
「そうね、あれが兄さんじゃなければ当たっていたかもしれないわね」
「やっぱりもっとパターンを変えて攻めるべきかな?2人で接近戦で攻めたりとか」
「そうなってくるとお互いの動きちゃんと把握する必要ありそうね」
「あと俺自身、攻撃魔法のバリエーションが少なくて読まれてる気がするんだよな……カヤはどうやって魔法を覚えたんだ?」
「そんなのセンスよ!」
「あ、聞く相手間違えた……」
こうしてベストな解決策が決まらないまま時間だけが過ぎていき、午前のエンヤとの戦いの時間となった。
エンヤが訓練室に入ってくるとたちまち戦闘が始まる。
エンヤは余裕そうに2人が攻撃してくるのを待っており、2人が一斉に接近戦を仕掛けるもこれを赤子の手を捻るかのようにいなしていく。
そして少しタイミングをずらしたり避ける方向を誘導したりしながら攻撃するも、いとも簡単に見破られカウンターを喰らう。
そこで攻撃パターンを最初のレンが接近戦、カヤがサポートにまわるやり方もやはりあと一歩及ばない。
「午前はここまでだ」
そういうとエンヤは訓練室から出て行った。
「くそっ!!どうしたらいいんだ!」
俺は悔しさと焦りで苛立っていた。
「次、決めないと終わりね……とりあえず食堂でご飯でも食べながら作戦練りましょ」
そう言うと、カヤは意外にも冷静で先に訓練室から出て行き食堂へ向かった。
俺も遅れて訓練室を後にする。
食堂に着くとカヤが先に席に座っていたので俺も料理を頼みそこに座った。
そしてさっきの戦いの反省会が始まった。
「んー、やっぱりお互い接近戦での連携はまだまだダメね!タイミングが少し噛み合わなかったわ」
「そうだな…俺がまだ戦闘経験が浅い分カヤに迷惑かけてる気がする…」
「仕方ないわね、そこは多めに見てあげる」
そんなことを言いつつご飯を食べているとシズカが席まで来た。
「ご一緒していいかな?」
そう言うと返事も聞かずにカヤの隣に座り出した。
「2人ともせっかくのご飯をしかめっ面で食べてるからどうしたのかな?って思ってきちゃった!」
「兄さんに一撃入れれなくて悩んでたの!」
「攻め方とか色々変えたりしたんですけど通用しなくて……」
俺とカヤが食い気味にシズカに言う。
「そっかそっかー、兄さん意外と単細胞なところあって攻撃は最大の防御とか思ってそうだから攻撃の隙をついてのカウンターとか行けそうだけどねぇ…基本人のこと舐めているし」
「そうなんですけど、それでも無理で……でも確かに、前に戦ったあの悪魔と同じタイプで人のこと舐めている感はある気がします」
「じゃあいかに隙を見逃さないか、そこを攻めれるかが鍵ってことね!」
「他に何か悩んでることは?」
「カヤと違って俺の魔法のバリエーションの無さが…どうすればいいですかね?」
「んー、じゃあまず魔力と魔法についてちゃんと知っておいたほうがいいわね」
「まず最初に魔力についてなんだけどこれは人によって多い少ないと差があるの!でも基本的には成長したり鍛えたりすることで多くなっていくわ。もちろん魔力が多い人の方が、より多くの魔法やより強い魔法をつかえるのよ!」
「次に魔法についてだけど、魔法はその魔力を使って属性を通し、魔法として発動できるわ!属性を持たない人も中には居るから魔力はあるけど魔法が使えないってこともあるわ。そんな人は魔法は使えない代わりに身体能力が高かったりするの!私はてっきりレンくんはそっちの方だと思ってたわ」
「そしてその魔法なんだけど、これを使うにはイメージが大事なの!属性を通して出される魔法に自分でイメージして放出するのだけど、そのイメージも曖昧な物だと不発になってしまうの。カヤに教えてもらわなかった?」
「センスとだけ……」
「……。それは聞く相手間違えたわね…」
「兄さんの炎弾連撃は見たことある?炎の玉が着弾すると爆発すると言う効果が付与されてるんだけどあれもイメージで作られてるの。でもそう言う特殊効果を付与するのに魔力を多く使うから魔力の節約や魔法の威力とかそこの微調節はカヤの言う通りセンスね!」
「なるほど、確か前に教官もイメージがどうとか言っていたな……魔法を使うイメージが足りてなかったのか…」
「あんたの魔法のバリエーションは解決できそうね!」
「どう?なんとかなりそう?」
「はい!ありがとうございます!あ、あと1つ、もしエンヤ隊長と戦ったらどっちが強いんですか?」
「私と兄さん?まぁ私の方がセンスあるからなー、負ける気はしないかなぁ〜!」
(やっぱこの3人似てるな)
話もご飯も食べ終わり再び訓練室に2人で向かう。
そして訓練室に着き再びエンヤと対峙する。
「来い!」
そうエンヤが言うと俺とカヤは攻撃体制に入った。
攻め方は俺が接近戦でカヤがサポートの形にした。
俺がエンヤに向けていくらか攻撃を仕掛けにいく。
俺は前回同様に徐々にエンヤの間合いに入り込み炎を纏った拳で連打をするがそれを嘲笑うかのようにギリギリで避けられる。
「火炎射術!!」
そこにカヤの攻撃が襲いかかる。
が、その攻撃もエンヤの出した炎によって全て撃ち落とされる。
やはり舐めているのか自らはあまり手を出してこず俺たちの繰り出す攻撃を全ていなして力の差を見せつけるようにしてくる。
攻撃がなかなか当たらない状況で俺とカヤは魔力と体力消耗していく。
だが目はまだ死んでいなかった。
絶対一撃を当てるという強い意志が2人を突き動かす。
「おい、まだこの程度か?終わらせるぞ!」
そう言うとエンヤの周りが熱気を帯び始めた。
「灼熱結界!!!」
カヤはすぐさま危険を察知しフルガードで俺とカヤ自信を包み込み必死で魔力を込めた。
「炎響乱舞!!!」
[ゴオオオオオオォ!!!!]
凄まじい豪炎の音とともにマウレアと戦った時の辺り一帯を焼き尽くした技が炸裂した。
「ぐうぅぅぅぅっ!」
カヤの全力フルガードのおかげで無傷で済んだが魔力を削られたカヤは疲弊していた。
「耐えたか、だがもう終わりだ。」
と圧倒的な差を見せつけたエンヤは勝ち誇っていた。
が、その隙をカヤは見逃さなかった。
「火炎牢獄」
疲弊していたカヤが魔力を振り絞り魔法を使った。
その瞬間、隙ができていたエンヤを火柱でできた牢獄に閉じ込めた。
「…!?」
エンヤは予想していなかった攻撃に驚いたがすぐさま破壊するよう攻撃を繰り出す。
「兄さん無駄よ、この魔法は捕まえることだけを付与した牢獄。いくら兄さんでも壊すのにほんの少し時間がかかるわ。」
「ありがとうカヤ……炎響乱舞!!!」
俺はエンヤの使っていた技をイメージし繰り出した。
辺り一帯を炎が包み込み燃やし尽くした。牢獄を壊すことに専念していたエンヤはすぐさま防御体制に入った。
煙の中から現れたエンヤは無傷だった。
「これでも届かないのかよ…」
俺は絶望し、戦いを諦めた。
するとエンヤが口を開く
「合格だ。」
よく見るとエンヤの羽織っているローブの先が少し焦げていた。
俺とカヤは疲弊していたがそんなことを忘れ喜んだ。
最後の最後でやっとエンヤに一撃を入れることができたのだった。




